色事
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「三井さん?!」
まなみが学校へ行こうと家の玄関のドアを開けた時、目に入ってきたのはポケットに手を入れ、道路の端で佇む彼氏の三井の姿だった。
三井はまなみよりひとつ年上で、まなみが毎日のように三井が所属しているバスケ部を見学していた事がきっかけで、数ヶ月前から付き合うようになった。
「……よぉ」
まなみが家から出てきたことに気付いた三井は片方の手をポケットから出し、手のひらを彼女に向けた。
「どーしたんですか?!」
まなみは急いで三井に駆け寄る。
一緒に登校する事なんて今までまずなかった。まなみが「たまには一緒に登校しましょうよ」なんて言っても「方向ちげぇじゃねぇか」と却下されるのだ。
その為、わざわざ自分の家に寄ってくれた事にまなみは驚いた。
「たまにはいーだろ」
「ラブラブに一緒の登下校?」
「っせぇ!」
まなみが嬉しそうに三井の顔を除くと、三井はワシャワシャとまなみの頭を雑に撫でた。
「なんかあったんですか?」
「……べつに」
「ウソ下手か」
明らかにいつもと様子が違う三井にまなみは気付いていた。彼女だから……というよりは三井がわかりやすいのだ。まなみはケラケラと笑って三井の肩をバシバシと叩く。
「……夢、見たんだよ」
三井は眉をしかめ、唇を尖らせながらしぶしぶ話し始めた。
「どんな?」
「お前が宮城と浮気する夢」
まなみは三井のそんな話を聞いて大きな声で笑い出した。ご近所さんに響き渡るような大声で。それこそまさに腹をかかえて、というやつだ。
「あははは!嘘でしょ!よりによってリョータくん!」
リョータ、というのは三井と同じくバスケ部の2年生で、まなみとは同じクラスの男子だ。
「お前笑いすぎだろ!」
「だっ、だって…あんだけ毎日アヤちゃんアヤちゃん言ってる人と…」
アヤちゃんとは、バスケ部のマネージャーで、まなみとリョータと同じクラスの女の子。
とてもスタイルがよくて美人さん。まなみは特別に仲がいい訳ではないが、クラスメイトということもあり、何度も話をしたことがある。
そしてリョータがアヤちゃんに夢中な事も知っている。……リョータの一方的な片想いという事も。
その為、まなみは目に涙を浮かべながら大笑いだ。
「……そうだよな。ありえねぇよな」
「三井さんは心配性ですね?そんなに私のことが大好きなんですか?」
「調子こくなよ」
まなみは悪態をつく三井の腕にぎゅっとからまる。そして「大好き」と言って三井に笑いかけた。
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「ってゆー夢を見たんだって」
「へぇ、三井サンやるじゃん」
授業中の屋上、聞こえるのはリョータとまなみの話し声……そして2人が唇を重ね合う音。
「本能的になんか気付いてんのかね?」
「バレたらどうする?」
「ヤベぇじゃん、オレ三井サンに殺される」
リョータはまなみの耳元へ手を添え、頬にキスをする。
2人の関係が始まったのは1年生の頃。
きっかけなんてもう覚えていない。そんなものは別に覚えている必要も無い。
まなみが三井と付き合い始めてもその関係が終わることはなかった。
「あ~あ、三井サンもまなみちゃんにこんな事してると思うと、妬けちゃうなぁ」
リョータはチュッチュッとついばむように何度もまなみの瞼や頬にキスをしながら言う。
「あ~あ、アヤちゃんにも見せてやりたいよ、ほかの女にこんな事してるリョータくんを」
まなみはリョータのキスに応えるかのように、彼の首へ手を回す。
「手厳しいね、まなみちゃん」
「どっちが」
その時、キーンコーンカーン…と学校の鐘が鳴り響いた。
「ちぇっ、終わりかー。オレ次はサボれねぇんだよなぁ」
「私はもう1時間サボってくね」
リョータは軽くまなみにキスをして屋上から出て行った。
まなみがふぅ…と一息ついて、手すりに腕を乗せるとフワリと人の温もりに包まれる。
「見せつけられちまったな」
後ろからまなみを抱きしめてそう言ってきたのは、1年生の洋平だった。
「やっぱりいたんだ」
「ははっ、まなみさん気付いてたの?」
「給水塔のとこに登ってたんでしょ?微かにタバコの匂いがしたもん」
「まなみさんにはかなわねぇな……」
洋平はまなみの身体を自分の方へと向かせ、片手で腰を抱きながらキスをする。
もう片方の手は先程リョータが触れていた、まなみの耳元に寄せながら。
「なぁ、誰が本命なわけ?」
「……教えない」
ここまで来たらとことん沈むしかない、どん底まで。誰が何を想っていようと、誰が何をしようと。
ただ欲望のままにーー。
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