願い
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1年に1度の大切な日。
大切な人の誕生日。
4月1日は大好きな彼氏、桜木花道の誕生日。
「誕生日おめでとう!」
「ありがとうございます!」
部活が終わった花道に私の家に来てもらって、部屋でささやかながら2人で花道の誕生日パーティが始まる。
少しの量だけど、お母さんに教わりながら料理も頑張ったし、プレゼントの用意もバッチリだ。
「美味い!!これめちゃくちゃ美味いっすよ!!」
花道はバクバクと私が作った料理を美味しそうに物凄い勢いで食べてくれる。
「そんなに急いで食べたら喉つまらせるよ」
私は笑いながらその光景を眺める。
幸せだなぁ…と想いを噛み締めながら。
ーと、案の定花道は食べ物を喉につまらせ咳き込み始めた。
「ほら、言わんこっちゃない」
テーブルをはさみ、向かいに座っていた私は花道の隣に移動して背中をさすりながらお水が入ったグラスを手渡す。
ごくごくと喉から音を出しながら花道は必死で水を飲む。そんな姿がおかしくなり、思わず私は笑ってしまった。
そんな私を花道はジッと見てくる。
「あ、ごめんね。花道がおかしくて」
その時軽く、ほんとうに軽く花道の唇が私の唇に重なる。
「……あっ、すすすすすいません…いきなり」
花道は土下座でもするんじゃないかという勢いで私に謝った。
付き合って半年…キスはするようになった。けれど、遊んだ時の帰り際などに1回か2回…。
こんな風に急にされるのは初めてだった。
「謝る必要なんてないよ。好きな人からのキスなんて嬉しいに決まってるじゃん」
そう、嬉しいに決まっている。
そして……もっとして欲しいなんて言えない。
私はもっと花道に触れたいし、触れて欲しい。キスだってもっと自分からもしたい。
けど……幻滅されるのが怖い。
花道が好きなのはきっと大人しくて、可愛らしい女の子。
そう、ハルコちゃんみたいなーーー。
「まなみさん?」
花道の呼び掛けに私はハッとして、花道の顔を見た。心配そうに私を見つめる花道。
「まなみさん最近部活見に来てくれないんですね」
「えっ」
意表を突く花道の言葉に驚きの声が漏れる。そりゃそうだろう、だってそんな事を言われるなんて思ってもいなかったのだから。
そして花道の部活を見に行っていないのには理由があったからーー。
私が花道を好きになったのは、友達に誘われて見に行ったバスケ部の練習がきっかけだった。もちろん真っ赤な髪のどデカい花道の存在はクラスが違っても知っていたし、なんなら中学の頃から学校が違っていても存在は有名で知っていた。
同じ高校になっても、そんな不良と関わることなんて思ってもいなかったし、むしろ関わらないように過ごそうと思っていた。
けど、いつの間にかバスケ姿の花道から目が離せなくなって…廊下ですれ違う度にドキドキするようになって、花道の教室の前を通る時には姿を探した。
恋しちゃったんだな、真っ赤な髪のこの人に。
そんな私は自分の気持ちに気付いた時には失恋決定だった。
だって花道には大好きな女の子がいたから。
その頃は私と同じくバスケ部見学の常連だったハルコちゃんだ。
花道はまるでハルコちゃんの為にバスケをしているようだった。夏のインターハイが終わったあと私はダメ元で花道に告白をした。
するとまさかのOK。返事をもらうまでに1ヶ月かかったけどね。
付き合って半年たって本当に私は大事にされているし、愛されていると思っている。
はずだったのにーーー。
今になって急に不安が湧き上がったんだ。
今ではバスケ部のマネージャーをしているハルコちゃんの存在に。
付き合えた当初は夢のようで、用事がない時はいつもバスケ部を見に行って舞い上がっていた。
だから気になんてしていなかったんだ、ハルコちゃんの存在を。
舞い上がった気持ちが落ち着いてきた今、バカみたいだけれど…ハルコちゃんと話す花道の姿に勝手に嫌な気持ちになって、1人で落ち込んで、気付いたらバスケ部の見学に行かなくなっていたのだ。
「いや、あの…天才なんでもちろんいつもゼッコーチョーなんですけど……やっぱりまなみさんの応援があった方が頑張れると言うか……」
真っ赤な髪をした見た目とは違って花道はいつだって私に真剣に向き合ってくれる。
「……ごめんなさい」
花道と向き合って座っている私はペコりと頭を下げて謝る。花道は突然謝りだした私に慌てている。
「勝手にヤキモチ妬いてました。ハルコちゃんと話す花道を見たくなくて……バスケ部行くのやめてました」
「ヤキモチ…」
「あはは、ごめんね。1人で勝手に不安になっちゃってたんだよね。バカみたいでしょ、気にすることなんてな」
「まなみさん!!」
「はっ、はい!!」
私の言葉を遮り名前を呼ぶ花道に思わず私は姿勢をただし、大きな声で返事をした。
まるで出欠をとる時のような返事を。
そんな私をしっかりと見つめ、ギュッときつく手を包み込む花道。
「オレは今、まなみさんが大好きです。もちろんこれからもずっと」
「花道……」
「この天才を信じてください。一生をかけてまなみさんを守り続けていきます」
プロポーズのような花道の言葉に私の心はスっと軽くなる。むしろ背中に羽が生えて飛んでいきそうなぐらいに。
「ありがとう…花道大好き…」
「オレも大好きです」
私たちはそう言って抱き合い、軽くキスをした。
すると花道は再び少しだけ心配そうな顔で私に問いかける。
「この天才になんでも言ってください!不安や…その、あの…ふ、不満…も」
一気に自信を無さげに沈む花道に私はおかしくなり、クスリと笑みがこぼれる。
「じゃあひとつだけ言っていい?」
「ど、どうぞ!!」
「もっとイチャイチャしたい、花道と」
「いっ、イチャイチャ?!」
顔を真っ赤にする花道。
……でもひいたり、嫌そうな顔はしていない。
「私は花道にもっと触れたいし、触れて欲しいよ。キスだってもっとした…んっ」
キスがしたいーー。
そう言い終える前にその願いは叶えられる。
初めてする深い深いキス。
長いキスのあと、酸素を取り込むかのように2人して大きく息を吸う。
「オレ…もう止めなくていいってことっすね?」
ーーーそうなりますね。
大好きな人の誕生日にプレゼントをもらったのは私になっちゃった。
HappyBirthday花道♡
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