約束
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「はい、次の方どうぞー」
係員のその言葉に私たちはゆっくりと観覧車の中へと入った。
少しだけ観覧車が揺れて、身体がグラつく。
そんな私の背中を流川くんはそっと支えてくれる。
そして私たちは向き合って座った。
「これどれぐらいの時間なんだろーね?」
「10分ぐらいじゃねぇの?」
……違う。
こんな当たり障りのない会話をしたいんじゃない。
けれど、どうしても切り出せない。
「あ」
その時流川くんが窓を見ながら短く声を発した。
その声に私も流川くん側の外の景色へと視線をうつした。
するとーーー
「…キレイ」
てっぺん近くまで上がってきた観覧車から見えたのは海。
すでに辺りは暗くなっており、船なのか岸の方の灯りなのかわからないけど、海はキラキラ光っていてとてもキレイだった。
「こっち来れば?」
そう流川くんに促され、私は流川くんの隣へと座った。
「すごいね、こんなにキレイな景色見れると思わなかっ…」
私の心臓は今日1番大きな音をたてた。
景色ではなく、私をジッと見つめる流川くんに対して。
この距離でそんなに見つめられると……
「おい」
「な、なにっ?!」
私は流川くんの呼び掛けに思わず声が裏返ってしまう。
「なに考えてる」
「え?」
「なんか考えてんだろ」
思いもよらなかった流川くんの言葉に動揺の色を隠せない。
流川くんはそのまま心を覗くかのように、私の目をジッと見つめ続ける。
「な、なんかって…」
私は心を見透かされるのが怖くて、思わず目を逸らした。
するとギュっと流川くんは私を抱きしめる。
「流川くん?!」
「言え」
ーーバレてる?
私の考えてること…。
そう思っていると、私たちより2個上の観覧車の中の子供が窓に張り付いてこちらを見ている事に気付いた。
まずいまずいまずい。
「る、流川くん!とりあえず離して?ね?!」
「イヤだ。言うまで離さねー」
「いやいや!子供ちゃんが見てるから!!」
「カンケーねぇ」
流川くんはそう言っていっそう強く私を抱きしめる。
「わかった!わかったから!言うから!」
するとゆっくりと私を抱きしめている流川くんの力は弱くなっていった。
「……言わなきゃダメなことだし」
ポツリと言った私の言葉は流川くんに聞こえていたかどうかはわからない。
私は姿勢を正して流川くんの隣に座り直し、「ふぅ」と一息ついて話を始めた。
「えっと…あの、ね…」
別れを切り出すのがこんなに辛いなんて知らなかった。
ひとつひとつの言葉が喉の奥に詰まって出てこない。
だって……ホントは別れたくなんてないだもん。
私は下を向き、ぎゅっと強く握りこぶしを作った。
「言っとくけど、オレはおめーもバスケも手放す気はねぇからな」
……え?
言葉に詰まっている私の頭の上から聞こえてきた声にゆっくりと顔を上げ、流川くんを見た。
「どーせろくでもねぇこと考えてたんだろ」
「い、いや…その…」
はぁ…と流川くんは大きなため息を吐いた。
まるでヤレヤレとでも言っているかのように。
「だ…だって」
ダメだーー。
泣きたくなんてないのに、瞬きをするたびに私の目からは大粒の涙がポタポタとこぼれ落ちる。
「流川くんがっ…アメリカに行くのは…すごく嬉しいし、応援…してる……けどっ…」
流川くんの夢が私の夢、なんて綺麗事は言えない。
流川くんが日本に帰ってくるということは、喜ばしいことではない。
夢破れて日本に戻ってきたってなんにも嬉しくない。
けどーー
離れたいわけないじゃん。
大好きな人と。
「ごめんね…私ワガママだから、戻ってくるかもわからない恋人の事……待てないや」
私は笑顔でそう言った。
無理やり作った笑顔で。
かっこつけて、笑って終わりーーそう思ってたのに。
「は?!」
眉をしかめ、怪訝そうな顔の流川くん。
「待つのはオレじゃねーか」
………………はい?
私が流川くんを待たす?
「おめーがアメリカ来るまで待つのはオレだろ」
「私がアメリカ?!」
思わず大きな声を出してしまい、慌てて私は自分の口を抑えた。
「え?!流川くん、何言ってるの?私4月からは日本の大学行くんだよ?」
そう、私は県外ではあるが日本の大学へと進路を決めていた。
「おめーのやりたい事はこっちでしかできねーのか?」
「い、いや…そんな事はないと思います…」
「ならやっぱり待つのはオレだろ」
呆気に取られた私は思わず敬語になる。
私が大学卒業するまで流川くんがアメリカで待つってこと?!
自分がアメリカに行く事を考えなかった訳では無い。
でもそれはあまりにも現実離れしすぎていて、ましてやーーーー
「だって…流川くん1度もついてきてくれとか言わなかったじゃん……」
そう、流川くんに「ついてきて欲しい」なんて言われた事は1度もなかった。
「……言ってなかったっけ?」
流川くんは顎に手をあて、考え込んでいる。
「言ってないよ!!!」
私はガタッと勢いよく立ち上がった、と、その拍子に観覧車は大きく揺れ、私はバランスを崩してそのまま流川くんの胸の中へと倒れ込んでしまった。
それを流川くんは優しく包み込んでくれる。
「ついてきてほしい」
私を抱きしめながら低く、優しい声で言う流川くん。
……ずるい。
そんなの断れると思う?
「……うん」
私が小さい声でそう言うと、流川くんはそっと私にキスをした。
そして
小さく微笑んだ。
しょせんは10代の子供の約束事って周りは思うかもしれない。
おままごとの約束事って思われるかもしれない。
それでもいい。
ずっとこの想いを、ゆるぎないこの想いを心の中で大事にしていく。
2人でずっと、いつまでも。
係員のその言葉に私たちはゆっくりと観覧車の中へと入った。
少しだけ観覧車が揺れて、身体がグラつく。
そんな私の背中を流川くんはそっと支えてくれる。
そして私たちは向き合って座った。
「これどれぐらいの時間なんだろーね?」
「10分ぐらいじゃねぇの?」
……違う。
こんな当たり障りのない会話をしたいんじゃない。
けれど、どうしても切り出せない。
「あ」
その時流川くんが窓を見ながら短く声を発した。
その声に私も流川くん側の外の景色へと視線をうつした。
するとーーー
「…キレイ」
てっぺん近くまで上がってきた観覧車から見えたのは海。
すでに辺りは暗くなっており、船なのか岸の方の灯りなのかわからないけど、海はキラキラ光っていてとてもキレイだった。
「こっち来れば?」
そう流川くんに促され、私は流川くんの隣へと座った。
「すごいね、こんなにキレイな景色見れると思わなかっ…」
私の心臓は今日1番大きな音をたてた。
景色ではなく、私をジッと見つめる流川くんに対して。
この距離でそんなに見つめられると……
「おい」
「な、なにっ?!」
私は流川くんの呼び掛けに思わず声が裏返ってしまう。
「なに考えてる」
「え?」
「なんか考えてんだろ」
思いもよらなかった流川くんの言葉に動揺の色を隠せない。
流川くんはそのまま心を覗くかのように、私の目をジッと見つめ続ける。
「な、なんかって…」
私は心を見透かされるのが怖くて、思わず目を逸らした。
するとギュっと流川くんは私を抱きしめる。
「流川くん?!」
「言え」
ーーバレてる?
私の考えてること…。
そう思っていると、私たちより2個上の観覧車の中の子供が窓に張り付いてこちらを見ている事に気付いた。
まずいまずいまずい。
「る、流川くん!とりあえず離して?ね?!」
「イヤだ。言うまで離さねー」
「いやいや!子供ちゃんが見てるから!!」
「カンケーねぇ」
流川くんはそう言っていっそう強く私を抱きしめる。
「わかった!わかったから!言うから!」
するとゆっくりと私を抱きしめている流川くんの力は弱くなっていった。
「……言わなきゃダメなことだし」
ポツリと言った私の言葉は流川くんに聞こえていたかどうかはわからない。
私は姿勢を正して流川くんの隣に座り直し、「ふぅ」と一息ついて話を始めた。
「えっと…あの、ね…」
別れを切り出すのがこんなに辛いなんて知らなかった。
ひとつひとつの言葉が喉の奥に詰まって出てこない。
だって……ホントは別れたくなんてないだもん。
私は下を向き、ぎゅっと強く握りこぶしを作った。
「言っとくけど、オレはおめーもバスケも手放す気はねぇからな」
……え?
言葉に詰まっている私の頭の上から聞こえてきた声にゆっくりと顔を上げ、流川くんを見た。
「どーせろくでもねぇこと考えてたんだろ」
「い、いや…その…」
はぁ…と流川くんは大きなため息を吐いた。
まるでヤレヤレとでも言っているかのように。
「だ…だって」
ダメだーー。
泣きたくなんてないのに、瞬きをするたびに私の目からは大粒の涙がポタポタとこぼれ落ちる。
「流川くんがっ…アメリカに行くのは…すごく嬉しいし、応援…してる……けどっ…」
流川くんの夢が私の夢、なんて綺麗事は言えない。
流川くんが日本に帰ってくるということは、喜ばしいことではない。
夢破れて日本に戻ってきたってなんにも嬉しくない。
けどーー
離れたいわけないじゃん。
大好きな人と。
「ごめんね…私ワガママだから、戻ってくるかもわからない恋人の事……待てないや」
私は笑顔でそう言った。
無理やり作った笑顔で。
かっこつけて、笑って終わりーーそう思ってたのに。
「は?!」
眉をしかめ、怪訝そうな顔の流川くん。
「待つのはオレじゃねーか」
………………はい?
私が流川くんを待たす?
「おめーがアメリカ来るまで待つのはオレだろ」
「私がアメリカ?!」
思わず大きな声を出してしまい、慌てて私は自分の口を抑えた。
「え?!流川くん、何言ってるの?私4月からは日本の大学行くんだよ?」
そう、私は県外ではあるが日本の大学へと進路を決めていた。
「おめーのやりたい事はこっちでしかできねーのか?」
「い、いや…そんな事はないと思います…」
「ならやっぱり待つのはオレだろ」
呆気に取られた私は思わず敬語になる。
私が大学卒業するまで流川くんがアメリカで待つってこと?!
自分がアメリカに行く事を考えなかった訳では無い。
でもそれはあまりにも現実離れしすぎていて、ましてやーーーー
「だって…流川くん1度もついてきてくれとか言わなかったじゃん……」
そう、流川くんに「ついてきて欲しい」なんて言われた事は1度もなかった。
「……言ってなかったっけ?」
流川くんは顎に手をあて、考え込んでいる。
「言ってないよ!!!」
私はガタッと勢いよく立ち上がった、と、その拍子に観覧車は大きく揺れ、私はバランスを崩してそのまま流川くんの胸の中へと倒れ込んでしまった。
それを流川くんは優しく包み込んでくれる。
「ついてきてほしい」
私を抱きしめながら低く、優しい声で言う流川くん。
……ずるい。
そんなの断れると思う?
「……うん」
私が小さい声でそう言うと、流川くんはそっと私にキスをした。
そして
小さく微笑んだ。
しょせんは10代の子供の約束事って周りは思うかもしれない。
おままごとの約束事って思われるかもしれない。
それでもいい。
ずっとこの想いを、ゆるぎないこの想いを心の中で大事にしていく。
2人でずっと、いつまでも。