約束
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最後ぐらい満面の笑み、見せてくれてもいいんじゃない?
ーーーこれで最後なんだから。
「ねえ、イルカって数キロ先でも声が届くんだって」
「へぇ」
興味無さそうに返事をするのは私の大好きな人。
3日後に日本から旅立つ大好きな彼氏。
流川楓くん。
「でも、数キロだったら流川くんの所までは届かないか」
私は流川くんに聞こえるか聞こえないかぐらいの声で、小さく笑いながら呟いた。
流川くんが旅立つ先はバスケットの国、アメリカ。
日本からの距離は1万キロ以上。
さすがのイルカさんもお手上げだね。
その時、頭の上に重みを感じた。
流川くんの手だ。
ポンと私の頭の上に手を乗せ、先へと進んで行く。
「あ、待ってよ!」
慌てて流川くんの後ろ姿を私は追いかけた。
……聞こえてたのかな?
今日は最後のデート。
私が大好きな水族館でのデート。
卒業式も終え、無事に高校生活は終了。
高校3年間ずっとバスケ漬けだった流川くんと付き合って1年半。
外に出かけるデートらしいデートなんて、片手で数えられる程度だった。
それでも私は流川くんが好きだったし、流川くんからの愛情だってちゃんと伝わっていた。
……伝わりにくい時もあるけどね。
「うわ…すごい」
やってきたのはアクアトンネルだ。
大きな水槽がトンネルになっていて、まるで自分が水の中にいるようだった。
「キレイ……」
私は思わずため息にも似たような声が自然に出て、ソっと水槽に手を寄せた。
少しだけ水の冷たさを手のひらに感じていると後ろから「ホントだな」と流川くんの声。
振り返ると目が合う。
もちろん流川くんと。
「キレイだ」
流川くんの口からそんな言葉が出てきた事に私は驚いた。
そういう感情持ってるのか…なんて少し失礼な事を思ったけど、それは内緒。
「ね、キレイだね!」
「おめーがな」
…………え?
「私?!」
思わず大きな声が出て、慌ててキョロキョロしながら手で口を塞ぐ。
すると流川くんは私の隣に並び、私がしたようにソっと水槽に手を寄せた。
水槽の中を見つめる流川くんの顔は水の光に反射してとてもキレイで、私は流川くんの横顔から目が離せなかった。
ーー流川くんも私の事こういう風に思ってくれたってこと?
やめてよ。
離れられなくなっちゃうじゃん…。
私の決心が揺らいじゃうよ。
もう、決めたんだから。
『本日の来館まことにありがとうございます。本館はあと30分で閉館となります』
館内にアナウンスが響いた。
もう夢の時間も終わり。
心がズキズキと音を立て痛み出す。
でも、もう決めたんだから…もう……。
「じゃ、じゃあ帰ろっ…」
私が声を発すると流川くんは私ではなく、反対方向を見ていた。
その視線の先を見てみるとーー
「…観覧車」
この水族館には小さな遊園地がある。
流川くんの視線の先にあるのものはその遊園地の観覧車だった。
すると流川くんは入口でもらったチケットをポケットから取り出した。
その様子を見て私もある事を思い出し、自分のチケットをカバンから取り出す。
チケットには『本日観覧車無料』の文字。
『流川くん!今日観覧車タダだって!帰りにでも乗ろうよ!』
……自分で言ったことスッカリ忘れてたよ。
流川くん覚えてくれてたんだね。
いつもなら一気に顔の表情が崩れニヤニヤするところだけど、今日ばかりはその優しさが苦しくて、どんな顔をしていいかわからなかった。
今日私が決めていること。
大好きな流川くんときちんとお別れする。
ーーーこれで最後なんだから。
「ねえ、イルカって数キロ先でも声が届くんだって」
「へぇ」
興味無さそうに返事をするのは私の大好きな人。
3日後に日本から旅立つ大好きな彼氏。
流川楓くん。
「でも、数キロだったら流川くんの所までは届かないか」
私は流川くんに聞こえるか聞こえないかぐらいの声で、小さく笑いながら呟いた。
流川くんが旅立つ先はバスケットの国、アメリカ。
日本からの距離は1万キロ以上。
さすがのイルカさんもお手上げだね。
その時、頭の上に重みを感じた。
流川くんの手だ。
ポンと私の頭の上に手を乗せ、先へと進んで行く。
「あ、待ってよ!」
慌てて流川くんの後ろ姿を私は追いかけた。
……聞こえてたのかな?
今日は最後のデート。
私が大好きな水族館でのデート。
卒業式も終え、無事に高校生活は終了。
高校3年間ずっとバスケ漬けだった流川くんと付き合って1年半。
外に出かけるデートらしいデートなんて、片手で数えられる程度だった。
それでも私は流川くんが好きだったし、流川くんからの愛情だってちゃんと伝わっていた。
……伝わりにくい時もあるけどね。
「うわ…すごい」
やってきたのはアクアトンネルだ。
大きな水槽がトンネルになっていて、まるで自分が水の中にいるようだった。
「キレイ……」
私は思わずため息にも似たような声が自然に出て、ソっと水槽に手を寄せた。
少しだけ水の冷たさを手のひらに感じていると後ろから「ホントだな」と流川くんの声。
振り返ると目が合う。
もちろん流川くんと。
「キレイだ」
流川くんの口からそんな言葉が出てきた事に私は驚いた。
そういう感情持ってるのか…なんて少し失礼な事を思ったけど、それは内緒。
「ね、キレイだね!」
「おめーがな」
…………え?
「私?!」
思わず大きな声が出て、慌ててキョロキョロしながら手で口を塞ぐ。
すると流川くんは私の隣に並び、私がしたようにソっと水槽に手を寄せた。
水槽の中を見つめる流川くんの顔は水の光に反射してとてもキレイで、私は流川くんの横顔から目が離せなかった。
ーー流川くんも私の事こういう風に思ってくれたってこと?
やめてよ。
離れられなくなっちゃうじゃん…。
私の決心が揺らいじゃうよ。
もう、決めたんだから。
『本日の来館まことにありがとうございます。本館はあと30分で閉館となります』
館内にアナウンスが響いた。
もう夢の時間も終わり。
心がズキズキと音を立て痛み出す。
でも、もう決めたんだから…もう……。
「じゃ、じゃあ帰ろっ…」
私が声を発すると流川くんは私ではなく、反対方向を見ていた。
その視線の先を見てみるとーー
「…観覧車」
この水族館には小さな遊園地がある。
流川くんの視線の先にあるのものはその遊園地の観覧車だった。
すると流川くんは入口でもらったチケットをポケットから取り出した。
その様子を見て私もある事を思い出し、自分のチケットをカバンから取り出す。
チケットには『本日観覧車無料』の文字。
『流川くん!今日観覧車タダだって!帰りにでも乗ろうよ!』
……自分で言ったことスッカリ忘れてたよ。
流川くん覚えてくれてたんだね。
いつもなら一気に顔の表情が崩れニヤニヤするところだけど、今日ばかりはその優しさが苦しくて、どんな顔をしていいかわからなかった。
今日私が決めていること。
大好きな流川くんときちんとお別れする。
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