プレゼント
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悔しい。
悔しい悔しい悔しい!!!
なんでいつも…。
なんでいつもドキドキしてしまうんだろう。
こいつに!!!
でもそんな想いをいつまでたっても伝えられない自分がもどかしくて…悔しい。
「お前たまには部活見に来れば?」
放課後に帰り支度をしていると、1人の人物に話しかけられた。
相手はクラスメイトで私がマネージャーをしていたバスケ部のキャプテン兼監督の藤真健司。
選手は冬の選抜まで残っているが、マネージャーである私は夏の大会で引退しなければならないのがこの学校のきまりだった。
「受験勉強あるし」
そっけなくそう応えると、藤真は私の腕をつかみ強制連行し始めた。
「ちょっと!藤真!!」
「たまには息抜きしねぇと、その石頭さらに硬くなんぜ?!」
「失礼な!って、ちょっとぉぉ!!」
私の意志は無視され、玄関ではなく体育館へと引きずられる。
藤真によってズルズルと。
「よし、今日はここまで!」
結局私は部活を最後まで見学してしまった。
そりゃそうだよ、大好きだもんバスケが。
そして何よりーー
バスケをしている藤真が好きだから。
もう片想い歴は2年。
最初はキレイな顔してるなぁって…ドキドキしていたけど、そんなの一瞬で終わった。
いつも自信満々で、悪く言えば自分勝手。
何度振り回されたことか。
けれど、バスケの実力は確かだし、キャプテン兼監督になってからは部員みんなから信頼され、頼られていた。
そして誰よりも翔陽バスケ部の事を考えている、そんな奴なのだ。
そんな藤真に心惹かれたんだもん。
翔陽のバスケ部は言わずとも厳しい。
それはマネージャーも同じで、ミーハーな気持ちでマネージャーとして入ってきた子はまず続かなかった。
私は翔陽に入学してすぐにマネージャーとして入部したけれど、一緒に入部した子たちは誰一人最後まで残らなかった。
今は2つ歳下の後輩マネージャーが1人で頑張っているようだった。
「藤真さん!」
そのマネージャーが部活終わりに藤真の元へと走り寄ってきた。
顔を赤らめ、見るからに藤真に好意があるようだ。
……なんでこんな光景見なくちゃいけないの。
私はザワザワと騒ぎ出す自分の心に耐えられなくなり、そのまま体育館から去った。
外へ出ると空気がひんやりして、冷たさが心に刺さってくる。
風の冷たさでなんだか涙が出そうだった。
うん、寒さのせい。
部活でみんなが頑張ってるのを見て、寂しくなったのも寒さのせい。
全部寒さのせい。
よりによってなんで今日こんな気持ちにならなきゃいけないの……。
今日はーーーー
「まなみ!!!」
家までの道を歩いていると大きな声とともにグッと肩をつかまれ、後ろを向かされる。
自分勝手な男に。
「お前なに勝手に帰ってんだよ」
息を切らし走ってきたのは藤真だった。
「な、なに?!」
こんなに慌てている藤真を見るのは珍しく、私の心臓は大きな音をたてる。
「だからなに勝手に帰ってんだよ!」
「いつ帰ったって私の勝手じゃん!」
すると藤真は「はぁ」とため息をつき、真っ直ぐに私の目を見る。
キレイなその瞳に私の心臓はますます大きな音をたてる。
藤真に聞こえてしまうじゃないかと心配になるほどに。
「なんでオレが今日お前を部活に誘ったと思ってんだよ」
「……え?」
「誕生日だろ今日」
まさかの言葉だった。
今日いちにち教室ではそんなこと一言も言われなかったのに。
「そ、そうだけど…それとなんの関係が……」
すると藤真はズイっと1歩前へ出て、私の顔の間近でニヤリと笑った。
「見たかったろ?オレのバスケしている姿」
……なんなのコイツは。
だけど図星なのが悔しい。
「うぬぼれないでよ」
私はプイッと藤真から顔を逸らして言う。
けれど、動揺の色を隠しきれている気がしない。
「誕生日プレゼントやろーか」
「え?!」
私は驚いて再び藤真の顔を見た。
「オレの彼女になる権利」
キュッと私の手を包み込みながら藤真は言った。
その顔は試合中のような真剣な表情だ。
「それって…」
「お前にとって最高のプレゼントだろ?」
そう言って真剣な顔から一変し、再び藤真はニヤリとする。
ーーどこまでも私の心はお見通しらしい。
悔しいけど、、、
最高のプレゼントだよ。
Happybirthday to me
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