現状
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いつの頃からか君はオレにとって特別な女の子になったんだ。
「おはよう!神くん!」
「おはよう、佐藤さん」
海南高校に入学して、オレは面白い女の子と隣の席になった。
名前は佐藤まなみさん。
明るくて、誰とでもよく喋る子。
「よう、まなみ!今日誕生日だろ?!」
「うんっ!よく覚えててくれたね!」
「昨日言ってたろ」
1人のクラスメイトの男子が佐藤さんの頭をグリグリと撫で回す。
「ちょっと!これ以上背が縮んだらどうすんの?!」
この男子は佐藤さんの中学からの同級生らしく、よく一緒にいるのを見かける。
付き合ってるのかな?なんて思ったりもしたけど、どうやらそれはないらしい。
それを知った時、心底ほっとしたのを今でも覚えている。
気付いた時にはオレは佐藤さんに心を持っていかれていたらしい。
裏表がなくコロコロと表情を変える彼女に、いつの間にか夢中になっていた。
けど、佐藤さんにとってはオレは単なるクラスメイトの1人。
特別な感情を抱いているとは思えない。
だから……
まずはオレを意識してもらわなきゃね。
「佐藤さん今日誕生日なんだ?」
「うん!そうなの」
みんなが自分の席につき朝のホームルームが始まる前、オレは佐藤さんに話しかける。
「じゃあ、これあげるよ。誕生日おめでとう」
そう言ってオレは持っていたチョコレートを手渡した。
「え?!いいの?!」
目をキラキラと輝かせる彼女にオレは自然と顔がほころぶ。
「いいよいいよ、もっと前に知ってたらもう少しいいモノ用意したんだけどね」
「ううん!これでもちょー嬉しいよ!」
……その笑顔、今はオレだけのものでいいよね?
「神くんの誕生日っていつ?」
「あ、オレ4月なんだよね」
「えぇー!!もう終わってるじゃーん!せっかく私も誕生日プレゼントあげたかったのに」
ガッカリする佐藤さんは本当にかわいくて、今すぐにでも抱きしめたくなる。
「じゃあさ、神くん来年の4月楽しみにしててよ!」
「ははは、今から来年の話?」
佐藤さんらしい話にオレは笑ってしまう。
来年の4月なんてクラス替えもあるし、どうなっているかもわからないのに、彼女の言動は社交辞令とは思えない。
本気で思ってくれているのだ。
「なにか欲しいものある?」
「今?」
今聞くの?とまたまたオレはおかしくて笑ってしまう。
「うっ…さすがに早かったかな?」
欲しいもの、かーーー。
オレは佐藤さんが欲しいんだけど、まだそんな事は言わないよ。
今は、ね。
「あ、オレ欲しいものあった」
「なに?」
「佐藤さんを『まなみ』って呼ぶ権利」
「え?!」
オレは佐藤さんの目をじっと見つめる。
オレから逃れられないようにーー。
今この瞬間だけはオレの事だけを考えて欲しい。
すると佐藤さんから動揺の色が見受けられた。
「じ、神…くん?」
「せっかく隣の席なんだし、それにみんな佐藤さんのこと『まなみ』って呼んでるでしょ?」
オレはニッコリと笑う。
「も、もちろんOKだよ!」
今はまだ、これでいいーーー。
今は、ね?
「じゃあ、改めて誕生日おめでとう。まなみ」
さて…来年のオレの誕生日までにどうやってこの関係を前進させようかな。
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