渇望
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あなたはわかっていないんだろうなぁ。
俺がどんな気持ちであなたを抱いているのか。
きっかけは些細なこと…ではなかったかな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
とある会議室の前の廊下。
偶然通り掛かった俺は会議室から聞こえてきた、聞き覚えのある声に足を止めた。
「もう会わない。私だって幸せになりたいもの」
ーー別れ話ってやつか。
いつもなら他人のそんな事興味がなかった。
けれど、声の主がまなみさんだってわかった瞬間なぜか自然に足が止まった。
「それ隠れてるつもり?」
会議室から廊下に出てきたまなみさんに俺は慌てて近くにあった観葉植物の後ろに身を潜めたが、、、
無理あるよな。俺は笑ってごまかす。
「口止め料払うから、今日練習終わったら飲み行くよ」
「ははは、拒否権はなさそうですね」
それから練習後、俺達は居酒屋へと来ていた。
練習、というのは俺が働いている会社のバスケ部の練習の事だ。
大学卒業後、バスケの実業団で有名だったこの会社に入社した。
もう4年目になる。
そして目の前にいるのは同じ課の先輩であるまなみさんだ。
「聞いていいよ?」
まなみさんは俺の考えを見据えたかのように話した。
「えっと、じゃあまず課長とはいつから…」
「あ、課長だってもうわかってんだ?」
「だってちょっとドア空いてましたよ」
俺は先程見た光景を思い出す。
めったに人が使わないあそこの会議室、逢い引きするにはもってこいの場所だった。
「いつからだっけなぁ…5年前くらい?」
首を傾げながらまなみさんは話を続けた。
正直5年は驚いた。
俺が入社する前からじゃないか。
「始まった頃はまだ課長じゃなかったのにねぇ…結婚はしてたけど」
「不倫、てことですか?」
「そうだね。にしてもハッキリ言うねぇ」
今更遠回しに言っても仕方ないだろう。
きっとまなみさんもそれをわかっているはずだ。
そして焼き鳥を頬張りながらまなみさんは話を続けた。
「不倫てさもちろん隠さなきゃいけないじゃない?」
「そうですね」
「だから、自然に嘘がうまくなるんだよ」
まなみさんは俺とは目を合わさずに話し続ける。
「嘘…ですか?」
「そ、自分の気持ち隠すのがうまくなっていくの」
「……」
「そしたらさ、何がホントの自分なのかわかんなくなっちゃった」
元々綺麗な人だな、とは思っていた。
仕事はできるし、面倒見もいい。
ただ、少しだけいつも他人と距離を置いているように見えていたーー。
そして今、少しだけ寂しそうに笑うあなたに俺の心はハッキリとわかったんだ。
なぜ会議室であなたの声が聞こえてきた時に、自然に足が止まったのかも。
俺の想いはただ1つ。
「俺には見せてくれないんですか?」
「ん?」
「ホントのまなみさん」
あなたが欲しい。
俺がどんな気持ちであなたを抱いているのか。
きっかけは些細なこと…ではなかったかな。
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とある会議室の前の廊下。
偶然通り掛かった俺は会議室から聞こえてきた、聞き覚えのある声に足を止めた。
「もう会わない。私だって幸せになりたいもの」
ーー別れ話ってやつか。
いつもなら他人のそんな事興味がなかった。
けれど、声の主がまなみさんだってわかった瞬間なぜか自然に足が止まった。
「それ隠れてるつもり?」
会議室から廊下に出てきたまなみさんに俺は慌てて近くにあった観葉植物の後ろに身を潜めたが、、、
無理あるよな。俺は笑ってごまかす。
「口止め料払うから、今日練習終わったら飲み行くよ」
「ははは、拒否権はなさそうですね」
それから練習後、俺達は居酒屋へと来ていた。
練習、というのは俺が働いている会社のバスケ部の練習の事だ。
大学卒業後、バスケの実業団で有名だったこの会社に入社した。
もう4年目になる。
そして目の前にいるのは同じ課の先輩であるまなみさんだ。
「聞いていいよ?」
まなみさんは俺の考えを見据えたかのように話した。
「えっと、じゃあまず課長とはいつから…」
「あ、課長だってもうわかってんだ?」
「だってちょっとドア空いてましたよ」
俺は先程見た光景を思い出す。
めったに人が使わないあそこの会議室、逢い引きするにはもってこいの場所だった。
「いつからだっけなぁ…5年前くらい?」
首を傾げながらまなみさんは話を続けた。
正直5年は驚いた。
俺が入社する前からじゃないか。
「始まった頃はまだ課長じゃなかったのにねぇ…結婚はしてたけど」
「不倫、てことですか?」
「そうだね。にしてもハッキリ言うねぇ」
今更遠回しに言っても仕方ないだろう。
きっとまなみさんもそれをわかっているはずだ。
そして焼き鳥を頬張りながらまなみさんは話を続けた。
「不倫てさもちろん隠さなきゃいけないじゃない?」
「そうですね」
「だから、自然に嘘がうまくなるんだよ」
まなみさんは俺とは目を合わさずに話し続ける。
「嘘…ですか?」
「そ、自分の気持ち隠すのがうまくなっていくの」
「……」
「そしたらさ、何がホントの自分なのかわかんなくなっちゃった」
元々綺麗な人だな、とは思っていた。
仕事はできるし、面倒見もいい。
ただ、少しだけいつも他人と距離を置いているように見えていたーー。
そして今、少しだけ寂しそうに笑うあなたに俺の心はハッキリとわかったんだ。
なぜ会議室であなたの声が聞こえてきた時に、自然に足が止まったのかも。
俺の想いはただ1つ。
「俺には見せてくれないんですか?」
「ん?」
「ホントのまなみさん」
あなたが欲しい。
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