切望
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「まなみ!おっはよ!」
「おはよ」
友人が登校中の私の肩にポンと手を乗せ、朝の挨拶をする。
今日もいつも通りの朝がやってきた。
そんな風に思っていた私に、意外な訪問者が現れる。
「ねぇ、校門にいるのうちの生徒じゃないよね?怖そうだけど、イケメンじゃない?」
友人の言葉に校門を見てみるとーー
「三井さん?!」
思わず私は大声を出していた。
私の通う学校の校門前にいるのは、紛れもない湘北高校バスケ部の三井さんだった。
しまったー。
慌てて手で口を抑えるが、私の声に気付いた三井さんはこちらへ歩いてきた。
「よぉ、待ってたぜ」
「私?!?!」
「ちょっと付き合えよ」
そう言って三井さんは私の手首をつかみ、ズンズンと進んでいく。
私の言葉なんて聞きもせず。
「ほら」
「ど、どーも」
やってきた先は近くの海。
三井さんはコンビニで飲み物を買って、私に差し出す。
……私シメられる?
……海に沈められる?
昨日露骨に嫌な顔しちゃったしな。
「あ、あの…なんで私の学校……」
「は?おめー昨日言ってたじゃねぇか」
……そうだったっけ。
「宮城の事好きなんだろ?」
イキナリの爆弾発言に私は飲み物を吹き出しそうになる。
「なっ、なんですか、イキナリ!!」
「図星だろ?」
ごくごくとアイスコーヒーを飲みながら三井さんは私の事は見ずに、立ったまま海を見ながら話をする。
「……関係ないじゃないですか」
そう。
三井さんには関係の無いこと。
言ったところでどうしようもない。
しかも、ソレをリョータにバラされる可能性だってある。
「関係あんだよ」
「なんでですか」
「お前に惚れたから」
三井さんは相変わらず海を見たままだ。
ーーはい?
え、何言ってんの?この人。
惚れ……た?私に??
「はぁ?!?!」
思わず可愛げのない声を出してしまった。
「ま、まぁ、アレだ。一目惚れってやつだな」
「黒頭巾でエプロン姿の女に一目惚れとか、マニアックですね」
「うっせぇよ!!」
三井さんは手で自分の口元を覆いながら話す。
よく見るとその顔は真っ赤だった。
偉そうにしてる言葉遣いとは裏腹なその態度に、思わず笑いがこみあげてくる。
「じゅ、純情!!」
あはは!!と私は大声で笑ってしまった。
「笑いすぎだ!!」
「ごっ、ごめんなさい」
それでも私はヒーヒーと笑いが止まらない。
超ギャップなんだけど!!
「俺と付き合えよ」
今度は真っ直ぐに私を見ながら言う三井さん。
その真剣な顔に私の心臓はドキリと大きく音を立てた。
「ごめんなさい…私」
「宮城が好きなんだろ?」
「……はい」
小さく頷く。
バカな女だと思われるんだろうな。
「俺を使えよ」
「え?」
「宮城を忘れるために俺と付き合えよ」
「……無理なんです」
「あ?」
「今までそうしようとして何人かと付き合ったけど、結局無理だったんです」
そう。
私はリョータを忘れるために他の人と付き合った事がある。
それでもやっぱりダメだった。
むしろ比べてしまい、益々リョータを好きになってしまうのだ。
「そこまでかよ」
「はい……ごめんなさい」
「お前に彼氏いたこと宮城は知ってんのか?」
「いや……知らないと思います」
どの人も3ヶ月ともたなかったのだから。
「まあ、そんなんじゃ諦めねぇけどな」
三井さんのそんな発言に私は目をぱちくりさせる。
「俺はあきらめの悪い男なんだよ」
ニヤリと笑い、三井さんは私の頭をクシャっと撫でた。
「とりあえず、今日だけは付き合ってもらうぜ?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ひゃー!気持ちいい!!」
気付けば私は海に足をつけている。
三井さんに半ば無理やり砂浜まで連れていかれ「行くぞ」と促されて、靴も靴下も脱ぎそのまま海の中へ。
7月の海なんて気持ちいいに決まっている。
今頃みんなはおベンキョー中、なんて思うと余計にニヤニヤしてしまう。
「あ」
私は浜辺まで流れ着いていたワカメを手に取る。
そして
「三井さん、三井さん」
「あん?なんだ……」
べしょ!!!
三井さんの顔へとワカメを投げつける。
「あはははは!べっしょべしょ!!!」
「てんめ……」
すると三井さんはズンズンと私に近づいてくる。
「え、ちょ……わぁ!!」
三井さんは私を担ぐ。
というかお姫様抱っこじゃん!これ!!
落とされないよう私は思わず三井さんの首へと手を回す。
三井さんはどんどん深い所へと進む。
ま、まさか……。
「おらよ!!!」
やっぱり!!
三井さんは私をそのまま海へとぶん投げる、が、意地でも三井さんの首から手を離さない私によって、三井さんもそのままバランスを崩し2人して海の中へーー。
「てめぇ!!!!」
「何よ!三井さんが悪いんじゃないですか!!」
2人でぎゃあぎゃあと、大きな声で言い争いながら海から出る。
もちろん2人ともびしょ濡れだ。
すると三井さんは自分のカバンから何かを取り出し、私へ渡した。
「え」
「黙ってても乾くだろうがよ、とりあえず頭だけでも拭け」
渡してきたものはスポーツタオルだった。
「いや、でも……」
「いいから黙って拭け」
そう言うと三井さんは私に渡したタオルを奪い取り、ガシガシと私の頭を拭き始める。
「ちょ、雑!!!雑だってば!!!」
「るせぇ!ありがたいと思え!」
私達は昨日が初対面とは思えないほど、打ち解け2人ではしゃいだ。
気が付けばもうお昼を過ぎていた。
「やべ!俺、部活行くわ。の前に家でシャワーだなこりゃ」
「……部活はちゃんと行くんですね」
「おう!じゃあまたな!!」
「えっ、ちょ……」
三井さんはそのまま走り去って行った。
なんて自分勝手な人なんだと思いながらも、私はクスリと笑みがこぼれた。
と、私は手に持っているタオルに気付いた。
「忘れてんじゃん」
キュッと三井さんのタオルを持ち直し、私は自分の家へと歩き出した。
「おはよ」
友人が登校中の私の肩にポンと手を乗せ、朝の挨拶をする。
今日もいつも通りの朝がやってきた。
そんな風に思っていた私に、意外な訪問者が現れる。
「ねぇ、校門にいるのうちの生徒じゃないよね?怖そうだけど、イケメンじゃない?」
友人の言葉に校門を見てみるとーー
「三井さん?!」
思わず私は大声を出していた。
私の通う学校の校門前にいるのは、紛れもない湘北高校バスケ部の三井さんだった。
しまったー。
慌てて手で口を抑えるが、私の声に気付いた三井さんはこちらへ歩いてきた。
「よぉ、待ってたぜ」
「私?!?!」
「ちょっと付き合えよ」
そう言って三井さんは私の手首をつかみ、ズンズンと進んでいく。
私の言葉なんて聞きもせず。
「ほら」
「ど、どーも」
やってきた先は近くの海。
三井さんはコンビニで飲み物を買って、私に差し出す。
……私シメられる?
……海に沈められる?
昨日露骨に嫌な顔しちゃったしな。
「あ、あの…なんで私の学校……」
「は?おめー昨日言ってたじゃねぇか」
……そうだったっけ。
「宮城の事好きなんだろ?」
イキナリの爆弾発言に私は飲み物を吹き出しそうになる。
「なっ、なんですか、イキナリ!!」
「図星だろ?」
ごくごくとアイスコーヒーを飲みながら三井さんは私の事は見ずに、立ったまま海を見ながら話をする。
「……関係ないじゃないですか」
そう。
三井さんには関係の無いこと。
言ったところでどうしようもない。
しかも、ソレをリョータにバラされる可能性だってある。
「関係あんだよ」
「なんでですか」
「お前に惚れたから」
三井さんは相変わらず海を見たままだ。
ーーはい?
え、何言ってんの?この人。
惚れ……た?私に??
「はぁ?!?!」
思わず可愛げのない声を出してしまった。
「ま、まぁ、アレだ。一目惚れってやつだな」
「黒頭巾でエプロン姿の女に一目惚れとか、マニアックですね」
「うっせぇよ!!」
三井さんは手で自分の口元を覆いながら話す。
よく見るとその顔は真っ赤だった。
偉そうにしてる言葉遣いとは裏腹なその態度に、思わず笑いがこみあげてくる。
「じゅ、純情!!」
あはは!!と私は大声で笑ってしまった。
「笑いすぎだ!!」
「ごっ、ごめんなさい」
それでも私はヒーヒーと笑いが止まらない。
超ギャップなんだけど!!
「俺と付き合えよ」
今度は真っ直ぐに私を見ながら言う三井さん。
その真剣な顔に私の心臓はドキリと大きく音を立てた。
「ごめんなさい…私」
「宮城が好きなんだろ?」
「……はい」
小さく頷く。
バカな女だと思われるんだろうな。
「俺を使えよ」
「え?」
「宮城を忘れるために俺と付き合えよ」
「……無理なんです」
「あ?」
「今までそうしようとして何人かと付き合ったけど、結局無理だったんです」
そう。
私はリョータを忘れるために他の人と付き合った事がある。
それでもやっぱりダメだった。
むしろ比べてしまい、益々リョータを好きになってしまうのだ。
「そこまでかよ」
「はい……ごめんなさい」
「お前に彼氏いたこと宮城は知ってんのか?」
「いや……知らないと思います」
どの人も3ヶ月ともたなかったのだから。
「まあ、そんなんじゃ諦めねぇけどな」
三井さんのそんな発言に私は目をぱちくりさせる。
「俺はあきらめの悪い男なんだよ」
ニヤリと笑い、三井さんは私の頭をクシャっと撫でた。
「とりあえず、今日だけは付き合ってもらうぜ?」
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「ひゃー!気持ちいい!!」
気付けば私は海に足をつけている。
三井さんに半ば無理やり砂浜まで連れていかれ「行くぞ」と促されて、靴も靴下も脱ぎそのまま海の中へ。
7月の海なんて気持ちいいに決まっている。
今頃みんなはおベンキョー中、なんて思うと余計にニヤニヤしてしまう。
「あ」
私は浜辺まで流れ着いていたワカメを手に取る。
そして
「三井さん、三井さん」
「あん?なんだ……」
べしょ!!!
三井さんの顔へとワカメを投げつける。
「あはははは!べっしょべしょ!!!」
「てんめ……」
すると三井さんはズンズンと私に近づいてくる。
「え、ちょ……わぁ!!」
三井さんは私を担ぐ。
というかお姫様抱っこじゃん!これ!!
落とされないよう私は思わず三井さんの首へと手を回す。
三井さんはどんどん深い所へと進む。
ま、まさか……。
「おらよ!!!」
やっぱり!!
三井さんは私をそのまま海へとぶん投げる、が、意地でも三井さんの首から手を離さない私によって、三井さんもそのままバランスを崩し2人して海の中へーー。
「てめぇ!!!!」
「何よ!三井さんが悪いんじゃないですか!!」
2人でぎゃあぎゃあと、大きな声で言い争いながら海から出る。
もちろん2人ともびしょ濡れだ。
すると三井さんは自分のカバンから何かを取り出し、私へ渡した。
「え」
「黙ってても乾くだろうがよ、とりあえず頭だけでも拭け」
渡してきたものはスポーツタオルだった。
「いや、でも……」
「いいから黙って拭け」
そう言うと三井さんは私に渡したタオルを奪い取り、ガシガシと私の頭を拭き始める。
「ちょ、雑!!!雑だってば!!!」
「るせぇ!ありがたいと思え!」
私達は昨日が初対面とは思えないほど、打ち解け2人ではしゃいだ。
気が付けばもうお昼を過ぎていた。
「やべ!俺、部活行くわ。の前に家でシャワーだなこりゃ」
「……部活はちゃんと行くんですね」
「おう!じゃあまたな!!」
「えっ、ちょ……」
三井さんはそのまま走り去って行った。
なんて自分勝手な人なんだと思いながらも、私はクスリと笑みがこぼれた。
と、私は手に持っているタオルに気付いた。
「忘れてんじゃん」
キュッと三井さんのタオルを持ち直し、私は自分の家へと歩き出した。