意地
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10日。
アイツと会わない日がもう10日続いている。
『アイツ』とは付き合って2年になる俺の彼女、まなみの事だ。
ささいな事がきっかけで喧嘩をして早10日、同じ大学ということもあり、もちろん見かけることはある。
だが、口は一切きいていない。
むしろ目も合わせていない。
「あれー三井サン、別れたってホントなの?」
1人大学の食堂で昼飯を食っていると、宮城が向かいに座ってきた。
コイツは高校の時からのバスケ部の後輩で、まさかの大学まで同じ。
まあ、俺がここに推薦で入ったからコイツも入れたようなもんだな。
そこそこのバスケ強豪校のこの大学に。
それよりもーーーーーー
「なんだよその話」
「けっこう広まってるよー?三井サンとまなみさんが別れたって」
「はぁ?!」
俺は思わず箸を止める。
広まってるってなんだよ。
確かに毎日ではないが、ほぼ昼は一緒に飯を食ってた俺たち。
それが10日もパタリとなくなったのだ。
そこから噂が出たのだろう。
「ふざけんなよ」
「うかうかしてっと盗られんじゃない?」
宮城は半分面白そうに飯を食いながら俺にハッパをかける。
「だってまなみさん、美人だし、スタイルもいいし…なんで三井サンなんだろ」
……そうだ。
まなみは実はすごい彼女だ。
毎年行われているミスコンにも声をかけられているが、本人が頑なに出場を拒否している。
もし、出場していたら間違いなく優勝だろう。
これは彼氏のひいき目でもなく、周りが言っていた事だ。
そんな女が彼氏と一緒にいるのを見なくなったとなると、そりゃ噂も広まるわな。
「で?喧嘩でもしたんすか?なにしたの三井サン」
「…っせぇな。」
「なんか言っちゃいけないようなこと言ったんでしょ」
うっ……。
アレは言っちゃいけない事…だったよな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ねぇねぇ!次の部活休みの時どっか行こうよ!」
一人暮らしの俺の部屋のキッチンでまなみは食器洗いをしながら、大きめな声で話しかけてくる。
「休みの日ぐらいゆっくりさせろよ」
「……休日のパパかよ」
上手いこと言うじゃねぇかと思ったが、実際めんどくさかった。
ほぼ毎日部活はあるし、俺は家でコイツとゆっくりするのが好きだったから。
「寿はスタミナないもんね!なにさ!ほかの友達はみんな彼氏と遠出とかしてるのに!」
そんなまなみの言葉に俺はカチンときて言ってしまったんだ。
「なら、連れてってくれる奴と付き合えよ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
……タブーだよな、こんな言葉。
そのまま洗い物を放棄してまなみは俺の家を出ていった。
「だいたいアイツの言葉にゃトゲがあんだよな!ホント気の強えぇ女だよ」
「……超惚れてるくせに」
宮城はニヤニヤ目を細め俺に言い放つ。
うるせぇよ。
そうだよ、くそ惚れてんだよ。
2年も付き合ってるくせになんでいつもこーなんだよ。
と、そこに俺の視界に嫌なもんが入った。
他の男に声をかけられているまなみだ。
バチ!っとまなみと目が合った俺は思わず、その視線を思いっきり逸らしてしまった。
……やべぇ。
少したって視線を戻すと、男1人だけがその場に残されていた。
「ほらぁ、言わんこっちゃない」
悔しいが、宮城のそんな言葉がグサリと胸に刺さった。
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