罪 (パターン1)
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ーそんなに三井さんが好き?ー
カイザーから帰ってきた私はお風呂に入りながら、先程のリョータくんの言葉が頭から離れず、このままブクブクと湯の中に沈んでいきたい気分だった。
「…わかんないよ」
ガチャ
「うわ!!!」
いきなり浴室のドアがあき、私は思わず大声を出す。
「よぉ」
「ちょっとビックリさせないでよ!」
ははは、と笑いながら入ってきたのは三井さんだった。
「いきなり来ないでよ…」
「いいじゃねぇか、別に」
軽く身体を洗い、三井さんは湯船に入ってくる。
後ろから私を抱き締める形で。
「珍しいね、急に来るなんて」
「たまにはな」
そう言いながら三井さんは私の首すじにキスを落とし、軽く甘噛みをしながら舌を這わす。
「んっ…」
思わず私は声が漏れる。
「いい反応するじゃねぇか」
そのまま三井さんは私の胸へと手を伸ばす。
「んっ…ちょっと…ここ、で?」
「止まるわけ、ねぇだろ?」
パチッ
夜中、私はふと目を覚まし隣で寝ている三井さんに目をやった。
「……好きにきまってるじゃん」
小さな声でそう言ってゴロンと寝返りを打ち、身体を三井さんと反対方向へ向け壁を見る。
そして涙が出そうになるのを必死でこらえた。
ぎゅっ……
その時、後ろから三井さんが私を抱き締めてきた。
無意識なのか、起きている気配はない。
「……ずるいなぁ」
ダメだ。
このままでは罪悪感で押しつぶされてしまいそうだった。
それならリョータくんとの関係をやめればいい。
わかってはいる、わかってはいるのだ。
けれど、リョータくんの自分への愛情が心地よく、それがなくなるのが怖かった。
きゅっと三井さんの手を握りしめ、私はそのまま眠りについた。
次の日ーーー
『今日会えない?』
そんなLINEを見て、仕事中だった私はゴンッ!と自分のデスクへと突っ伏す。
LINEの送り主はリョータくん。
「どしたの?まなみちゃん。めっちゃゴン!って音したけど…大丈夫?」
笑いながら同僚が聞いてくる。
「……大丈夫じゃない、死にそう」
私は恐らく赤くなってるであろうおでこをさすりながら答える。
嬉しくないわけじゃない。
もしかしたら連絡が来るかもと正直思っていたし、むしろこのLINEが嬉しいと感じている自分がいる事もわかっている。
どっちが好き、とかそんな事じゃない。
比べて、とかそんな事じゃない。
どちらを選ぶの?
頭の中でもう1人の自分が毎日のように問いかける。
どちらからも離れたくない。
なんて最低な考えなんだろう。
でもこれが正直な気持ちだった。
「美味しかったね!」
「ね!特にワッフル!!超美味しかった!」
「ははは、まなみちゃんホントに甘いもの好きだね」
晩御飯を食べた後、リョータくんの車の中でお店の感想を言い合う。
無邪気に笑うリョータくんの顔を見て私は自分の顔がほころぶのを感じた。
「また一緒に行こうね!」
「あ…うん」
私は思わずぎこちなく返事をしてしまった。
「はは、まなみちゃんわかり易すぎ」
リョータくんは困ったように笑う。
「…ホテル行く?」
片手は車のハンドルを持ちながら、もう片方の手でリョータくんはきゅっと私の手を握る。
もちろん私は小さく頷いた。
「まなみちゃん…好きだよ…」
いつもリョータくんは行為の最中に私の名前を言う。
心から愛おしそうに私を見つめ、切なそうな表情をしながら私の名前を囁く。
それが私にとって心が痛む事でもあり、同時にこれだけ愛してもらえるという幸福感に包まれる事でもあった。
この独特の矛盾した感覚に私はハマってしまったのだ。
この感覚を忘れたくない。
離れたくない。
そんな気持ちだった。
~♪~♪~♪
愛し合った後、ベッドに寝転んでいる2人は突然鳴り響いた携帯の着信音で、身体をビクつかせた。
「俺の……じゃないな」
「わ、私だ…」
慌ててベッドから降り、カバンの中から携帯を出す。
そして思わず息を呑む。
着信相手は三井寿。
そんな固まっている私の姿を見てリョータくんは理解をして、こう言った。
「三井サンでしょ?出なよ」
「で、でも……」
「大丈夫だって、間違っても声なんて出さないよ」
「う、うん…」
一息ついて私は電話に出た。
「はい」
『お前、今家?』
「いや…今友達とご飯食べに来てた」
『あー、そっか』
「なんかあった?」
『や、昨日お前ん家に手帳忘れてねぇかなぁと思って』
「んー、、、あったかなぁ?」
『家帰ったら見といてくんね?』
「うん…わかっ」
『あっ!!!あった!!!』
「えっ?!」
『わりぃ、あったわ!』
「もーー!とりあえずよかったね」
『おう!じゃあな!』
通話が終わり、「ふぅ」と息をつく。
すると後ろからぎゅっとリョータくんに強く抱きしめられる。
「……帰したくねぇ」
いつもよりも切羽詰まった言い方のリョータくんに何も言えなくなり、私の心はズキズキと痛んだ。
「俺ね、まなみちゃんと会う時いつも思ってんだ」
「……」
「今日で最後かもって」
「え…」
「なんてね!」
はははと少し悲しそうに笑うリョータくんにさらに心がズキンと傷んだ。
私はそっとリョータくんの頬に手を寄せる。
「まなみちゃん?」
「ごめん…ね」
「いや!謝んないでって!」
ぎゅっと再び私を強く抱き締めるリョータくん。
きつく、きつくーーー。
「じゃ…送ってくれてありがとう」
自分の家から少しだけ離れた所に止めたリョータくんの車から出て、私は歩き出す。
「まなみちゃん!!」
後ろから声が聞こえ、慌てて振り返ると目の前が真っ暗になった。
なぜなら目の前にはリョータの胸、すなわち抱きしめられたのだ。
「ちょっと…リョータくん…」
「ごめん…少しだけ…」
私を抱きしめる力はさらに強まる。
「おい」
その時後ろから聞こえてきた、聞き覚えのある声に抱き合っている2人は身体を離す。
「……どういう事だ?」
声の主は三井さんだった。