意味
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授業をサボる為に屋上へとやってきたまなみ。
ガチャリと屋上のトビラを開けると、1人で手すりに腕をのせ、タバコを吸っている洋平を見つけた。
まなみに気付いた洋平は吸っていたタバコの火を消す。
洋平とはクラスは違うが、まなみがマネージャーをしているバスケ部をよく見に来るので、すっかり顔見知りになっていた。
「別に消さなくてもいいのに」
まなみはそう言って洋平の隣に行き、手すりによしかかる。
そしてふと、洋平が持っていたタバコの箱に目をやる。
「あ、KOOLだ」
「え、まなみちゃんタバコ吸うの?!」
洋平は驚いてまなみの顔を見る。
「ううん。元彼が吸ってた。KOOL」
「へぇ~」
洋平のタバコの箱を指差しながら言うまなみと、その箱を何度か裏表とひっくり返す洋平。
「ねえ、洋平くん。クールのスペルってさ、フツーC、O、O、L、じゃん?なんでKなのか知ってる?」
「いや、知らねぇ」
「キス、オンリー、ワン、レディ」
得意げに人差し指の先を空に向けながら話すまなみ。
「僕は、1人の女の人としかキスしませんよーって意味らしいよ」
「……それも元彼に教えてもらったの?」
「まぁね」
何かを思い出すかのように、空を見上げながら話すまなみ。
「まだ好きなの?」
「いや、全然。でもその匂い嗅ぐとやっぱり思い出すよねぇ」
「ならさ、俺で上書きしない?この匂い。」
まなみは何を言っているかわからない、という顔だ。
「はは、伝わんねぇか」
そう言って、そっとまなみにキスをする洋平。
まなみは何も言えず、夏だと言うのに体が氷のように固まり、動けなくなった。
「え…えぇっ?!」
「俺がキスしたい女の子はまなみちゃん1人だけだよ」
「~~っ」
バタバタと走り去るまなみ。
バタン!!と屋上のトビラが閉まると、洋平はタバコを1本取り出し火を付ける。
「はは、我ながらキザな事したもんだな」
そう言って「フー」っと吸った煙を空に向かい吐いた。
ー数日後ー
またまた屋上へとサボりに来たまなみ。
そぉっとトビラをあけ、誰もいないことを確認してから入り、トビラをしめる。
「よぉ」
上から声が聞こえ、まなみは慌てて声のした方へと視線を向けると給水塔でタバコを吸っている洋平を発見した。
「よ、洋平くん……」
すると爆笑する洋平。
「い、いないと思って入って来たんだろ?」
肩を震わせ、笑いながら話す。
「………」
まなみは図星で何も言えない。
「つれねーよなぁ。アレからバスケ見に行っても避けられるしさぁ」
洋平はタバコの火を消し、給水塔のハシゴを降りてくる。
「だって…」
「だって、なに?」
「……だって…」
まなみは下を向き、口ごもる。
「意識してんだ?」
まなみの顔を覗く洋平。
「ち、近い!!!」
まなみは慌てて両手で洋平の顔を覆う。
「もうしねぇって」
そう言って洋平はクックックと笑う。
「当たり前!次したらまじで怒る!!!」
「ははは、こえぇ。あ、そーいや」
「な、なにっ?!」
まなみは体をびくつかせる。
「KOOLの意味合い、間違ってるぜ?」
「え、まじ?」
思ってもみなかった洋平の発言に少しだけ肩をすかすまなみ。
「キープ、オンリー、ワン、ラブ」
「……きーぷ??」
「1つの愛を貫き通すって意味」
洋平はじっとまなみの目を見つめる。
視線を逸らすことができず、まなみはそのまま言葉を失う。
少しの沈黙の後、先に言葉を発したのは洋平だった。
「なぁ」
「は、はいっ?!」
「いい?」
「なにが?」
「まなみちゃんへの愛を貫き通しちゃって」
夏の真っ赤な太陽に負けないぐらい、まなみの顔が真っ赤になったのは言うまでもない。
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