長恋
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ヒラヒラと桜が舞う季節。
4月1日。
いつも思い出す。
この日が誕生日の真っ赤な髪のアイツの事をーーー。
「は?花道また好きな子できたの?!」
湘北高校へ入学して数日たったある日、屋上で私は呆れていた。
「あぁ、ハルコちゃんって言ったかな」
「洋平はその子見たの?」
「見たぜ。清楚な感じで可愛い子だったな」
「ふぅん…」
チクリと胸が痛くなる。
けど、この胸の痛みにもだいぶ慣れてきた。
私は何十回と失恋をしている。
同じ人に。
その相手は私の幼なじみである桜木花道。
「そろそろ言ってもいいんじゃねぇの?」
「絶対嫌。てか、無理。」
半分呆れ顔で笑っているこの人は水戸洋平。
中学からの友人。
そして、私が花道に片思いをしているのを知っている唯一の人物でもある。
バン!!!!!
その時大きな音を立てて屋上の扉が開いた。
「お前ら!!!なぜこの天才を置いていく!!!!」
190近くはある高身長に、真っ赤な髪のリーゼント。
これが私の幼なじみ兼片思いの相手。
桜木花道。
中学時代50人もの女の子からフラれた男。
「だってお前寝てたろ」
「ふんぬー!起こせよ!」
「あはは、花道ったら寂しがり屋なのねぇ」
「ぬっ、まなみうるせぇぞ」
花道は私の肩に腕を回し、そのまま軽く首を締め付ける。
私の心臓が大きな音を立て、苦しくなっているのも知らずに。
物心ついた時に花道は私のそばいた。
いつから好きだったーー、そんな事はわからない。
気がついた時には好きだったし、ずっとそばにいたいと思っていた。
だけど、花道は私を見ていない。
もちろん嫌われてはいないし、私の事は好きだと思う。
幼なじみとして。
だから私は選んだんだ。
幼なじみとして、ずっとそばにいる事を。
夏のインターハイで怪我をした花道。
軍団と一緒に花道のお見舞いへ行った。
その時の花道は病室でハルコちゃんと文通だと、ニッコニコの笑顔で私達に話していた。
花道が大好きなバスケに復帰できた時、私は素直に喜べなかった。
もちろんバスケを頑張っている花道を見るのは嬉しいし、かっこいいと思う。
だけど、花道の『好き』は私には向かっていないのだから。
バスケに復帰するのは多少なりともハルコちゃんの為。
もう慣れたとは言え、花道がハルコちゃんに夢中なのを目の当たりにするのは苦しい。
「言ってみねぇとわかんなくね?」
いつか洋平に言われたことがあった。
「わかるよ」
ずっと見てきたんだもん。
花道がちょっとでも私を意識してくれるなら、とっくのとうになっているはず。
バカみたいに単純王で、わかりやすいんだもん。花道は。
誰よりも私がわかってるんだ。
花道は私の事を『好き』にはならない。
恋愛感情を持つことはないって。
「は?!スカウト?!」
「そうだ!まぁ!アタリマエだな!」
3年生になり、花道のバスケットでの社会人チーム入りが決まった。
大学へは行かずのチーム入りだった。
「え…北海道??」
チームの拠点は北海道だった。
初めてバラバラへの道へと進む私達。
私は県内の大学へと進学。
もうこのまま近くにいる事はできないのだ。
幼なじみだからずっとそばにいれるという訳では無い。
恋人ならーー??
そんな事が一瞬頭をよぎる。
ー卒業式ー
「いやぁー無事卒業出来て良かったな!」
「危なかったよなぁ!!」
軍団たちとそんな会話をしながら高校最後の帰り道を歩く。
みんなそれぞれの家へと帰り、私と花道は2人で並んで歩く。
「花道はこれから北海道かぁ」
「この天才に会えなくなるのは寂しいか!」
ぎゃははと笑う花道。
「なーに言ってんだか、それに試合でこっち戻ってきたりもするじゃん!」
「俺は寂しいぞ」
え。
今「寂しい」って言った?
花道が?!
「今までずっとまなみが近くにいたからな!」
やめてよ
「まだジッカンはわかないが、寂しくなるんだと思うぞ!」
お願いだから…そんな事言わないで。
じゃないと、我慢出来なくなる。
「好き…」
「ぬ?」
「花道……好きだよ」
「なんだイキナリ!そんな事わかっている!」
バシバシと私の肩を強く叩く。
…なんにもわかってないじゃん。
この鈍感王。
でも、これでいい。
「はい、これ」
私はラッピングされた小さな袋を花道へと差し出す。
花道はハテナを浮かべてその袋を受け取る。
「なんだこれは?」
「開けていいよ」
その場に立ち止まり、ガサガサと袋を開ける花道。
「紐?」
「そっ、バッシュの紐。赤と黒」
「湘北の色か!!」
太陽みたいに笑う、その笑顔、大好きだよ。
「ありがとうな!!」
泣きたくなるぐらい、大好き。
「ねぇ、花道。」
「む、なんだ?」
きっと私にとって、あなた以上の男の人に会うことはないんだろう。
「花道にとって、私は特別な女の子かな?」
でも、私はあなたへの気持ちを心の奥底にしまうね。
「そうだな!まなみは死ぬまで俺にとって特別な幼なじみだな!」
鍵をかけて、しまうね。
「ありがとう。ずっと応援するね」
世界でたった1人の大切な幼なじみ。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「おぉ、オリンピック決まったんだ、日本バスケ。」
朝ご飯を食べながらテレビを見て話すのは、愛しの旦那様。
高校を卒業して、大学へ行き、とある会社へ就職をした私。
何人かの男性とお付き合いをして、友達の紹介で出会った彼と数ヶ月前に結婚をした。
「あれ、この桜木ってお前の幼なじみだろ?」
「そっ」
「すげぇなぁ日本代表だぜ?」
「自慢の幼なじみだもの。あ、結婚式来てくれるって言ってたよ」
もぐもぐとトーストを食べ、コーヒーを飲みながら私もテレビを見る。
そして時計を見て慌てる。
このままゆっくりしていると会社へ遅れてしまう事に気付き、大慌てで食器をさげ洗い物をする。
「食べたら持ってきてねー!」
「はいよー」
こんな毎日のやり取りに私は幸せを感じている。
「今日何食べたい?」
「そうだなぁ」
「あっ!待って!私当てるから!」
「ははは!ホントに当てられんのかよ?」
笑いながら、食器をさげに来た旦那様に私は言い放つんだ。
「当てられるよ!天才ですから!!」
4月1日。
いつも思い出す。
この日が誕生日の真っ赤な髪のアイツの事をーーー。
「は?花道また好きな子できたの?!」
湘北高校へ入学して数日たったある日、屋上で私は呆れていた。
「あぁ、ハルコちゃんって言ったかな」
「洋平はその子見たの?」
「見たぜ。清楚な感じで可愛い子だったな」
「ふぅん…」
チクリと胸が痛くなる。
けど、この胸の痛みにもだいぶ慣れてきた。
私は何十回と失恋をしている。
同じ人に。
その相手は私の幼なじみである桜木花道。
「そろそろ言ってもいいんじゃねぇの?」
「絶対嫌。てか、無理。」
半分呆れ顔で笑っているこの人は水戸洋平。
中学からの友人。
そして、私が花道に片思いをしているのを知っている唯一の人物でもある。
バン!!!!!
その時大きな音を立てて屋上の扉が開いた。
「お前ら!!!なぜこの天才を置いていく!!!!」
190近くはある高身長に、真っ赤な髪のリーゼント。
これが私の幼なじみ兼片思いの相手。
桜木花道。
中学時代50人もの女の子からフラれた男。
「だってお前寝てたろ」
「ふんぬー!起こせよ!」
「あはは、花道ったら寂しがり屋なのねぇ」
「ぬっ、まなみうるせぇぞ」
花道は私の肩に腕を回し、そのまま軽く首を締め付ける。
私の心臓が大きな音を立て、苦しくなっているのも知らずに。
物心ついた時に花道は私のそばいた。
いつから好きだったーー、そんな事はわからない。
気がついた時には好きだったし、ずっとそばにいたいと思っていた。
だけど、花道は私を見ていない。
もちろん嫌われてはいないし、私の事は好きだと思う。
幼なじみとして。
だから私は選んだんだ。
幼なじみとして、ずっとそばにいる事を。
夏のインターハイで怪我をした花道。
軍団と一緒に花道のお見舞いへ行った。
その時の花道は病室でハルコちゃんと文通だと、ニッコニコの笑顔で私達に話していた。
花道が大好きなバスケに復帰できた時、私は素直に喜べなかった。
もちろんバスケを頑張っている花道を見るのは嬉しいし、かっこいいと思う。
だけど、花道の『好き』は私には向かっていないのだから。
バスケに復帰するのは多少なりともハルコちゃんの為。
もう慣れたとは言え、花道がハルコちゃんに夢中なのを目の当たりにするのは苦しい。
「言ってみねぇとわかんなくね?」
いつか洋平に言われたことがあった。
「わかるよ」
ずっと見てきたんだもん。
花道がちょっとでも私を意識してくれるなら、とっくのとうになっているはず。
バカみたいに単純王で、わかりやすいんだもん。花道は。
誰よりも私がわかってるんだ。
花道は私の事を『好き』にはならない。
恋愛感情を持つことはないって。
「は?!スカウト?!」
「そうだ!まぁ!アタリマエだな!」
3年生になり、花道のバスケットでの社会人チーム入りが決まった。
大学へは行かずのチーム入りだった。
「え…北海道??」
チームの拠点は北海道だった。
初めてバラバラへの道へと進む私達。
私は県内の大学へと進学。
もうこのまま近くにいる事はできないのだ。
幼なじみだからずっとそばにいれるという訳では無い。
恋人ならーー??
そんな事が一瞬頭をよぎる。
ー卒業式ー
「いやぁー無事卒業出来て良かったな!」
「危なかったよなぁ!!」
軍団たちとそんな会話をしながら高校最後の帰り道を歩く。
みんなそれぞれの家へと帰り、私と花道は2人で並んで歩く。
「花道はこれから北海道かぁ」
「この天才に会えなくなるのは寂しいか!」
ぎゃははと笑う花道。
「なーに言ってんだか、それに試合でこっち戻ってきたりもするじゃん!」
「俺は寂しいぞ」
え。
今「寂しい」って言った?
花道が?!
「今までずっとまなみが近くにいたからな!」
やめてよ
「まだジッカンはわかないが、寂しくなるんだと思うぞ!」
お願いだから…そんな事言わないで。
じゃないと、我慢出来なくなる。
「好き…」
「ぬ?」
「花道……好きだよ」
「なんだイキナリ!そんな事わかっている!」
バシバシと私の肩を強く叩く。
…なんにもわかってないじゃん。
この鈍感王。
でも、これでいい。
「はい、これ」
私はラッピングされた小さな袋を花道へと差し出す。
花道はハテナを浮かべてその袋を受け取る。
「なんだこれは?」
「開けていいよ」
その場に立ち止まり、ガサガサと袋を開ける花道。
「紐?」
「そっ、バッシュの紐。赤と黒」
「湘北の色か!!」
太陽みたいに笑う、その笑顔、大好きだよ。
「ありがとうな!!」
泣きたくなるぐらい、大好き。
「ねぇ、花道。」
「む、なんだ?」
きっと私にとって、あなた以上の男の人に会うことはないんだろう。
「花道にとって、私は特別な女の子かな?」
でも、私はあなたへの気持ちを心の奥底にしまうね。
「そうだな!まなみは死ぬまで俺にとって特別な幼なじみだな!」
鍵をかけて、しまうね。
「ありがとう。ずっと応援するね」
世界でたった1人の大切な幼なじみ。
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「おぉ、オリンピック決まったんだ、日本バスケ。」
朝ご飯を食べながらテレビを見て話すのは、愛しの旦那様。
高校を卒業して、大学へ行き、とある会社へ就職をした私。
何人かの男性とお付き合いをして、友達の紹介で出会った彼と数ヶ月前に結婚をした。
「あれ、この桜木ってお前の幼なじみだろ?」
「そっ」
「すげぇなぁ日本代表だぜ?」
「自慢の幼なじみだもの。あ、結婚式来てくれるって言ってたよ」
もぐもぐとトーストを食べ、コーヒーを飲みながら私もテレビを見る。
そして時計を見て慌てる。
このままゆっくりしていると会社へ遅れてしまう事に気付き、大慌てで食器をさげ洗い物をする。
「食べたら持ってきてねー!」
「はいよー」
こんな毎日のやり取りに私は幸せを感じている。
「今日何食べたい?」
「そうだなぁ」
「あっ!待って!私当てるから!」
「ははは!ホントに当てられんのかよ?」
笑いながら、食器をさげに来た旦那様に私は言い放つんだ。
「当てられるよ!天才ですから!!」
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