不屈
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隣の席の三井が髪を切った。
三井とは中学からの同級生。
中学2.3年で同じクラスになり、高校でも2.3年同じクラスになった。
実は私の片想いの相手。
ーーー中学の頃からの。
「三井くん、バスケ部に戻ったらしいよ」
そんな友達の言葉を聞いて、私の心の中はざわつく。
中学の頃は割と仲は良かったと思う。
よく話もしたし、お互い異性の中では1番の友達だった…はず。
そして何よりーーー
私はカバンの中から1つの小さな袋を取り出す。
小さな小さな巾着袋。
そっと紐を緩め、中を覗く。
中にはボタンが入っている。
中学の卒業式に三井から貰った第二ボタン。
決して付き合ってたとか、告白した、とかではない。
ー中学の卒業式ー
「結局彼氏できなかったー!」
「ぎゃはははは、可哀想にな!」
「……三井だって」
「っせぇな」
そんな憎まれ口をお互いにたたいてると、三井は何かを思いついたかのように、自分の第二ボタンをちぎった。
「ほら」
そう言って私にボタンを渡す。
私は戸惑いと緊張が隠せない。
「やるよ!彼氏できなかった記念にな!」
ーーーーーーーーーーーーーーー
そう言って二カッと笑う三井の顔は今でも目に焼き付いてる。
高校に入り、クラスは分かれたものの廊下で会うと話はするし、このまま頑張れば……なんて思っていたのもつかの間だった。
三井はバスケを辞めた。
それからはあれよあれよという間にグレ三井の完成。
私の知っている三井ではなくなった。
2年になり同じクラスにはなったものの、私の三井に対する気持ちも前ほど大きくはなくなっていた。
実際、他の人と付き合ったりもしてみた。
……長くは続かなかったけど。
心の中にはいつも三井がいたんだ。
「あきらめの悪い女だなぁ…」
放課後誰もいなくなった教室で1人、自分の席に座りポツリと呟く。
ガラッ
教室の扉が開く音がして、音の方へと顔を向ける。
そして私の心臓の音が跳ね上がる。
「あれ、お前何してんの」
「三井……」
教室に入ってきたのは部活姿の三井だった。
そんな姿に私の心臓はうるさく音を立て続ける。
「に、日直で…」
「ふぅん」
「三井は?」
「忘れ物取りに来た」
昔はあんなに仲良く喋っていた…なんて嘘のことのように、うまく話す事ができない。
まるで初対面じゃん…。
だけど、そんな状況を打破してくれたのは三井だった。
「お前さ、また試合見に来いよ」
「えっ…」
三井はいつの間にか私の隣の席、つまり自分の席の椅子に体をこちらに向け机に肘をついて座っていた。
「昔はよく来てたろ」
「よく覚えたね」
「数年前の事じゃねぇか。俺はジジイか」
数年ぶりだった。
2人で笑い合うのは。
大したことの無い、バカみたいな話をして笑い合う。
「変わんないね、三井は」
「あ?」
「なんかホッとしちゃった」
「色々あったけどな」
「ロン毛似合ってなかったよ」
すると三井は「うるせぇな」と言い立ち上がって、私の頭をクシャクシャと雑に撫でる。
あぁ…やっぱり好きだな。
簡単に消せるような気持ちじゃなかったんだと確信した。
「まぁ、再スタートってやつだな。」
三井はグッと両手を天井に向けて伸ばしながら話す。
「ホントに好きなもんってやめれねぇだろ。諦めの悪い男なんだよ、俺は。」
「あはは。私と同じだ。」
「あ?お前もなんか諦められねぇものあんの?」
「うん。隣の席の人のことかな。」
三井は目を丸くして、私の先を見る。
けれど、その先は窓。
私の席は1番窓側。
さすがにバカな三井でも、隣の席の人とは自分だと気付いたようだった。
みるみるうちに三井の顔は真っ赤に染まっていく。
こちらが可笑しくなってくるぐらい。
「ちゃんと意味わかったんだ?」
私はクスクスと笑いながら話す。
「ばっ、バカにすんなよ!」
顔を真っ赤にしながら、三井はちょっとムキになる。
「私も再スタートってやつかな」
「…あのなぁ」
気付いた時には私は座ったまま三井に抱きしめられていた。
「そーゆー事は早く言えよな」
「はい?」
この状況を飲み込めないまま私は動くことができない。
「言ったじゃねぇか。俺は諦めの悪い男だって」
「えっ…」
更にぎゅっと力強く抱きしめられる。
私の心臓もきゅっと強く握られているかのようだ。
「……察しろよ」
「ちゃんと言ってくれなきゃわかんない」
キュッと三井のTシャツを掴む。
「~~っ、誰が好きでもねぇ奴に第二ボタンやるかよ!」
ホントにこの人は…。
私が言って欲しい事を言ってくれない。
だけど、そんな所すらも愛おしいと思ってしまう私はとことん三井バカなのかもしれない。
「三井」
「あんだよ…」
諦めきれなかった気持ち…
これからとことんぶつけてもいいよね?
「大好きだよ」
三井とは中学からの同級生。
中学2.3年で同じクラスになり、高校でも2.3年同じクラスになった。
実は私の片想いの相手。
ーーー中学の頃からの。
「三井くん、バスケ部に戻ったらしいよ」
そんな友達の言葉を聞いて、私の心の中はざわつく。
中学の頃は割と仲は良かったと思う。
よく話もしたし、お互い異性の中では1番の友達だった…はず。
そして何よりーーー
私はカバンの中から1つの小さな袋を取り出す。
小さな小さな巾着袋。
そっと紐を緩め、中を覗く。
中にはボタンが入っている。
中学の卒業式に三井から貰った第二ボタン。
決して付き合ってたとか、告白した、とかではない。
ー中学の卒業式ー
「結局彼氏できなかったー!」
「ぎゃはははは、可哀想にな!」
「……三井だって」
「っせぇな」
そんな憎まれ口をお互いにたたいてると、三井は何かを思いついたかのように、自分の第二ボタンをちぎった。
「ほら」
そう言って私にボタンを渡す。
私は戸惑いと緊張が隠せない。
「やるよ!彼氏できなかった記念にな!」
ーーーーーーーーーーーーーーー
そう言って二カッと笑う三井の顔は今でも目に焼き付いてる。
高校に入り、クラスは分かれたものの廊下で会うと話はするし、このまま頑張れば……なんて思っていたのもつかの間だった。
三井はバスケを辞めた。
それからはあれよあれよという間にグレ三井の完成。
私の知っている三井ではなくなった。
2年になり同じクラスにはなったものの、私の三井に対する気持ちも前ほど大きくはなくなっていた。
実際、他の人と付き合ったりもしてみた。
……長くは続かなかったけど。
心の中にはいつも三井がいたんだ。
「あきらめの悪い女だなぁ…」
放課後誰もいなくなった教室で1人、自分の席に座りポツリと呟く。
ガラッ
教室の扉が開く音がして、音の方へと顔を向ける。
そして私の心臓の音が跳ね上がる。
「あれ、お前何してんの」
「三井……」
教室に入ってきたのは部活姿の三井だった。
そんな姿に私の心臓はうるさく音を立て続ける。
「に、日直で…」
「ふぅん」
「三井は?」
「忘れ物取りに来た」
昔はあんなに仲良く喋っていた…なんて嘘のことのように、うまく話す事ができない。
まるで初対面じゃん…。
だけど、そんな状況を打破してくれたのは三井だった。
「お前さ、また試合見に来いよ」
「えっ…」
三井はいつの間にか私の隣の席、つまり自分の席の椅子に体をこちらに向け机に肘をついて座っていた。
「昔はよく来てたろ」
「よく覚えたね」
「数年前の事じゃねぇか。俺はジジイか」
数年ぶりだった。
2人で笑い合うのは。
大したことの無い、バカみたいな話をして笑い合う。
「変わんないね、三井は」
「あ?」
「なんかホッとしちゃった」
「色々あったけどな」
「ロン毛似合ってなかったよ」
すると三井は「うるせぇな」と言い立ち上がって、私の頭をクシャクシャと雑に撫でる。
あぁ…やっぱり好きだな。
簡単に消せるような気持ちじゃなかったんだと確信した。
「まぁ、再スタートってやつだな。」
三井はグッと両手を天井に向けて伸ばしながら話す。
「ホントに好きなもんってやめれねぇだろ。諦めの悪い男なんだよ、俺は。」
「あはは。私と同じだ。」
「あ?お前もなんか諦められねぇものあんの?」
「うん。隣の席の人のことかな。」
三井は目を丸くして、私の先を見る。
けれど、その先は窓。
私の席は1番窓側。
さすがにバカな三井でも、隣の席の人とは自分だと気付いたようだった。
みるみるうちに三井の顔は真っ赤に染まっていく。
こちらが可笑しくなってくるぐらい。
「ちゃんと意味わかったんだ?」
私はクスクスと笑いながら話す。
「ばっ、バカにすんなよ!」
顔を真っ赤にしながら、三井はちょっとムキになる。
「私も再スタートってやつかな」
「…あのなぁ」
気付いた時には私は座ったまま三井に抱きしめられていた。
「そーゆー事は早く言えよな」
「はい?」
この状況を飲み込めないまま私は動くことができない。
「言ったじゃねぇか。俺は諦めの悪い男だって」
「えっ…」
更にぎゅっと力強く抱きしめられる。
私の心臓もきゅっと強く握られているかのようだ。
「……察しろよ」
「ちゃんと言ってくれなきゃわかんない」
キュッと三井のTシャツを掴む。
「~~っ、誰が好きでもねぇ奴に第二ボタンやるかよ!」
ホントにこの人は…。
私が言って欲しい事を言ってくれない。
だけど、そんな所すらも愛おしいと思ってしまう私はとことん三井バカなのかもしれない。
「三井」
「あんだよ…」
諦めきれなかった気持ち…
これからとことんぶつけてもいいよね?
「大好きだよ」
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