最上
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それから私達は時間を見つけて会うようになった。
文字通り〝身体だけの関係〟で。
私は彼氏と別れていないし、牧もあれから彼女とどうなったかは知らない。
お互い聞かないし、言わないのだ。
もちろん興味が無い訳では無いし、気にしていない訳でもない。
見た目通り大人っぽい言動をするけれど、たまに見せる負けず嫌いで子供っぽいところもある、そんな牧にむしろドキドキする事だってあるし、会いたいな、と思う事もある。
だけど、彼氏とは別れていない。
一体自分は何がしたいんだろう。
「こんな関係続けてなんになるんだろ…」
バイトの帰り道ポツリと呟く。
最近の私のいつもと違う態度に何も気付かない彼氏。
気付かれたら大変なことになるのに、気付いて欲しいと思う気持ちが心の中にある。
……私ってガキだなぁ。
「まなみさん」
もう何度も耳元で聞いている声。
振り向かなくても誰かはわかる。
牧だ。
「あ~…今日は真っ直ぐ帰るよ。」
「今日は話をしに来た」
牧は私の手を握り歩き出す。
「ちょっと、、、さすがに外で手つなぐのは…」
そんな私の言葉を聞こえているのか、いないのか、そのまま歩くことをやめない。
着いた先は牧の家。
「や、あのさ…今日は帰る…」
「外で話したらまずいんじゃないか?」
私は「確かに…」と思い言葉につまり、結局そのまま牧の部屋へと入った。
そもそも話をするって…
あ、彼女に勘づかれた?
さすがにそろそろやばいよね。
「あ、あのさ…牧」
「好きだ」
牧の口から発せられた言葉はまさかの告白。
好き…??
牧が?私を???
「え、えっと…」
「何をそんなに驚いている」
戸惑う私に牧は「変な事を言っているか?」と言わんばかりの顔をしている。
「俺は好きでもない女と何度も関係を持つほど、器用ではない。」
「彼女は?」
「とっくに終わっている。」
そっか…。
牧は彼女とは別れてたんだ。
私だけか、いつまでもウダウダしているのは。
だけどーーーーー
「ごめん、無理だよ。」
「どうしてだ。彼氏の方が好きなのか」
いつの頃からか牧は私に対して敬語じゃなくなった。
その事は私にとって少し心が緩むことだった。
そしてお互いの距離を更に縮めることでもあった。
「牧はさ、こんな器のちっさい女と一緒になったらダメだよ」
「それは俺が決めることだろ」
「だって私絶対言うもん」
「何がだ?」
少し黙って、私は口を開く。
「バスケと私とどっちが大切なの?って」
もう目に見えている。
「私は……私を1番に思ってくれる人と付き合いたいもん。」
そう言って私は牧の部屋から出て行く。
もちろん牧は追いかけては来ない。
自分の家までの帰り道、私は初めて牧の事を想い涙を流した。
牧が好き。
私はいつの頃からか牧の1番になりたかったんだ。
だけど、間違いなくバスケの道で進んでいく牧にとって私は1番にはなれない。
こんな女と一緒になったって、牧には負担になるだけ。
わかりきっている。
その日私は彼氏に電話で別れを告げた。
あっさりと承諾され涙すら出なかった。
牧と一緒になるためでは無い。
自分の気持ちに素直になる為。
……なんてちょっとカッコつけた事を思ってみたけど、ただ単に牧への気持ちに気付いてしまったから。
私も牧と同じで、器用ではないみたい。
むしろ気付かなかった方が牧と一緒にいれたのかな。
好きな人に〝好き〟って言われて幸せなはずなのに、こんなに胸が苦しくなる事もあるなんてね……。
私が我慢すればいいだけの事なのかもしれない。
だけど、我慢できるほど大人じゃないんだ。
結局その日は眠れぬ夜を過ごし、寝不足のまま学校へと向かうことになった。
が、家の玄関を出た瞬間私の眠気は一気に飛んでいく。
自宅前の道路には寝不足の原因の人物が立っている。
「牧…なんで」
「少し付き合ってもらうぞ」
ぎゅっと私の手を握り昨日のようにグングンと歩き始める牧。
どうか…
どうか私の心臓の音が聞こえませんように。
そんな事を思っていると着いた先は近所の公園だった。
牧は私の手を離し、正面に立ち、目を見ながら話し始めた。
「俺にとってバスケは1番だ」
「……知ってるよ」
「だが、まなみさんも1番だ」
「え?」
そう言ってゆっくりと私を優しく包み込むように抱きしめる。
「1番がいくつもあったらダメだと、誰が決めたんだ?」
「……ぷっ」
思わず牧の腕の中で私は吹き出してしまった。
「何がおかしい」
少しだけ怪訝そうな顔をする牧にいよいよ笑いが堪えられなくなってしまった。
「あははは。子供みたい!そうだよね、、」
私は何を頑なにこだわっていたんだろう。
こんな簡単なことだったんだ。
物事に順序を決めるのは悪い事ではない。
だけど、1番がいくつあってもいいんだ。
「牧にはお手上げだわ…」
気付いた時に私の言葉は牧の唇によって遮られていた。
「……牧ってさ、手、早いよね」
「知ってるだろ?」
そう言って私達はキスをする。
恋人同士としての、初めてのキスを。
文字通り〝身体だけの関係〟で。
私は彼氏と別れていないし、牧もあれから彼女とどうなったかは知らない。
お互い聞かないし、言わないのだ。
もちろん興味が無い訳では無いし、気にしていない訳でもない。
見た目通り大人っぽい言動をするけれど、たまに見せる負けず嫌いで子供っぽいところもある、そんな牧にむしろドキドキする事だってあるし、会いたいな、と思う事もある。
だけど、彼氏とは別れていない。
一体自分は何がしたいんだろう。
「こんな関係続けてなんになるんだろ…」
バイトの帰り道ポツリと呟く。
最近の私のいつもと違う態度に何も気付かない彼氏。
気付かれたら大変なことになるのに、気付いて欲しいと思う気持ちが心の中にある。
……私ってガキだなぁ。
「まなみさん」
もう何度も耳元で聞いている声。
振り向かなくても誰かはわかる。
牧だ。
「あ~…今日は真っ直ぐ帰るよ。」
「今日は話をしに来た」
牧は私の手を握り歩き出す。
「ちょっと、、、さすがに外で手つなぐのは…」
そんな私の言葉を聞こえているのか、いないのか、そのまま歩くことをやめない。
着いた先は牧の家。
「や、あのさ…今日は帰る…」
「外で話したらまずいんじゃないか?」
私は「確かに…」と思い言葉につまり、結局そのまま牧の部屋へと入った。
そもそも話をするって…
あ、彼女に勘づかれた?
さすがにそろそろやばいよね。
「あ、あのさ…牧」
「好きだ」
牧の口から発せられた言葉はまさかの告白。
好き…??
牧が?私を???
「え、えっと…」
「何をそんなに驚いている」
戸惑う私に牧は「変な事を言っているか?」と言わんばかりの顔をしている。
「俺は好きでもない女と何度も関係を持つほど、器用ではない。」
「彼女は?」
「とっくに終わっている。」
そっか…。
牧は彼女とは別れてたんだ。
私だけか、いつまでもウダウダしているのは。
だけどーーーーー
「ごめん、無理だよ。」
「どうしてだ。彼氏の方が好きなのか」
いつの頃からか牧は私に対して敬語じゃなくなった。
その事は私にとって少し心が緩むことだった。
そしてお互いの距離を更に縮めることでもあった。
「牧はさ、こんな器のちっさい女と一緒になったらダメだよ」
「それは俺が決めることだろ」
「だって私絶対言うもん」
「何がだ?」
少し黙って、私は口を開く。
「バスケと私とどっちが大切なの?って」
もう目に見えている。
「私は……私を1番に思ってくれる人と付き合いたいもん。」
そう言って私は牧の部屋から出て行く。
もちろん牧は追いかけては来ない。
自分の家までの帰り道、私は初めて牧の事を想い涙を流した。
牧が好き。
私はいつの頃からか牧の1番になりたかったんだ。
だけど、間違いなくバスケの道で進んでいく牧にとって私は1番にはなれない。
こんな女と一緒になったって、牧には負担になるだけ。
わかりきっている。
その日私は彼氏に電話で別れを告げた。
あっさりと承諾され涙すら出なかった。
牧と一緒になるためでは無い。
自分の気持ちに素直になる為。
……なんてちょっとカッコつけた事を思ってみたけど、ただ単に牧への気持ちに気付いてしまったから。
私も牧と同じで、器用ではないみたい。
むしろ気付かなかった方が牧と一緒にいれたのかな。
好きな人に〝好き〟って言われて幸せなはずなのに、こんなに胸が苦しくなる事もあるなんてね……。
私が我慢すればいいだけの事なのかもしれない。
だけど、我慢できるほど大人じゃないんだ。
結局その日は眠れぬ夜を過ごし、寝不足のまま学校へと向かうことになった。
が、家の玄関を出た瞬間私の眠気は一気に飛んでいく。
自宅前の道路には寝不足の原因の人物が立っている。
「牧…なんで」
「少し付き合ってもらうぞ」
ぎゅっと私の手を握り昨日のようにグングンと歩き始める牧。
どうか…
どうか私の心臓の音が聞こえませんように。
そんな事を思っていると着いた先は近所の公園だった。
牧は私の手を離し、正面に立ち、目を見ながら話し始めた。
「俺にとってバスケは1番だ」
「……知ってるよ」
「だが、まなみさんも1番だ」
「え?」
そう言ってゆっくりと私を優しく包み込むように抱きしめる。
「1番がいくつもあったらダメだと、誰が決めたんだ?」
「……ぷっ」
思わず牧の腕の中で私は吹き出してしまった。
「何がおかしい」
少しだけ怪訝そうな顔をする牧にいよいよ笑いが堪えられなくなってしまった。
「あははは。子供みたい!そうだよね、、」
私は何を頑なにこだわっていたんだろう。
こんな簡単なことだったんだ。
物事に順序を決めるのは悪い事ではない。
だけど、1番がいくつあってもいいんだ。
「牧にはお手上げだわ…」
気付いた時に私の言葉は牧の唇によって遮られていた。
「……牧ってさ、手、早いよね」
「知ってるだろ?」
そう言って私達はキスをする。
恋人同士としての、初めてのキスを。