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物事に順序を付けるのは悪い事ですか?
誰かの1番になりたいって、それはワガママな事ですか?
「私と部活とどっちが大切なの?!」
ファミレスでバイトしていると、こういった痴話喧嘩を目撃する事も多々ある。
高校1年生からこのファミレスでバイトをし始めて、最初は戸惑ったものだ。
しかし、高校3年生になった今
多少反応はするものの、平然とそのまま自分の仕事を続けられるようになった。
が、今回ばかりは戸惑いが隠しきれなかった。
なぜなら、彼女に席を立たれ1人でため息をついている男は私の元後輩だったから。
「牧」
その彼は声をかけた私を見て、少しだけ驚きバツの悪そうな顔をした。
「…嫌なとこ見られちゃったな。」
海南高校の制服を着て、かなり大人びた見た目をしているが年下の男の子。
牧紳一。
同じ中学で私がマネージャーをしていた男子バスケ部の2個下の後輩。
後輩と言っても私は夏で引退をしているので、実質部活で一緒だったのは約3ヶ月。
だけど、牧の事はよく覚えている。
ずば抜けたバスケの能力があったからだ。
ホントについこの間まで小学生?!と疑うほどだった。
それに牧の事をよく覚えているのはもう1つーーーーー。
「ねぇ、私あと5分でバイト終わるから、一緒に帰んない?」
「あぁ、いいですよ。先に出てますね。」
そんな会話のやり取りをして、私は牧のテーブルから離れた。
「お先に失礼しまーす」
従業員用のドアを開けると、一息着く前に牧の姿を見つける。
卒業ぶりだから…2年ぶり?
背伸びたなぁ…高1に見えないなぁ…。
「まなみ先輩?」
いつの間にか目の前には牧の姿。
残暑の生ぬるい風を頬に、私達は並んで歩き出した。
「しかし、あの牧が一丁前にファミレスで痴話喧嘩とはね」
ニヤニヤとからかう私に牧は片眉を下げ、苦笑いをしている。
「あの調子だと何回か言われてんでしょ?」
ポン!っと肩を叩くと牧は観念したかのように「その通りですよ」と呟いた。
「じ…実際さ男の人って、あぁいう事言われると冷めるの?」
「言ったんですか?」
「あはは…」
図星。
数日前社会人の彼氏に言った自分の言葉が脳裏に浮かぶ。
『仕事と私とどっちが大切なの?!』
この時、力なく笑う私を牧はどんな気持ちで見ていたのかな。
「その人の捉え方、なんじゃないですかね。」
見た目と同じで大人な発言をする牧に何故か少しだけムッとした。
自分だけが子供みたいー。
そう思ったからなのかもしれない。
誰かが言ってた気がするのにな…
『男の人の方が精神年齢って低いんだよ』
そんな事を思っているとあっという間に自分の家の近くに来ていることに気がついた。
「ねぇ」
「なんですか?」
「うち今日親いないんだよね……寄ってかない?」
先程ムッとした男になぜこんな事を言ったのだろう。
自分でもよくわからない。
「……そういう意味で捉えていいんですか?」
そう言って目をじっと見てくる牧に、キュッと彼の手を握りコクンと私は頷いた。
彼氏へのあてつけ?
ただヤケになっただけ?
どの感情にも当てはまらない気がした。
家のカギをあけ、自室へと招き入れると、牧はドアが閉まる前に噛み付くようなキスをしてきた。
それを私は拒むこと無く受け入れる。
「ねぇ、なんであの時私にキスしたの?」
私に背を向け着替えをしている牧に、布団にくるまりながら問いかけた。
牧は着替えを終え、ギシッとベッドに片手をつき顔を近づけてくる。
「あの時って?」
少し口角をあげニヤリとする牧に私は確信をした。
「……覚えてるくせに。」
3年前ーーーーー
「んんーー!!あと!ちょっと!」
ぐぐぐ…と精一杯つま先立ちをし、両手を必死に上へと伸ばす。
ここは男子バスケ部の部室。
ロッカーの上にある冷却スプレーを取りに来たのだが……
「もう!誰さ!こんなとこに置いた人は!」
ガチャ
ドアの開く音がして、私は背伸びをしたまま顔だけを方向転換する。
「牧!」
入ってきたのは今年入部した1年生の牧。
おそらくなかなか戻ってこない私の様子を見に行けと、先輩に言われてきたのだろう。
「あの…大丈夫ですか?俺取りますよ」
「牧だって私とそんなに背変わらないじゃん!!」
スっと私の隣に来て、ぐっと手を伸ばす牧。
精一杯かかとをあげ、眉間にシワを寄せる。
と、その時牧の指がスプレーに触れ
「「あ」」
2人は同時に声を出した。
ゴツン。
牧の指に触れたスプレーは、ロッカーから落下し、見事に私の頭に直撃する。
「ったぁ…何よ、わざと??」
涙目になりながら、キッ!!っと牧を睨む。
「どうやったらわざとでそんな器用なことできるんですか。」
牧は笑いながらも、心配そうに私の顔を覗き込む。
2人の視線がぶつかりあったその時、一瞬だった。
ほんの一瞬。
私の唇に牧の唇がふれる。
突然の事で固まる私。
バタバタと走って部室から出ていく牧。
「あれさ、事故じゃないでしょ」
目の前には高校生になった牧の顔。
同じぐらいだった身長は今では15センチ以上も差がついてしまった。
「さぁ?」
そう言って牧は私が寝転んでいるベッドから離れた。
1つ口づけを落として。
誰かの1番になりたいって、それはワガママな事ですか?
「私と部活とどっちが大切なの?!」
ファミレスでバイトしていると、こういった痴話喧嘩を目撃する事も多々ある。
高校1年生からこのファミレスでバイトをし始めて、最初は戸惑ったものだ。
しかし、高校3年生になった今
多少反応はするものの、平然とそのまま自分の仕事を続けられるようになった。
が、今回ばかりは戸惑いが隠しきれなかった。
なぜなら、彼女に席を立たれ1人でため息をついている男は私の元後輩だったから。
「牧」
その彼は声をかけた私を見て、少しだけ驚きバツの悪そうな顔をした。
「…嫌なとこ見られちゃったな。」
海南高校の制服を着て、かなり大人びた見た目をしているが年下の男の子。
牧紳一。
同じ中学で私がマネージャーをしていた男子バスケ部の2個下の後輩。
後輩と言っても私は夏で引退をしているので、実質部活で一緒だったのは約3ヶ月。
だけど、牧の事はよく覚えている。
ずば抜けたバスケの能力があったからだ。
ホントについこの間まで小学生?!と疑うほどだった。
それに牧の事をよく覚えているのはもう1つーーーーー。
「ねぇ、私あと5分でバイト終わるから、一緒に帰んない?」
「あぁ、いいですよ。先に出てますね。」
そんな会話のやり取りをして、私は牧のテーブルから離れた。
「お先に失礼しまーす」
従業員用のドアを開けると、一息着く前に牧の姿を見つける。
卒業ぶりだから…2年ぶり?
背伸びたなぁ…高1に見えないなぁ…。
「まなみ先輩?」
いつの間にか目の前には牧の姿。
残暑の生ぬるい風を頬に、私達は並んで歩き出した。
「しかし、あの牧が一丁前にファミレスで痴話喧嘩とはね」
ニヤニヤとからかう私に牧は片眉を下げ、苦笑いをしている。
「あの調子だと何回か言われてんでしょ?」
ポン!っと肩を叩くと牧は観念したかのように「その通りですよ」と呟いた。
「じ…実際さ男の人って、あぁいう事言われると冷めるの?」
「言ったんですか?」
「あはは…」
図星。
数日前社会人の彼氏に言った自分の言葉が脳裏に浮かぶ。
『仕事と私とどっちが大切なの?!』
この時、力なく笑う私を牧はどんな気持ちで見ていたのかな。
「その人の捉え方、なんじゃないですかね。」
見た目と同じで大人な発言をする牧に何故か少しだけムッとした。
自分だけが子供みたいー。
そう思ったからなのかもしれない。
誰かが言ってた気がするのにな…
『男の人の方が精神年齢って低いんだよ』
そんな事を思っているとあっという間に自分の家の近くに来ていることに気がついた。
「ねぇ」
「なんですか?」
「うち今日親いないんだよね……寄ってかない?」
先程ムッとした男になぜこんな事を言ったのだろう。
自分でもよくわからない。
「……そういう意味で捉えていいんですか?」
そう言って目をじっと見てくる牧に、キュッと彼の手を握りコクンと私は頷いた。
彼氏へのあてつけ?
ただヤケになっただけ?
どの感情にも当てはまらない気がした。
家のカギをあけ、自室へと招き入れると、牧はドアが閉まる前に噛み付くようなキスをしてきた。
それを私は拒むこと無く受け入れる。
「ねぇ、なんであの時私にキスしたの?」
私に背を向け着替えをしている牧に、布団にくるまりながら問いかけた。
牧は着替えを終え、ギシッとベッドに片手をつき顔を近づけてくる。
「あの時って?」
少し口角をあげニヤリとする牧に私は確信をした。
「……覚えてるくせに。」
3年前ーーーーー
「んんーー!!あと!ちょっと!」
ぐぐぐ…と精一杯つま先立ちをし、両手を必死に上へと伸ばす。
ここは男子バスケ部の部室。
ロッカーの上にある冷却スプレーを取りに来たのだが……
「もう!誰さ!こんなとこに置いた人は!」
ガチャ
ドアの開く音がして、私は背伸びをしたまま顔だけを方向転換する。
「牧!」
入ってきたのは今年入部した1年生の牧。
おそらくなかなか戻ってこない私の様子を見に行けと、先輩に言われてきたのだろう。
「あの…大丈夫ですか?俺取りますよ」
「牧だって私とそんなに背変わらないじゃん!!」
スっと私の隣に来て、ぐっと手を伸ばす牧。
精一杯かかとをあげ、眉間にシワを寄せる。
と、その時牧の指がスプレーに触れ
「「あ」」
2人は同時に声を出した。
ゴツン。
牧の指に触れたスプレーは、ロッカーから落下し、見事に私の頭に直撃する。
「ったぁ…何よ、わざと??」
涙目になりながら、キッ!!っと牧を睨む。
「どうやったらわざとでそんな器用なことできるんですか。」
牧は笑いながらも、心配そうに私の顔を覗き込む。
2人の視線がぶつかりあったその時、一瞬だった。
ほんの一瞬。
私の唇に牧の唇がふれる。
突然の事で固まる私。
バタバタと走って部室から出ていく牧。
「あれさ、事故じゃないでしょ」
目の前には高校生になった牧の顔。
同じぐらいだった身長は今では15センチ以上も差がついてしまった。
「さぁ?」
そう言って牧は私が寝転んでいるベッドから離れた。
1つ口づけを落として。
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