目覚め
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「花道、俺好きな子できた」
洋平のそんな言葉で、昼寝をしようとしていた俺の目はぱっちりとさえてしまう。
今は昼休み。屋上で昼飯を食い終わった俺は眠気が襲ってきたのでウトウトしていたのだが…
「どっ、どの子だ洋平!!」
「どの子って言われてもな…あ」
洋平が声を出して見た先には、いつもバスケ部を見に来ている女子2人組がいた。
「あれ、洋平くんたちもここで食べてたの?」
少し茶色がかった髪の女子が洋平に話しかける。
「そうそう、ひとみちゃん達も?」
「うん!今日天気もいいしね!ねっ、まなみ!」
「そうなの、気持ちいいかなって」
隣にいた髪の長い女子が笑って答える。
優しい笑顔をする子。
俺がまなみさんに対する印象だった。
じゃあ、と言って2人は俺たちの前から去っていった。
「洋平…どっちだ?」
「どっちだと思う?」
洋平はニヤッとして俺に返してくる。
「茶髪の方だろ」
「はは、さすが天才」
俺はなぜか少しホッとしてた。
「お前まなみちゃん、ちょっとタイプだもんな?あ、髪長い子の方な。」
そんな俺の気持ちを察したかのように洋平はニヤニヤしながら言ってくる。
「なっ、何を?!俺には晴子さんが!!」
「はいはい、あ、アイツらにはまだ言うなよ?」
アイツらとは…
『2組にすげー可愛い子がいるらしい!』と言って見に行った高宮、大楠、野間の3人だ。
「洋平お前いつの間に…」
「うーん、あの子らよくバスケ部見に来てるだろ?そりゃ顔見知りにもなるさ。」
「うーむ、そんなものなのか。」
「あ、でもひとみちゃんは流川のことが好きなんだけどな。」
「なにっ?!」
俺はにっくきルカワの名前が出てきて腹が立つ。
「な、なぜ、みんなルカワ、ルカワと…」
わなわなと震える。
「ははは、お互いがんばろーぜ!」
洋平は俺の肩をバンバンと叩く。
その日の部活。
昼休みに話をしていた2人組の女子は今日も部活を見に来ていた。
2人組は晴子さんと何か話をしている。
晴子さん達とも仲いいのか…
俺はぶんぶんと頭を振って練習に集中する事にした。
決勝リーグで俺達は海南に負けた。
俺のせいだ。
丸坊主にした俺を晴子さんは「かわいい」と言ってくれた。
俺は練習後にふと目が合った女子がいた。
まなみさんだ。
「まなみさん!!」
なぜか声をかけなきゃいけない気がして、俺は声を出す。
「えっ、名前…知ってたの?」
心なしかまなみさんの顔が赤くなったような気がした。
「当たり前じゃないですか!天才ですから!」
まなみさんはクスクスと笑う。
「髪の毛、似合ってるよ」
思いもよらぬ事を言われて俺はポカンとした。
「あっ、ごめんなさい!いきなり…」
「い、いえっ!俺のせいで負けましたからね!」
「……そっか。じゃあ、次は桜木君がめいっぱい活躍して勝たなきゃねっ!!」
まなみさんは少し泣きそうな顔をしながら、いつもの優しい笑顔で言う。
そしてペコッと頭を下げてまなみさんは帰って行った。
俺はしばらくその場から動けなかった。
「桜木君、ナイッシュー!」
ここは昼休みの体育館。
この場にいるのは俺と、ゴリと、晴子さん。
決勝リーグ最後の決戦に向けて俺はゴール下のシュート練習をしている。
「桜木君ホントに飲み込みが早いわね」
「いやぁ、天才ですから!」
「まなみちゃんも関心してたわよう!」
「え、まなみさん、ですか?」
俺は思ってもない名前が出てきて少しドキリとした。
「そうそう!まなみちゃん、桜木君の事いつもよく見てるもの!」
「えっ」
キーンコーンカーンコーン…
そこで予鈴のカネがなる。
「俺は水飲んでから帰ります!」
先に体育館を出る赤木兄妹。
「晴子、その子は本当に桜木の事好きなのか?」
「えっ?!まなみちゃん桜木君の事好きなの?!」
「え、だってお前さっき…」
「えっ?!あ、見てるっていうのは桜木君の成長をって意味だったんだけど…あれ?!私もしかして、変なこと言っちゃったかな?」
「……」
「さあ、早く安西先生に報告へ行こうぜ!」
俺達は陵南に勝った。
インターハイ出場を決めたのだ。
「この天才のおかげだな!」
すると体育館の外で洋平達とまなみさんとひとみさんがいた。
「いよーう!花道!やったな!」
「アタリマエだ!!この天才がいるのだからな!」
俺はバチッとまなみさんと目が合う。
「桜木君…ホントにおめでとう。ホントによかったね…」
まなみさんは目にたくさんの涙をためている。
その顔を見てキュッと心臓が摘まれる感覚になった。
「ありがとうございます!」
するとまなみさんはポロポロと涙を流してしまった。
「なっ、泣かないでください!」
俺はあわあわと慌てた。
女子が泣いた時は一体どうすればいいんだ?!
「ごめんね、私なんかが嬉し泣きしても
どうしようもないよね。」
「まなみさんには笑顔が似合います!」
気付いたらこんな事を言っていた。
でも本心だ。
まなみさんの優しい笑顔が好きだったから。
ん?好き?俺が?まなみさんを?
「おーい、花道ー!安西先生のとこ行くぞー!」
リョーちんに呼ばれてハッと我に返る。
「で、ではまた!!」
俺は自分でも驚くぐらい心臓がうるさいのを自覚していた。
そして「うん、また学校でね」と笑顔で言ったまなみさんの顔を思い出して、顔がニヤけた。
インターハイへ行く前日。
午前中で終わった部活の帰り、晴れて彼女になったまなみさんと近くの公園で待ち合わせをしていた。
「桜木君!!」
公園で愛しの人を見つけた俺は浮かれ気分で駆け寄る。
「まなみさん!!…って髪がっ!!」
まなみさんの長かった髪が肩までバッサリと短くなっていた。
「うん、明日からの願掛けも込めて切ってきたんだ!」
まなみさんはエヘへと笑う。
か、可愛すぎる…。
俺の顔は自然に笑顔になる。
あまりにしまりのない顔になってしまいそうで、後ろを向き自分のほっぺたをつねる。
「さ、桜木君??」
まなみさんは心配そうに声をかける。
俺はくるっと振り返り、まなみさんの両肩をガシッと掴む。
「えっ?さ、桜木君?」
「とても似合ってます!惚れ直しました!!」
するとまなみさんは顔を赤くして
「ビックリした。キスされるかと思っちゃった。」といたずらっぽく笑った。
「?!?!」
俺は肩を掴んでいた手を慌てて離す。
「すすすすすみません!!!」
グイッ!!
俺は腕をひっぱられる。
そして
チュッ
ほっぺたにキスをされる。
「今度は桜木君からしてね?」
バターーーン!!!俺はその場に倒れた。
「ちょ、桜木君大丈夫?!」
「生きててよかった…」
「もぉー大袈裟だなぁ」
俺の彼女は優しくて、ちょっと泣き虫で、人の幸せを喜べて、本当に最高の彼女だ。
俺は自分の一生をかけて笑顔が似合うこの大切な人を守っていこう。
俺ならできるはずだ。
天才ですから。
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