決意
空欄の場合は「まなみ」になります。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
え、今キスされた?
は?!まじ??
俺は一人その場から動けずにいた。
走ってその場を去るまなみちゃんの後ろ姿を見ながら。
どうしてこうなった??
2時間前ーーーー
今日はまなみちゃんと約束の祭りの日。
俺は1人鳥居の下でまなみちゃんが来るのを待っていた。
あ、来た。
向こうで立ち止まっているまなみちゃんの姿を見つける。
なんで止まってんの?あ、こっち来た。
浴衣じゃん…。
いや!ちょっと予想はしてたんだけど。
思った以上にかわいい。
いや、思った以上ってなんだよ。
別に期待していたわけじゃ……
「こ、こんばんは」
「おぅ」
なんだよこの空気!!!
なんでこんな緊張してんだよ、俺は!!
まなみちゃんも浴衣のせいか、なんかちょっといつもと雰囲気違うし。
そ、ソワソワする。
グッ!!
いきなり俺は前に進むことを拒まれ、後ろへ引っ張られる。
「?!」
「ご!ごめん!!」
あ、なんだ裾つかまれたのか。
すげぇ人だもんな。
「いいよ、掴んでなよ」
俺はまなみちゃんの手をつかみ、自分のシャツの裾に持っていく。
「ありがとう…」
再びきゅっと俺の裾をつかむまなみちゃん。
待て待て待て。
これはまずい。
俺は自分の心臓の鼓動の早さに驚きを隠せない。
…絶対今、顔赤い。死んでも後ろ向けねぇ。
あ、あれって…
俺はその場に立ち止まる。
正確に言うと動けなくなった。
少し先の出店の前で知らない男と手を繋いでいるアヤちゃん。
急に止まった俺の背中に顔をぶつけ、アヤちゃんに気付いたまなみちゃんは俺の腕をつかみ、反対方向へ連行する。
着いた先は人気の少ない神社裏。
花火が良く見える、穴場。
下見をしたというまなみちゃんにおかしくなり、思わず笑ってしまう。
「ありがとな」
素直に口から出てきた俺からの言葉だった。
ホントにここは花火がよく見える。
花火を見ながら、俺に選抜まで部活を続けるのかと聞いてきたまなみちゃん。
きっと「よし!また応援するね!」とか言うんだろうなと思っていたのに
「そっか…」
そんな予想外の反応で俺は戸惑った。
そして勢いよく俺の方へ向くまなみちゃん。
何事かと花火ではなく、まなみちゃんに顔を向ける。
今まで見たことのないような表情。
切なげで、それでも何かを決意したかのような真っ直ぐな目。
「リョータくん、今日はホントにありがとう!」
「え?あ、あぁ…」
「最高の思い出になったよ」
「何言って…」
まなみちゃんは笑顔を作ってはいたが、今すぐにでも泣きそうな顔をしていた。
「最後にお願いしていい?」
「は?最後って…」
「浴衣、褒めてほしいな」
……最後ってなんだよ。
なんでいつもみたいに笑って俺を見ないんだよ。
なんでそんな下向いてるんだよ。
なんで最後なんだよ。
「似合ってる。かわいいよ」
これは別に嘘でもなんでもない。
ホントに見た時から思っていた事だ。
そして「ありがとう」と言い俺にキスをしてまなみちゃんは走って帰っていった。
う、動けねぇ。
ホントに体が固まるってことがあるもんなんだな。
体は固まって動けねぇのに、心臓だけがうるさいぐらい動いてる。
「学校始まったらどんな顔して会えばいいんだよ…」
だけど、そんな俺の心配は取り越し苦労になる。