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よく目が合うなって思っていた。
ちょっと前から。
けれど、そんなに深く考えたことはなかった。
この日まではーーー。
「あ、流川!」
廊下で向こうから歩いてくる流川に思わず声をかけてしまった。
ろくに話をした事もないのに。
昨日のバスケ部襲撃事件の事を洋平たちから聞いていた私は、自分でもわからないが勝手に声が出ていた。
絶対無視されると思ったのだが、流川は私の前で立ち止まる。
「あの、怪我大丈夫?」
「大丈夫」
「……」「……」
やっぱり会話は続きそうもない…
「いきなりごめん、なさい。私の事なんて知らないよね」
「知ってる。まなみ。」
私は流川の口から自分の名前が出てきた事に驚いた。しかも下の名前。
「いつもアイツらと部活見に来てる。」
「あぁ、『桜木軍団』ね。あ、それで下の
名前か。」
いつも呼ばれているから、と納得した。
「でも、流川そーゆーとこ見てるんだね。
超意外。」
「興味ないことは見ねぇ。」
そう言うと流川はスタスタと歩いて行った。
「え、、それって」
私に興味あるってこと?!えっ?!
あ、桜木軍団に興味あるってこと?!
えっ?!どゆこと?!
1人廊下に取り残された私はしばらくその場から動けなかった。
「っていう事があったんだけど、洋平どう思う?」
「どう思うって言われてもな」
私は学校帰りに謹慎中である幼馴染の洋平の家に来た。
「謎だわー流川楓。謎。」
「もしまなみに興味あるって事だったら、どーすんだ?」
「えっ?!どーするって…」
私は今まで流川の事を深く考えた事がなかった。でも、そう言われれば目が合うことは多々あった。
部活の時も、学校内でも。
目が合うって…こっちを見ていたってこと?
それとも偶然?
そして、私も気づかないうちに流川を見ていたってこと?
「……」
「顔あけーよ?」
「違う!違う!そうじゃない!」
何が違うのかわからないけど、私は大きな声で言っていた。
「あーあ、ついにこの時が来ちまったかぁ」
「??どゆこと?」
「なんでもねーよ」
洋平は私の頭をクシャクシャする。
それから益々流川と目が合う回数は増えた。
意識しちゃうじゃん。そんなん。
私はどうしても授業を受ける気になれず、屋上へ向かう階段を登っている。
ガチャ、と屋上の扉を開けると夏の匂いを交えた気持ちいい風が入ってきた。
「あ…」
私の目に飛び込んできたのは、誰もいない
屋上で寝ている流川だった。
「まつげなが…」
寝ている流川の顔を覗き込む。
「あーあ、よくわかんないなぁ。」
私はそうつぶやきながら、そっと流川の隣に座って真っ青な空を眺めた。
「ナニガ」
「?!?!」
流川は半分寝ぼけ眼で起き上がってきた。
まさか起きてるとは思わない私は驚いて、思わず少し後ろに下がる。
「お、起きてたの?!」
「今起きた。」
流川は「くぁぁ…」と猫のようにあくびをする。
寝起きまで綺麗な顔してるんだな…
ーーって私は何を考えているんだ。
「ヤバいね、こんなとこ誰かに見られたら
誤解されて、流川親衛隊に殺されちゃうよ私。」
私は今思った事を振り払うかのように、バシバシと流川の肩を叩いて言った。
「別に」
「ん?」
「誤解じゃなくすればいい」
そう言って流川は私にキスをしてきた。
思考回路が停止するとはこういう事を言う。
私は怒ることも、驚くことも、照れることもできないでいた。
「流川って私の事好きなの?」
やっと出た一言がこれだった。
「今更かよ、どあほー」
ガチャ
「げっキツネ!!!」
屋上のドアが開いて、やってきたのは
花道と洋平だった。
私はフラフラと立ち上がりそのまま2人の横を通り過ぎようとした。
「おい?まなみ、お前どこ行くんだよ」
その時洋平に腕を掴まれる。
「帰る」
私は洋平の手をスルッと離してそのまま屋上から出た。
そして教室には戻らずまっすぐ家に帰った。
好き?流川が私を?
いつから?どうして?
答えが出ない問題に頭を抱える。
家に帰った私は制服も着替えずそのままベッドに倒れ込んで動けなかった。
ピンポーン
家のチャイムが鳴る。今家には私一人。
「めんどくさい」
私に対応する気はさらさらない。
ピンポンピンポンピンポン!!!!
「るっさいなぁ!!!」私はベッドから飛び起きた。
「まなみ!!いんだろー?!」
花道の声だった。
「鞄持ってきたぞー」
続いて洋平の声。
私はバタバタと急いで階段をおりて、玄関をあけた。
「洋平…花道…」
私は見慣れた2人の顔に安心してなぜかポロポロと涙が出てきた。
「「キスされたぁぁぁ?!?!」」
私の部屋に男二人の大声が響き渡る。
「声がでかい…」
「あんのキツネ野郎。ぶっ潰す。」
花道はワナワナ震えている。
「なぁ」
洋平が私の目をじっと見て聞いてくる。
「嫌だった?」
「えっ?!……なんかもう嫌とか嫌じゃないとか考る暇もなく…」
「じゃあ、今考えろよ。」
洋平はちょっとイラついてるようにも見える。
「洋平?どうしたの?なんか怒ってる?」
「いーから、考えてみろよ。嫌だったのか?」
洋平は私から目をそらさない。
こんな洋平見たことない。
「……嫌じゃなかった」
私にはこれが本心だった。
嫌だとか、許さないとか、そんな感情ではなかった。
もっと別の感情…。
「ぬっ?!それはまなみ、ま、ま、ま、
まさかルカワの事、もがっ…」
花道は洋平に口をふさがれる。
「なら、もうわかってんだろ?どうするべきか。」
「そうだね…ありがとう洋平、花道。」
「俺は部活に行く。そしてあのキツネを
ぶん殴ってくる。」
「お願いだからやめて」
「じゃあな、また明日」
私は手を振って2人を見送った。
「なぁ、洋平」
「んー??」
「お前の気持ちはいーのか?」
洋平は花道にまさかそんな事を言われるとは思ってもなかったので、キョトンとした。
「お前、知ってたのか?」
「どれだけお前らと一緒にいると思ってる。この天才をアナドルナ!」
「はは、さすが天才だな。」
洋平は少し困ったような顔で笑ってこたえる。
「これ以上アイツのキャパオーバーになるような事はできねぇよ。」
「洋平…」
「なんつってな。単なるヘタレだよ俺は。」
バシッ!!!!
花道は洋平の背中を思いっきり叩く。
「ってぇ……サンキュ」
「しかしルカワか…うーーーむ」
「複雑な気持ちだな、天才!」
「よしっ!!」
私は自分に気合を入れて家を出る。
向かった先は湘北高校バスケットボール部が部活をしている体育館。
そろそろ部活が終わる時間。
案の定ゾロゾロと練習を終えた部員達が体育館から出てくる。
「あれ、まなみちゃんじゃん。花道なら
まだ中だよ?」
私は体育館から出てくる宮城さんに話しかけられた。
「いや、花道では…」
そこへ流川が出てくるのが見えた。
私は宮城さんにペコッと頭を下げて流川の元へ走った。
珍しく流川が少し驚いた顔をしたように見えたのは私の気のせいだろうか。
「定期なくしちゃったから、送ってくれない?!」
我ながら無理がある嘘だと思う。
しかもあつかましい。
それなのに流川は「わかった」と言って私を自転車のうしろに乗せてくれた。
「ひゃーーー!気持ちいいー!!」
海岸沿いを自転車で走る気持ち良さに私は
テンションが上がっていた。
「はしゃぐな、危ねぇ。」
「ねえねえ!ちょっと海寄ろうよ!」
流川は黙って浜の方へ連れて行ってくれる。
「よ、夜の海ってちょっと怖いよね。」
あまりの暗さに私はガシッと流川の腕を掴んでしまった。
「ご、ごめん」
すると流川は私の手をぎゅっと握った。
ドキッと心臓が高鳴る。
「なんか言いに来たんじゃねーの?」
ずるい。そんな真っ直ぐな目で見られたら、
何にも言えなくなりそうになる。
この暗さでも間近にいる流川の顔はハッキリと見える。
私は両手で包み込むように流川の手をギュッと握り直した。
「流川は私の事好きなの?」
負けじとまっすぐに流川の目を見て話す。
「だからさっき屋上で……言ってねぇか」
「そう!言ってないの!」
「好きじゃなきゃあんなことしねぇ」
流川は私をグイッと引き寄せ抱きしめた。
「まなみ、好きだ。」
「ずるい…」
チュッ
流川は私の唇にふんわりとやさしいキスをおとす。
「ねえ、私まだ何にも言ってないんだけど?ホントに手が早いな…」
「んなもん、ここにおめーがいるんだから
それが答えじゃねーか。」
「ぐっ…」なにも言えない。
私たちはまた自転車に乗り海沿いを走る。
「ねーぇ」
私は気になっていたことを聞こうと思って
声を出す。道路を走る車の音にかき消されないように大きな声で。
「いつから私の事好きだったのー?
てか、なんで私だったのー??」
「初めて見た時から」
「はっ?!」
「ヒトメボレ」
私は思わずプッと吹き出してしまった。
「ま、まさか流川の口から『一目惚れ』なんて言葉を聞く日が来ようとは。」
「るせー」
「流川ーーーー!!」
「なに」
「好きだよーーーー!!」
「……知ってる。どあほー。」
顔は見えないけど、きっと流川は照れてんだろうなって思うと私の顔は自然にほころぶのだった。
これからコイツの色んな顔が見れると思うとワクワクが止まらない。と同時にこんなに好きだったのかという想いを自覚をして、なんだか私が照れてしまう。
さあ、これから暑い暑い夏がやってくる。
ちょっと前から。
けれど、そんなに深く考えたことはなかった。
この日まではーーー。
「あ、流川!」
廊下で向こうから歩いてくる流川に思わず声をかけてしまった。
ろくに話をした事もないのに。
昨日のバスケ部襲撃事件の事を洋平たちから聞いていた私は、自分でもわからないが勝手に声が出ていた。
絶対無視されると思ったのだが、流川は私の前で立ち止まる。
「あの、怪我大丈夫?」
「大丈夫」
「……」「……」
やっぱり会話は続きそうもない…
「いきなりごめん、なさい。私の事なんて知らないよね」
「知ってる。まなみ。」
私は流川の口から自分の名前が出てきた事に驚いた。しかも下の名前。
「いつもアイツらと部活見に来てる。」
「あぁ、『桜木軍団』ね。あ、それで下の
名前か。」
いつも呼ばれているから、と納得した。
「でも、流川そーゆーとこ見てるんだね。
超意外。」
「興味ないことは見ねぇ。」
そう言うと流川はスタスタと歩いて行った。
「え、、それって」
私に興味あるってこと?!えっ?!
あ、桜木軍団に興味あるってこと?!
えっ?!どゆこと?!
1人廊下に取り残された私はしばらくその場から動けなかった。
「っていう事があったんだけど、洋平どう思う?」
「どう思うって言われてもな」
私は学校帰りに謹慎中である幼馴染の洋平の家に来た。
「謎だわー流川楓。謎。」
「もしまなみに興味あるって事だったら、どーすんだ?」
「えっ?!どーするって…」
私は今まで流川の事を深く考えた事がなかった。でも、そう言われれば目が合うことは多々あった。
部活の時も、学校内でも。
目が合うって…こっちを見ていたってこと?
それとも偶然?
そして、私も気づかないうちに流川を見ていたってこと?
「……」
「顔あけーよ?」
「違う!違う!そうじゃない!」
何が違うのかわからないけど、私は大きな声で言っていた。
「あーあ、ついにこの時が来ちまったかぁ」
「??どゆこと?」
「なんでもねーよ」
洋平は私の頭をクシャクシャする。
それから益々流川と目が合う回数は増えた。
意識しちゃうじゃん。そんなん。
私はどうしても授業を受ける気になれず、屋上へ向かう階段を登っている。
ガチャ、と屋上の扉を開けると夏の匂いを交えた気持ちいい風が入ってきた。
「あ…」
私の目に飛び込んできたのは、誰もいない
屋上で寝ている流川だった。
「まつげなが…」
寝ている流川の顔を覗き込む。
「あーあ、よくわかんないなぁ。」
私はそうつぶやきながら、そっと流川の隣に座って真っ青な空を眺めた。
「ナニガ」
「?!?!」
流川は半分寝ぼけ眼で起き上がってきた。
まさか起きてるとは思わない私は驚いて、思わず少し後ろに下がる。
「お、起きてたの?!」
「今起きた。」
流川は「くぁぁ…」と猫のようにあくびをする。
寝起きまで綺麗な顔してるんだな…
ーーって私は何を考えているんだ。
「ヤバいね、こんなとこ誰かに見られたら
誤解されて、流川親衛隊に殺されちゃうよ私。」
私は今思った事を振り払うかのように、バシバシと流川の肩を叩いて言った。
「別に」
「ん?」
「誤解じゃなくすればいい」
そう言って流川は私にキスをしてきた。
思考回路が停止するとはこういう事を言う。
私は怒ることも、驚くことも、照れることもできないでいた。
「流川って私の事好きなの?」
やっと出た一言がこれだった。
「今更かよ、どあほー」
ガチャ
「げっキツネ!!!」
屋上のドアが開いて、やってきたのは
花道と洋平だった。
私はフラフラと立ち上がりそのまま2人の横を通り過ぎようとした。
「おい?まなみ、お前どこ行くんだよ」
その時洋平に腕を掴まれる。
「帰る」
私は洋平の手をスルッと離してそのまま屋上から出た。
そして教室には戻らずまっすぐ家に帰った。
好き?流川が私を?
いつから?どうして?
答えが出ない問題に頭を抱える。
家に帰った私は制服も着替えずそのままベッドに倒れ込んで動けなかった。
ピンポーン
家のチャイムが鳴る。今家には私一人。
「めんどくさい」
私に対応する気はさらさらない。
ピンポンピンポンピンポン!!!!
「るっさいなぁ!!!」私はベッドから飛び起きた。
「まなみ!!いんだろー?!」
花道の声だった。
「鞄持ってきたぞー」
続いて洋平の声。
私はバタバタと急いで階段をおりて、玄関をあけた。
「洋平…花道…」
私は見慣れた2人の顔に安心してなぜかポロポロと涙が出てきた。
「「キスされたぁぁぁ?!?!」」
私の部屋に男二人の大声が響き渡る。
「声がでかい…」
「あんのキツネ野郎。ぶっ潰す。」
花道はワナワナ震えている。
「なぁ」
洋平が私の目をじっと見て聞いてくる。
「嫌だった?」
「えっ?!……なんかもう嫌とか嫌じゃないとか考る暇もなく…」
「じゃあ、今考えろよ。」
洋平はちょっとイラついてるようにも見える。
「洋平?どうしたの?なんか怒ってる?」
「いーから、考えてみろよ。嫌だったのか?」
洋平は私から目をそらさない。
こんな洋平見たことない。
「……嫌じゃなかった」
私にはこれが本心だった。
嫌だとか、許さないとか、そんな感情ではなかった。
もっと別の感情…。
「ぬっ?!それはまなみ、ま、ま、ま、
まさかルカワの事、もがっ…」
花道は洋平に口をふさがれる。
「なら、もうわかってんだろ?どうするべきか。」
「そうだね…ありがとう洋平、花道。」
「俺は部活に行く。そしてあのキツネを
ぶん殴ってくる。」
「お願いだからやめて」
「じゃあな、また明日」
私は手を振って2人を見送った。
「なぁ、洋平」
「んー??」
「お前の気持ちはいーのか?」
洋平は花道にまさかそんな事を言われるとは思ってもなかったので、キョトンとした。
「お前、知ってたのか?」
「どれだけお前らと一緒にいると思ってる。この天才をアナドルナ!」
「はは、さすが天才だな。」
洋平は少し困ったような顔で笑ってこたえる。
「これ以上アイツのキャパオーバーになるような事はできねぇよ。」
「洋平…」
「なんつってな。単なるヘタレだよ俺は。」
バシッ!!!!
花道は洋平の背中を思いっきり叩く。
「ってぇ……サンキュ」
「しかしルカワか…うーーーむ」
「複雑な気持ちだな、天才!」
「よしっ!!」
私は自分に気合を入れて家を出る。
向かった先は湘北高校バスケットボール部が部活をしている体育館。
そろそろ部活が終わる時間。
案の定ゾロゾロと練習を終えた部員達が体育館から出てくる。
「あれ、まなみちゃんじゃん。花道なら
まだ中だよ?」
私は体育館から出てくる宮城さんに話しかけられた。
「いや、花道では…」
そこへ流川が出てくるのが見えた。
私は宮城さんにペコッと頭を下げて流川の元へ走った。
珍しく流川が少し驚いた顔をしたように見えたのは私の気のせいだろうか。
「定期なくしちゃったから、送ってくれない?!」
我ながら無理がある嘘だと思う。
しかもあつかましい。
それなのに流川は「わかった」と言って私を自転車のうしろに乗せてくれた。
「ひゃーーー!気持ちいいー!!」
海岸沿いを自転車で走る気持ち良さに私は
テンションが上がっていた。
「はしゃぐな、危ねぇ。」
「ねえねえ!ちょっと海寄ろうよ!」
流川は黙って浜の方へ連れて行ってくれる。
「よ、夜の海ってちょっと怖いよね。」
あまりの暗さに私はガシッと流川の腕を掴んでしまった。
「ご、ごめん」
すると流川は私の手をぎゅっと握った。
ドキッと心臓が高鳴る。
「なんか言いに来たんじゃねーの?」
ずるい。そんな真っ直ぐな目で見られたら、
何にも言えなくなりそうになる。
この暗さでも間近にいる流川の顔はハッキリと見える。
私は両手で包み込むように流川の手をギュッと握り直した。
「流川は私の事好きなの?」
負けじとまっすぐに流川の目を見て話す。
「だからさっき屋上で……言ってねぇか」
「そう!言ってないの!」
「好きじゃなきゃあんなことしねぇ」
流川は私をグイッと引き寄せ抱きしめた。
「まなみ、好きだ。」
「ずるい…」
チュッ
流川は私の唇にふんわりとやさしいキスをおとす。
「ねえ、私まだ何にも言ってないんだけど?ホントに手が早いな…」
「んなもん、ここにおめーがいるんだから
それが答えじゃねーか。」
「ぐっ…」なにも言えない。
私たちはまた自転車に乗り海沿いを走る。
「ねーぇ」
私は気になっていたことを聞こうと思って
声を出す。道路を走る車の音にかき消されないように大きな声で。
「いつから私の事好きだったのー?
てか、なんで私だったのー??」
「初めて見た時から」
「はっ?!」
「ヒトメボレ」
私は思わずプッと吹き出してしまった。
「ま、まさか流川の口から『一目惚れ』なんて言葉を聞く日が来ようとは。」
「るせー」
「流川ーーーー!!」
「なに」
「好きだよーーーー!!」
「……知ってる。どあほー。」
顔は見えないけど、きっと流川は照れてんだろうなって思うと私の顔は自然にほころぶのだった。
これからコイツの色んな顔が見れると思うとワクワクが止まらない。と同時にこんなに好きだったのかという想いを自覚をして、なんだか私が照れてしまう。
さあ、これから暑い暑い夏がやってくる。
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