愉悦
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ただいまの時刻は7月30日23時58分。
目の前のテレビ画面は報道番組が今日1日の出来事を伝え終え、天気予報へと変わっている。明日の天気は全国的に晴れて、とても暑い日になるらしい。
「げ…明日めっちゃ暑くなるじゃん」
怪訝そうな顔でテレビ画面を睨みつけているのは、オレの大好きな子。付き合って2年、今年の春から一緒に住み始めている彼女のまなみちゃんだ。大好きで大好きで仕方ない子だ。ソファの上で体育座りをしながら「暑いのやだ…」と口をとがらせながらボヤいてる。
…………ねぇ、忘れてない、よね?
オレあと2分で、いやもうあと1分ちょいで1つ歳をとるんだけど。
そう、日付が変わった7月31日はオレの誕生日だ。けど、隣のまなみちゃんははソワソワする素振りも、別部屋に行って何かを用意する気配も一切ない。まったくもっていつも通りの日常だ。
そう、きっとこの後「そろそろ寝ようよ」って言ってくる、何気ない日常となんら変わりのない日だ。
……いいんだ、別に。明日は仕事が休みで「リョータの誕生日だから、デートしよ!」と前もって言ってくれてるんだから、、、ちゃんと覚えてはくれているんだからワガママは言えねぇや。
「さてと…」
ほら、きっとまなみちゃんははこのまま立ち上がって「寝よう」って言うんでしょ?わかってる。オレはキミの事ならなんでもわかってるよ。
……そう思っていたのに、まなみちゃんは立ち上がったかと思うと、オレの目の前で屈み、オレの両頬に手を添え何も言わずに唇にキスをした。
「リョータ、誕生日おめでとう」
ーーーーーーえ?!
「よっし!誰よりも早く言えた!」
そう言うとまなみちゃんはオレの目の前でとびっきりの笑顔を見せて、ピースサインをする。そんな可愛いことをされたらたまったもんじゃねぇよ。オレはソファから立ち上がり、勢いよくキミを抱きしめた。強く、強く抱きしめた。
そして泣きそうになるのを我慢して言う。
「……ありがとう」
「ふふ、何も言われないと思ってたでしょ?」
オレの背中に手を回し、キミはイタズラっ子のようにオレの胸の中でクスクスと笑う。まさにしてやったりといったところなのだろう。
そして、おもむろにしゃがむとソファの下に手を入れ、ラッピングされた箱を取り出し、それをオレに渡す。
「はい、プレゼント」
驚いたオレはお礼を言う前に「いつの間に?!」と声に出してしまった。もちろんその後に全力で「ありがとう」とお礼を言う。得意げに「どういたしまして」と言うまなみちゃんが可愛くて仕方ない。
「開けていい?」
「どうぞどうぞ」
丁寧にラッピングを剥がすと、中から出てきたのはTシャツだった。しかもそれはーーー
「前にリョータ欲しいって言ってたでしょ?」
そう、このTシャツは前にオレがネットで見て買おうか悩んでいたものだった。
「やべぇ!めちゃくちゃ嬉しい!!!」
「リョータの事はなんでもお見通しだから!惚れ直した?」
「うん、超惚れ直した」
オレらはへへへ、と笑い合いながらおでこをくっつけ、どちらからともなくキスをした。
「てか、ホントにリョータわかりやすいんだもん、5分ぐらい前からソワソワしてさ」
「マジで?」
「笑いこらえるのしんどかった」
「うわ……すっげ恥ずかしいじゃん」
「あはは、でも私は」
まなみちゃんはじっとオレを見つめてくる。そしてニカッと笑い言った。
「そんなリョータが大好き」
大好き、なんて何百回、何千回言ったって足りないんだ。オレの中のこの気持ちはどんどんと膨れ上がるばかりで、まなみちゃんを守りたい、大切にしたい、ずっと一緒にいたい。出会った時から思っている事だ。
オレは優しくまなみちゃんの耳元から髪の毛に手を入れ、顔を引き寄せキスをする。角度をかえ、何度も何度も「愛してる」とつぶやきながら。
そして、まっすぐにそのキレイな瞳を見つめながら言った。
「オレと結婚しよ」
見つめていた目は大きくなり、その瞳の奥にはオレの真剣な顔がうつっている。
「いや、ごめん。違うね……オレと結婚してください」
他の誰でもない、キミと結婚がしたいんだ。
するとキミの瞳からボロボロと大きな涙がいくつもこぼれ始めた。オレは突然のその涙に戸惑い、オロオロしてしまう。マジでかっこ悪ぃ。
「ごっ、ごめん!いきなりでホントにごめん!」
「ちが…う…嬉しすぎて…」
「え…て、事は?」
恐る恐る聞くオレにキミはコクリと頷き「よろこんで」と目と鼻を赤くさせながら笑った。
「や…やったぁぁぁぁぁぁ!!!!」
思わずオレはキミを抱きしめる。今までこんなに強く抱きしめた事はないんじゃないかというぐらい、強くきつく抱きしめた。
「明日のデートは指輪見に行こうよ!」
「え?!リョータ気が早いね」
抱き合いながら2人の未来予想図を頭の中で描く。どうしたって幸せな構図ばかりが浮かんでくる。だって死ぬほど好きな人と一緒に過ごす日々だよ?大好きなまなみちゃんがずっとずっとオレのそばにいてくれるんだよ?そんなの幸せ以外の何ものでもねぇじゃん。
「でも、まさかパジャマ姿でプロポーズされるとは思ってなかった」
「ははは…ごめん」
寝室でたっぷり愛し合ったあと、ベッドで2人は身を寄せ合うようにくっつき、まなみちゃんはオレの肩に頭を乗せている。
「どんな形であれ、すごく嬉しかったから許す!」
「……まなみちゃん」
「ん?」
「宇宙一幸せにするから」
「私も、リョータを宇宙一の幸せ者にする」
こんなに幸せな誕生日、最高すぎね?!
でもきっとこれからも、もっともっと最高な日々が続いていくんだ、だってキミと一生を共にするんだから。
HappyBirthday オレーーー。
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