不安
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好きって言葉にすると「重い」とか「言わなくてもわかる」とか…
違うの!!!そーゆーんじゃないの。
ただ聞きたい、安心したい。じゃないと不安で押しつぶされそうになるんだから。
「まなみ~、今日もダーリンの部活を見に行くん?」
帰りのホームールームが終わった教室で、友人が足早に私の席へとやって来て、机に手を乗せながら話しかけてくる。私はジト目で友人を睨みつけた。
もちろんそれに対し友人は「どないしたん」と聞いてくる。当たり前だろう、思ってもいない反応を私がしたからだ。
「……来るなって言われた」
「は?」
「ひどくない?!彼女に対して『来るな』だよ?!なんでよぉぉぉ!!」
私は椅子から立ち上がって友人の両肩をつかみ、ブンブンと前後に彼女の身体を揺らしまくった。その間「ちょ、まっ…」と声が聞こえたが、そんなの無視をした。ーが、さすがに彼女も我慢の限界がきたようで、ガシッと私の手を掴み「ストップ!!」と大きな声を出した。
「なんで南は『来るな』言うたん?」
「私が聞きたい……」
私はヘナヘナと再び椅子に座り、そのまま机におでこをつける。
「なんなの、大阪の男ってこんなに冷たいの?」
「いや、人によるやろ」
去年、高校2年生に進学すると共に私は、関東からここ大阪へと引っ越してきた。高校生になって転校するとは思っていなかったので、最初は嫌で嫌で仕方がなかったけれど、いざ来てみると……うん、悪くないね大阪。
クラスメイトはみんな気さくだし、なんてったって2年生の終わり頃には大好きな大好きな彼氏まで出来た。
「……彼女が嘆いてますけど?どーするん?彼氏さん」
友人は1人の男子生徒に向け、声をかける。
するとその男子生徒は「はぁ…」とでかいため息をついて、大きなスポーツバッグを持つとその場から去ろうとした。
私はその男子生徒の腕を両手でガシッとつかんだ。
「……なんやねん」
チラッとこちらを向き、めんどくさそうに言うコイツが、そう。私の彼氏である南烈。大好きな大好きな………彼氏。のはず。
「見に来るなってどーゆー事?!」
「……受験生なんやから、帰って勉強せぇ言うたやろ」
「なんやそーゆ事やったん?まなみ~、南はあんたの事思って言ったんやないのぉ!」
南の言葉を聞いた友人は私の肩をバンバンと叩いて、笑いながら言った。
「ちがう。そんな事思ってないでしょ!」
だてに数ヶ月、彼女やってないんだよ?!感情がわかりにくい南だけど、ホントの事言ってるかどうかなんてわかるよ。
すると南は私を見つめてくる。
……というか睨んでるよね、完全に。さっき私が友人にしたようなジト目で。
そんな顔ですらちょっとカッコイイ…なんて思ってしまう自分が嫌になる。
そして南は「はぁ…」とため息をついた。
あぁ、いつもそうだ。いつも私ばっかりが好きなんだ。告白したのだって私から。ただ彼女が欲しかったから付き合ってくれたの?ただヤりたいだけ?ホントに私のこと好きなの?
あ…やばい。泣くわ、これ。
私はそんな灰色の感情にいたたまれなくなって、この場から走って去った。
後ろから聞こえてきたのは「まなみ!」という友人の声。南の声ではなかった。
「おっと」
教室のドアをあけたその瞬間、ちょうどドアに手をかけようとしいた男子生徒とぶつかった。
「なんや、まなみちゃんやんけ…って泣いとるんか?」
その男子生徒は南と同じバスケ部の岸本くんだった。南とは幼なじみだと前に聞いたことがある。恐らく部活へ行く南を迎えに来たのだろう。
私の頬を伝う涙に気付いた岸本くんは、そのまま過ぎ去ろうとした私の腕をつかんだ。
「南に泣かされたん?」
「……」
黙っているのが何よりの証拠だってわかってるけど、私は黙ることしかできないでいた。
「ホンマにアイツはなぁ~、オレが慰めたろか?」
岸本くんは私の肩に手を乗せ、顔を近づけながら言う。その顔は本気なのか冗談なのか、私には読み取ることかできなかった。
ーと、その時、岸本くんの手が置かれていない方の肩がグイッと誰かに引き寄せられる。
「なにアホなこと言うてんねん」
私を自分の体の後ろに隠すようにして現れたのは南だった。私の目の前にはあるのは南の背中。その為、表情は見えなかったが、確実に声は不機嫌なままだ。
「行くで」
そう言って南は私の手を引っ張り、歩き出した。
「ちょっと南!どこ行くの?!」
廊下を歩き続け、体育館と本校舎を繋ぐ渡り廊下も過ぎ、体育館へと行くのかと思いきや、そこへは入らない南。体育館の入口の横をすり抜け、やって来たのは外だ。体育館と校舎の間の隙間へと連れてこられた。
……いよいよふられる?
私は南に背を向け、校舎の壁とにらめっこだ。
「こっち向き」
「いやだ」
「なんでやねん、いーからこっち向きって」
「いやだ!」
「あのなぁ…」
後ろからジャリ…と南の足音が聞こえたかと思うと、私の背中に暖かな体温を感じた。フワリと南が私を後ろから抱きしめたのだ。まるで壊れ物を扱うかのように、そっと優しく。
私は恐る恐る南のその腕をキュッと掴む。
「…いつも私ばっかりが好きみたい」
「ホンマにお前はアホやな…オレがどんだけお前のこと好きかわからへんのか」
思ってもみなかった南の言葉に私は驚き、バッと勢いよく振り返った。そこには私を真っ直ぐに見つめる南の姿。
「あと少しで予選が始まるのは知っとるよな?」
「……は?」
予選……?
あ、バスケの試合の事か。
「お前が部活見に来ると集中でけへんのや」
「…………それって、私がいると気になって部活に集中出来ないってこと?」
すると南はそれには答えず、私の後頭部に手を回し、強引に引き寄せそのままキスをした。それは1度、2度…ともう数え切れないぐらいの口付けを落とす。
「どーしてくれんねん。部活行きたないわ」
「そっ…それは私のせい?!」
「他に誰のせいやねん」
「ちゃんともっと言葉にしてくれないと、私どっか行っちゃうよ?!」
「そーなったら、地の果てまで追いかけたるわ」
「こっわ…でも、そんだけ私の事好きって事か」
形勢逆転。
私はニヤニヤしながら南の顔を覗き込んだ。
するとほっぺたをムギュッと片手でつままれ、口がタコのようになってしまった。
「あぁ、そうやで。お前がうんざりするほど、これからも愛してやるから覚悟せぇよ」
そう言って南はタコになったままの私の唇にキスを落とし、そのまま体育館へと歩き出した。私はその後をちょこちょことついて行く。
「……なんでお前も来んねん」
南は立ち止まって振り返り、怪訝そうな顔で私を見る。
「いいじゃん。あ、でもちゃんと集中してね?」
「……別に見に来てもええけど、終わったら真っ直ぐ家に帰れる思うなよ?」
「え?」
「覚悟せぇ言うたやろ?」
南はそう言って私の手を引いて、再び歩き出す。
上等です!
あなたのその愛、全力で受け止めましょう。
負けじと私も全力で愛をぶつけるから、覚悟してよね!!
違うの!!!そーゆーんじゃないの。
ただ聞きたい、安心したい。じゃないと不安で押しつぶされそうになるんだから。
「まなみ~、今日もダーリンの部活を見に行くん?」
帰りのホームールームが終わった教室で、友人が足早に私の席へとやって来て、机に手を乗せながら話しかけてくる。私はジト目で友人を睨みつけた。
もちろんそれに対し友人は「どないしたん」と聞いてくる。当たり前だろう、思ってもいない反応を私がしたからだ。
「……来るなって言われた」
「は?」
「ひどくない?!彼女に対して『来るな』だよ?!なんでよぉぉぉ!!」
私は椅子から立ち上がって友人の両肩をつかみ、ブンブンと前後に彼女の身体を揺らしまくった。その間「ちょ、まっ…」と声が聞こえたが、そんなの無視をした。ーが、さすがに彼女も我慢の限界がきたようで、ガシッと私の手を掴み「ストップ!!」と大きな声を出した。
「なんで南は『来るな』言うたん?」
「私が聞きたい……」
私はヘナヘナと再び椅子に座り、そのまま机におでこをつける。
「なんなの、大阪の男ってこんなに冷たいの?」
「いや、人によるやろ」
去年、高校2年生に進学すると共に私は、関東からここ大阪へと引っ越してきた。高校生になって転校するとは思っていなかったので、最初は嫌で嫌で仕方がなかったけれど、いざ来てみると……うん、悪くないね大阪。
クラスメイトはみんな気さくだし、なんてったって2年生の終わり頃には大好きな大好きな彼氏まで出来た。
「……彼女が嘆いてますけど?どーするん?彼氏さん」
友人は1人の男子生徒に向け、声をかける。
するとその男子生徒は「はぁ…」とでかいため息をついて、大きなスポーツバッグを持つとその場から去ろうとした。
私はその男子生徒の腕を両手でガシッとつかんだ。
「……なんやねん」
チラッとこちらを向き、めんどくさそうに言うコイツが、そう。私の彼氏である南烈。大好きな大好きな………彼氏。のはず。
「見に来るなってどーゆー事?!」
「……受験生なんやから、帰って勉強せぇ言うたやろ」
「なんやそーゆ事やったん?まなみ~、南はあんたの事思って言ったんやないのぉ!」
南の言葉を聞いた友人は私の肩をバンバンと叩いて、笑いながら言った。
「ちがう。そんな事思ってないでしょ!」
だてに数ヶ月、彼女やってないんだよ?!感情がわかりにくい南だけど、ホントの事言ってるかどうかなんてわかるよ。
すると南は私を見つめてくる。
……というか睨んでるよね、完全に。さっき私が友人にしたようなジト目で。
そんな顔ですらちょっとカッコイイ…なんて思ってしまう自分が嫌になる。
そして南は「はぁ…」とため息をついた。
あぁ、いつもそうだ。いつも私ばっかりが好きなんだ。告白したのだって私から。ただ彼女が欲しかったから付き合ってくれたの?ただヤりたいだけ?ホントに私のこと好きなの?
あ…やばい。泣くわ、これ。
私はそんな灰色の感情にいたたまれなくなって、この場から走って去った。
後ろから聞こえてきたのは「まなみ!」という友人の声。南の声ではなかった。
「おっと」
教室のドアをあけたその瞬間、ちょうどドアに手をかけようとしいた男子生徒とぶつかった。
「なんや、まなみちゃんやんけ…って泣いとるんか?」
その男子生徒は南と同じバスケ部の岸本くんだった。南とは幼なじみだと前に聞いたことがある。恐らく部活へ行く南を迎えに来たのだろう。
私の頬を伝う涙に気付いた岸本くんは、そのまま過ぎ去ろうとした私の腕をつかんだ。
「南に泣かされたん?」
「……」
黙っているのが何よりの証拠だってわかってるけど、私は黙ることしかできないでいた。
「ホンマにアイツはなぁ~、オレが慰めたろか?」
岸本くんは私の肩に手を乗せ、顔を近づけながら言う。その顔は本気なのか冗談なのか、私には読み取ることかできなかった。
ーと、その時、岸本くんの手が置かれていない方の肩がグイッと誰かに引き寄せられる。
「なにアホなこと言うてんねん」
私を自分の体の後ろに隠すようにして現れたのは南だった。私の目の前にはあるのは南の背中。その為、表情は見えなかったが、確実に声は不機嫌なままだ。
「行くで」
そう言って南は私の手を引っ張り、歩き出した。
「ちょっと南!どこ行くの?!」
廊下を歩き続け、体育館と本校舎を繋ぐ渡り廊下も過ぎ、体育館へと行くのかと思いきや、そこへは入らない南。体育館の入口の横をすり抜け、やって来たのは外だ。体育館と校舎の間の隙間へと連れてこられた。
……いよいよふられる?
私は南に背を向け、校舎の壁とにらめっこだ。
「こっち向き」
「いやだ」
「なんでやねん、いーからこっち向きって」
「いやだ!」
「あのなぁ…」
後ろからジャリ…と南の足音が聞こえたかと思うと、私の背中に暖かな体温を感じた。フワリと南が私を後ろから抱きしめたのだ。まるで壊れ物を扱うかのように、そっと優しく。
私は恐る恐る南のその腕をキュッと掴む。
「…いつも私ばっかりが好きみたい」
「ホンマにお前はアホやな…オレがどんだけお前のこと好きかわからへんのか」
思ってもみなかった南の言葉に私は驚き、バッと勢いよく振り返った。そこには私を真っ直ぐに見つめる南の姿。
「あと少しで予選が始まるのは知っとるよな?」
「……は?」
予選……?
あ、バスケの試合の事か。
「お前が部活見に来ると集中でけへんのや」
「…………それって、私がいると気になって部活に集中出来ないってこと?」
すると南はそれには答えず、私の後頭部に手を回し、強引に引き寄せそのままキスをした。それは1度、2度…ともう数え切れないぐらいの口付けを落とす。
「どーしてくれんねん。部活行きたないわ」
「そっ…それは私のせい?!」
「他に誰のせいやねん」
「ちゃんともっと言葉にしてくれないと、私どっか行っちゃうよ?!」
「そーなったら、地の果てまで追いかけたるわ」
「こっわ…でも、そんだけ私の事好きって事か」
形勢逆転。
私はニヤニヤしながら南の顔を覗き込んだ。
するとほっぺたをムギュッと片手でつままれ、口がタコのようになってしまった。
「あぁ、そうやで。お前がうんざりするほど、これからも愛してやるから覚悟せぇよ」
そう言って南はタコになったままの私の唇にキスを落とし、そのまま体育館へと歩き出した。私はその後をちょこちょことついて行く。
「……なんでお前も来んねん」
南は立ち止まって振り返り、怪訝そうな顔で私を見る。
「いいじゃん。あ、でもちゃんと集中してね?」
「……別に見に来てもええけど、終わったら真っ直ぐ家に帰れる思うなよ?」
「え?」
「覚悟せぇ言うたやろ?」
南はそう言って私の手を引いて、再び歩き出す。
上等です!
あなたのその愛、全力で受け止めましょう。
負けじと私も全力で愛をぶつけるから、覚悟してよね!!
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