オモテウラ

ランボの言うように、本当に自分はカッコ良かったのだろうか。緊張と不安で顔は強張っていたし、身体も震えていたような気がするのだが。

正直なところ、あの時は頭が真っ白になって……ほとんど覚えていない、というのが正しかった。

「おお、確かに……沢田は、あの時からより立派な男になっていったな」
「そ、そう、ですか……?それなら、いいんですけど……」

了平の目元が穏やかなものになり、隣で頷くランボも、キザったらしい表情ではなく、どこかうっとりとした、強い憧れを抱くような表情でツナを見ていた。
そんな二人の視線に、ツナはむず痒いような、落ち着かないような気持ちになる。

その後も互いの近況を話し、任務の連絡や確認を行って、了平とランボは次の目的地へと向かった。

「ああそうだ、忘れるところだった。日本の地下アジトだが、メンテナンスにお前の確認が必要とのことだ」
「あ、そうなんですか?」

本部を出る寸前、了平が思い出したように言う。

日本の地下アジトとは、ツナが何年もかけて並盛の地下に作らせたシェルターのような施設だ。ボンゴレの最先端技術を取り入れてようやく完成したのだが、まだまだ細かい調整などが必要だった。

正直、技術的なことはさっぱりだし、開発チームに任せきっているのだが……やはり定期的な確認や、いざという時の判断は、ボスである自分がやらなければならない。場合によれば、日本へ帰って直接指揮を執る必要もある。

「ってことは、雲雀さんにお伺いを立てないといけないのか……」
「おお、ぜひ雲雀のやつにも顔を出してやってくれ」

地下アジトは、雲の守護者である雲雀恭弥の家……並盛財団の屋敷と繋がっていた。並盛の地下に大規模な設備を作るにあたって、町を牛耳る雲雀なしでは実現できなかったのだ。

ツナとしても、とんでもなく強い雲雀が雲の守護者であることは心強いのだが……何年経っても、会えば必ず咬み殺そうとしてくる(むしろそれしか考えていない)彼に会うのは恐怖だった。

(獄寺君に、日本へ行けるようにスケジュールを調整してもらおう)

了平とランボを見送ってから、ツナも自分の仕事へと戻っていった。

やはり、十年前からの仲間に会えると気持ちが明るくなる。普段ボンゴレ本部にいないメンバーと、何ヶ月も会えないことは当たり前だが、ここ一週間ほどの間に、山本や了平、ランボと会うことができた。

(みんな元気そうで良かった)

その夜。仕事を終えて自室で過ごしながら、ツナは昼間の了平やランボとのやり取りを思い出していた。
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