オモテウラ

恐らく、ルッスーリアと手合わせをするつもりなのだろう。彼らは機会があれば互いを鍛え合っていた。

ランボも、今は日本の並盛で中学に通っているが(全く中学生には見えないが)、了平がイタリアへ行くと聞いて一緒に連れてきてもらったのだろう。恐らく、本来のファミリーであるボヴィーノにも行くはずだ。

「それにしてもお兄さん、せっかくの休暇なのに、ルッスーリアと闘ったら全然ゆっくりできないんじゃ……」
「何を言う!休みの時こそ、思いきり身体を動かした方が充実するというものだ。どうだ?たまには沢田も一緒に」
「いいいいえっ、俺は遠慮しておきます……!」

巻き込まれたらとんでもないことになる、とツナは慌てて首を振った。事あるごとにボクシングやスパーリングに誘ってくる了平は、学生時代と全く変わっていない。
休みの日はひたすらゴロゴロして、なるべく動きたくないツナとは正反対だった。

ただ、それでこそ了平だと思うし、何かあった時はとても頼りになる存在なので、ツナは彼に憧れ、尊敬もしていた。同時に、頼りない上にぐうたらな自分は本当にボスに見えないだろうな、とも思ってしまう。

やや自虐的に言うと、了平は真夏の太陽のような笑顔で、

「いーや、沢田はやる時はやるし、頼りになる男だ。なぁ、ランボ!」
「そうですよ。確かに、普段は全然ボスっぽくないし、ただの良い兄ちゃんって感じですが……」
「って、全然フォローになってないからな!?」

悪気なく言うランボに、思わず大きな声でツッコミを入れてしまう。

泣き虫の悪ガキ(それもかなり悪質)だったランボも、別人かと思われるほど大人びてキザな台詞を言うようになった(泣き虫なのは今でも変わらないが)。機会は少ないものの、彼にしかできない仕事を頼むこともあるため、今では立派な守護者の一人だ。

ただ、やはりツナにとってランボはまだ子どもで、なるべく関わらせたくないのも事実だった。何より、彼にはボスと思われるよりも、面倒見の良い兄ちゃんと思われている方が気が楽である。

だから、本当はボクシングに専念してもらいたい了平に(山本もそうだが)、弟のような存在であるランボに、結局は甘えて頼ってしまう自分が情けなかった。いくら、二人が気にしないと言ってもだ。

「難しいことは考えるな。沢田は堂々としておけばいいのだ」
「それに、数年前の継承式の時は……すごく、カッコ良かったですよ」
「え……継承式?」

ふと、ツナは継承式の記憶を辿ってみた。
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