花祭り

刺激が強すぎて、うっかり鼻だけではなく大変なところにも熱が溜まりそうだ。

対するツナは、親友二人が口元(実際は鼻だが)を押さえたのを見て、サッと青ざめる。どうやら、男の自分があり得ない姿をしているのを目の当たりにして、気分が悪くなったと勘違いしたらしい。

せっかくできた友達に嫌われてしまった!と、ツナの心は絶望的だった。

「ご、ごめんっ!やっぱり気持ち悪いよね!男がこんな…」
「いやすっげぇ可愛い!」
「へっ?」

だから、今にも泣きそうになっていたツナは、山本の言葉にポカンとした。

「えっ、ちょっ、山本何言っ」
「ううう麗しすぎるっす綱吉さん!」
「えええ獄寺君までぇぇっ!?」

山本に先を越されてしまった獄寺も、ハッとしたようにそう叫んで、またツナを驚愕させる。

ちょっと二人ともどうしちゃったの!?とツナは目を白黒させるも、二人はいたって真剣な表情だ。

というか何か目が恐いんですけど!獄寺君とか何で鼻息荒いの!?……獄寺と山本に好意を寄せられていることを知らないツナは、二人が可愛らしすぎるツナの姿を見て、いろんなところを大フィーバーさせていることに気が付かなかった。

「まぁぁ良かったわねツー君!こんなにカッコいい男の子二人にエスコートしてもらえるなんて!」
「んなぁっ!?」
「思い出すなぁ。俺も昔こんな風に奈々を迎えに行ったっけ」
「やだわ貴方ったら恥ずかしいっ!」
「ちょっとぉぉっ!」

だからおかしいって!何で誰も気付かないのぉぉっ!?

「よっしゃツナ!早く広場に行こうぜ!」
「てめぇ何言ってやがる!綱吉さんをエスコートするのはこの俺だ!」
「まっ、ちょっ…わぁぁぁぁっ!」

こうして、左右をイケメン二人に挟まれたツナは、女の子の格好のまま広場に連れていかれたのだった。

広場に着くと、女の子達には可愛い可愛いとはしゃがれ、他の男達にはギラギラとした良からぬ目で見られながら、強制的に花祭りに参加させられてしまった。


そして、もう一つ。

花祭りでは、男の子がエスコートしてくれるだけではなく、お祭りが終わった後、仲の良い男の子とデートできるというイベントがあるのだが……。

「ふふっ、ツー君は誰とデートするのかしらね?」

女の子に混じって、お世辞にも舞とは言えない奇妙な踊りを必死に踊るツナの姿と、そのツナを凝視している複数の男達を、家光と奈々は始終微笑ましく見つめていたのであった。


「だから俺、男ですからぁぁぁぁっ!」


*END*
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