レンアイ受難曲!

しばらくして、

「……とにかく、沢田を探すか」
「……そうだな」

結局、どこまでも空回りな守護者達は、また振り出しへと戻るのだった。


***


そして、あっという間に時間が過ぎて、辺りがだんだん薄暗くなってきた頃、

「せ、先輩っ……?」

剣介に手を引かれながら、ツナは戸惑うような声を上げた。他の客がテーマパークの中央にある広場へ向かう中、剣介はそれに逆らうようにして、どこかへ向かっているからだ。

「あのっ…光のショーを観るんじゃなかったんですか…?」
「ああ、観るぜもちろん」
「な、ならっ…」

相手が早歩きなので、ツナは足をもつれさせそうになりながら必死で着いていく。ショーを観ると言いつつ、剣介はどんどん人気のない、薄暗い方向へと向かっていた。
それに、いくら聞いても何も教えてくれなくて……ツナの頭には、クエスチョンマークがたくさん浮かんでいる。

やがて二人がたどり着いたのは、広場から少し離れた場所にある、小高い丘のような所だった。ライトが微かに届くだけのそこは、周りが林のようになっていて、木がたくさん植えられているので薄暗い。

「こ、ここは……?」
「ほら、昼間に近くまで来ただろ?ちょっとした散歩道になってる所」
「そういえば……」

だが、何故剣介が今ここに来たのかツナにはまだ分からない。周りに人がいるはずもなく、二人きりでとても静かだった。

「ほら、あっちが中央の広場だ。もうすぐだぜ」
「え…え……?」

木々が少し開けた所に立って、剣介が来た方向を指差す。広場へ向かうにつれて街灯の光が集まっているので、そちらはぼんやりと明るかった。

だが、ツナにはまだ訳が分からなくて。

「先輩…いったい……」

その時だった。

「………!」

遠くから華やかな音楽が流れだして、キラキラと色とりどりに光る乗り物が、パレードのように現れたのは。
それは、二人の場所から見ると本当に光っていることしか分からなくて……だが、たくさんの光が集まるそれは、夜空に瞬く星のように見えた。

「っ、わぁぁ……!」

それを見た瞬間、ツナは驚きに目を見開いて、そしてすぐ感動したように表情を輝かせる。

「すごい…綺麗……」
「昼間に来た時、ここからでも良く見えるんじゃないかって思ったんだよ」

剣介はそんなツナに満足したように、そして照れたように、

「近くで見ても綺麗だろうけど、目がチカチカしそうだし……遠くから見るのも、また違って綺麗かなって思って」
「先輩……」
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