レンアイ受難曲!

「……む、次はキャラクターショーか」
「まだまだガキだな」

客席へ降りていく二人を離れた所から眺めているのは、了平とリボーンだ。

ちなみに他の守護者達は、まだ“あーん事件”の怒りが収まらないので、怪しいと思った人間を見付けては八つ当たりのように拷問……いや、尋問をしている。

「こういうショーには、煙とか火薬が付き物だからな。何かを仕掛けるなら裏方が怪しいぞ」
「そうだな。では、俺達は裏へ回ろう」

そう言って、二人はそのまま客席を降りずに、ステージの裏を目指して下って行った。





剣介とツナは、中間くらいの空いている席に座った。

間もなくショーが始まって、大音量の音楽が流れ始める。同時に、カラフルなレンジャースーツを着た人物が四、五名と、全身黒ずくめの悪役が大量に現れた。味方と敵がぶつかりアクロバティックな戦闘を開始したので、子ども達は大喜びをしている。

そして、始めは味方側が有利で次々と敵を投げ倒していくが……それで終わる訳が無いのはお約束。

案の定、しばらくすると敵の親玉らしきキャラクターが出てきて、そこで形勢は逆転し始めた。

さらに、

『今日はこんなにもたくさんの人間がいる。手始めに、一人捕まえてやろうではないか!』
『な、何だと!?』

複数の子分達が客席に降りてきて、子ども達が歓声なのか悲鳴なのか良く分からない声を上げる。ここで適当な客を一人ステージに上げて、人質にするという筋書きなのだろう……と、ツナがぼんやり眺めていると、

『よし、ではそこのお前だ!』
「へ?」

親玉の指がツナに向けられていて、惚けた声を上げた時には、

「わぁっ!?」
「ツナっ?」

散らばっていた敵役に囲まれていて、ツナは促されるままステージへ上がらされていた。

(な、何で俺っ!?もう中学生なのに……!)

まさか小学校低学年に間違えられてはいないだろうが、予想外のことに慌ててしまう。だが、親玉が肩に軽く手を回して、周りも子分達が固めてしまったので、今さら帰ることもできない。

困ったようにちらりと剣介を見れば、彼も驚いたようだが、やがて苦笑いをした。ただのショーだし、危険などないから大丈夫だろう、と。

『動くと、こいつが痛い目に遭うぞ!』
『くっ…卑怯だぞ……!』

ツナをよそに、物語はどんどん先へ進んでいく。

(そ、そうだよね…ちょっとびっくりしたけど、この後○○レンジャーが助けてくれるって筋書きだよね……?)
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