レンアイ受難曲!

そして、ずっと機会をうかがっていたのだろう。ツナが、守護者達の側を離れるその時を。

「ってちょっと待てよ。だったら、何でツナが出かけるのを止めなかったんだ?」
「そうだぞ、危険ではないか!」
「今ツナを止めても問題が解決する訳じゃねぇ。それなら、この機会にそいつらを取っ捕まえてやろうと思ってな」

つまり、わざとツナを不特定多数の人間のいる場所に放り込み、敵を誘い出そうというのだ。何ともリボーンらしい、乱暴なやり方である。

「まぁ、ぶっちゃけお前らよりもツナの方が強い訳だが…」
「「「うぐ……!」」」
「あの浮かれた様子じゃ恐らく使い物にならねぇ。だからお前らの出番なんだぞ」

大勢の人間が集まる場所で、敵がそう簡単に手を出せるはずはない。だが、逆に簡単に潜り込むこともできる。敵が、こんなチャンスを逃すわけがないだろう。

「それに、ツナの命は大丈夫だとしても、他の人間はどうか…」
「それって……」

ツナの側には持田がいる。それ以外にも、たくさんの人間が。そんな中で襲われたら、ツナは思うように戦えないだろう。

「つまり……」

その時、再び守護者の心が一つになった。

ツナを守るため、大勢の人々を守るため……

(((どさくさに紛れて、敵が持田の野郎をヤッてくれれば良いんじゃね?)))

……ではなく、真っ黒な欲望が生まれただけだった。だってそれなら、自分達が恨まれることはないのだから。

「って、だからツナが悲しむって」
「本当におめーらは馬鹿だよな」

さすがのリボーンも、これには呆れたようだった。

「と、とにかく!守護者として十代目をお守りして、一般人の安全も守るぞお前ら!(持田の野郎は知らねぇけどな!)」
「獄寺ぁ、心の中の声がだだ漏れなのなー」


***


そして、そんなことは全く知らない二人はというと。

「わぁぁ……!」

アーケードを潜って入場したツナは、目を輝かせ続けていた。
西洋の古い街並みを写した建物、その先に広がる多くのアトラクション、空に浮かぶ色鮮やかなアドバルーン。広すぎて、この夢のような世界がどこまで続いているか分からない。

「先輩!まずどこから行きますか?」
「そうだなぁ…ツナはジェットコースターとか平気か?」
「そうですね…怖すぎるのはちょっと無理なんですが……あっ、でも!」

恐らく大好きであろう持田に遠慮をさせないように、ツナは慌ててその後の言葉を紡ぐ。

「怖いけど、でも…先輩と一緒なら、多分大丈夫です!」
「っ……!」
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