レンアイ受難曲!

熱くなっていた獄寺は、そこではっとしたように、

「そうだ……きっと十代目は、あの野郎に騙されてるんだ!それか、何か弱味を握られて付き合うように脅されてるとか!」
「なるほど、あの小動物のことだ。その可能性はありそうだね」
「貴方にしては、良いことを言うじゃないですか」
「はっ、本当におめでたい奴らだな」

笑って一蹴するリボーンに、それでも獄寺は詰め寄って、

「リボーンさんは十代目と一緒に住んでるから分かるでしょう!十代目が、どんな様子か…」
「アイツの様子か?そうだな、今朝は……

『あぁ~この格好で良いかなぁ…ねぇリボーン!これ、変じゃない?』
『何言ってやがる。オメーいつも同じような服装じゃねぇか』
『なっ、そんなことないよ!これは、この間買ってもらったばっかりなんだからな!はぁ、大丈夫かなぁ…!』
『ぐちゃぐちゃ言ってないでさっさと行け。遅刻するぞダメツナ』
『ちぇー、何だよリボーンのケチ!タレ眉ー!』

……ってな感じで生意気言って、あかんべーまでしやがったから、うっかりその場で襲いそうになっちまったな」
「うわあああ可愛いー!けど悲しいです十代目ぇぇ!」
「ってことは、やっぱりツナはアイツのことが好きなんだなぁ……」

可愛らしいツナの様子にうっかり悶えつつも、突き付けられる現実に肩を落とす面々。リボーンは、そんな彼らをしばらく面白そうに眺めていたが、

「さて、俺がここへ来たのは、お前らの嫉妬に荒れ狂う見苦しい姿をからかいに来たからで…」
「ちょっとリボーンさんんん!」
「…ってのは冗談だ」

いや、絶対に冗談じゃないだろ……初めて、守護者の心が一つになった瞬間だった。だが、そこでリボーンは真剣な表情になると、

「良く聞けバカども。ツナが、とあるマフィアから狙われているという情報が入った」
「「「!」」」

それまで百面相をしていた守護者達の目の色が、一瞬で変わる。真剣な、そして剣呑な色に。


リボーンの話によると、その組織はボンゴレファミリー十代目候補であるツナの存在をどこかで知り、陰で怪しい動きを見せているらしい。
ただし、始末しようと命を狙っている訳ではなく、逆にツナを手に入れようとしているようで。

「まさか、十代目を人質にしてボンゴレを潰そうと…?」
「いや、名前も知らないような弱小ファミリーだ。そこまで無謀なことをするほど馬鹿じゃねぇだろう。恐らく何かを取り引きするつもりか、ツナと一緒にボンゴレごと手に入れるつもりか……」
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