センパイ受難曲!
が、京子は何かを見つけたのか「なぁんだ」と納得したように頷くと、
「持田先輩、良いことを教えてあげますね」
「はっ?」
「ツナ君、今日は放課後に補習があるんですって。課題のプリントが終わるまで帰れない、って昨日言ってましたよ」
「えっ、えっ……?」
何だ何だどういうことだ!?何で急に沢田の話を……京子が何を言いたいのかが分からなくて、俺は間抜けな声を出してしまう。
「獄寺君は用事があるから先に帰るみたいでしたし、山本君も部活だし」
「………!」
そこでようやく意図に気付き、驚いて目を見開く。そんな俺を見て、京子はイタズラっぽく笑うと、
「だから、頑張って下さいね!」
と、ファンが見れば赤面しそうな満面の笑みを残して去っていってしまった。
「………」
京子はいつから知っていたんだろうか。俺が沢田に惚れてるってことを。女の子はそういうのに鋭いって言うけど……。
(……ていうか、告白できずにうじうじしてたことまでばれてたなんて、恥ずかしすぎるだろ!)
でも、これはチャンスだ。沢田が一人になるなんて、これを逃したらいつになるか分からない。
放課後…それが勝負の時だ……!
(よっしゃぁぁっ!)
笹川兄弟に助けられて、俺はさらに気合いを入れ直したのだった。
さらなる受難が降り掛かることも知らないで。
***
放課後。俺は同じ部活の奴に遅れていくとだけ伝えると、二年の教室がある階へ向かっていた。
どくどくと、心臓が激しく脈打っている。剣道の試合だって、ここまで緊張したことはないだろう。
はやる心臓を抑え、沢田が一人で居残りしているであろうA組へと向かう。他の生徒は部活や帰宅したとかで、廊下には誰もいなかった。
(いよいよだな……)
自分の想いを素直に伝えよう。前に酷いことをしたのも謝って、そしてこっぴどく振られるんだ。それで良いじゃねぇか。
一歩一歩、教室が近付くたびに心臓もさらに跳ね上がる。
(つ、着いた……)
ついに来た二年A組。標識を何度も確認したから間違いない。
中には微かに人の気配がする。きっと沢田だろう……そう考えると、胸が破裂しそうになると同時に、何だかじんと熱くなるような感じがした。
(沢田……)
ドアの取っ手に手を掛ける。
(頼む、俺の話を聞いてくれ……!)
―――ガラッ
「沢――……」
「……あ?」
「はっ……?」
ドアを開けると、そこにいたのは可愛いあの子……ではなく、
「てめぇ、持田じゃねぇか……!」
あの忠犬不良、獄寺隼人だった。
「持田先輩、良いことを教えてあげますね」
「はっ?」
「ツナ君、今日は放課後に補習があるんですって。課題のプリントが終わるまで帰れない、って昨日言ってましたよ」
「えっ、えっ……?」
何だ何だどういうことだ!?何で急に沢田の話を……京子が何を言いたいのかが分からなくて、俺は間抜けな声を出してしまう。
「獄寺君は用事があるから先に帰るみたいでしたし、山本君も部活だし」
「………!」
そこでようやく意図に気付き、驚いて目を見開く。そんな俺を見て、京子はイタズラっぽく笑うと、
「だから、頑張って下さいね!」
と、ファンが見れば赤面しそうな満面の笑みを残して去っていってしまった。
「………」
京子はいつから知っていたんだろうか。俺が沢田に惚れてるってことを。女の子はそういうのに鋭いって言うけど……。
(……ていうか、告白できずにうじうじしてたことまでばれてたなんて、恥ずかしすぎるだろ!)
でも、これはチャンスだ。沢田が一人になるなんて、これを逃したらいつになるか分からない。
放課後…それが勝負の時だ……!
(よっしゃぁぁっ!)
笹川兄弟に助けられて、俺はさらに気合いを入れ直したのだった。
さらなる受難が降り掛かることも知らないで。
***
放課後。俺は同じ部活の奴に遅れていくとだけ伝えると、二年の教室がある階へ向かっていた。
どくどくと、心臓が激しく脈打っている。剣道の試合だって、ここまで緊張したことはないだろう。
はやる心臓を抑え、沢田が一人で居残りしているであろうA組へと向かう。他の生徒は部活や帰宅したとかで、廊下には誰もいなかった。
(いよいよだな……)
自分の想いを素直に伝えよう。前に酷いことをしたのも謝って、そしてこっぴどく振られるんだ。それで良いじゃねぇか。
一歩一歩、教室が近付くたびに心臓もさらに跳ね上がる。
(つ、着いた……)
ついに来た二年A組。標識を何度も確認したから間違いない。
中には微かに人の気配がする。きっと沢田だろう……そう考えると、胸が破裂しそうになると同時に、何だかじんと熱くなるような感じがした。
(沢田……)
ドアの取っ手に手を掛ける。
(頼む、俺の話を聞いてくれ……!)
―――ガラッ
「沢――……」
「……あ?」
「はっ……?」
ドアを開けると、そこにいたのは可愛いあの子……ではなく、
「てめぇ、持田じゃねぇか……!」
あの忠犬不良、獄寺隼人だった。