センパイ受難曲!
おまけに沢田は風紀の雲雀にも気に入られてるみたいで、トラブルを起こした俺は会うだけでトンファーが飛んでくるし……
さらには変な髪型と笑い方をした妙な男が、良く沢田をストーカーをしてるし……しかもその男と目が合うと、その晩はなぜか夢見が悪くなる……
「はぁぁぁぁ……」
きっとアイツらも沢田のことが好きで、アイツらにとって俺は邪魔者でしかないということだ。
どうやら俺は、とんでもない相手に恋をしてしまったらしい。
巨大な壁を前に打ち拉がれていると、
「どうしたのだ持田!辛気臭い顔をして、ため息なんぞ吐きおって!」
どがどかと大きな足音を立てて、怒鳴るように一人の男が近付いてきた。見るからに熱いオーラをまとったそいつは、同じクラスの笹川了平だ。
「頼むから俺に構ってくれるな……」
「何だ何だ!そんな気分が冴えない時こそ、極限ボクシングに限るぞ!」
「あのなぁ……」
俺は笹川と違って繊細なんだよ……と思いつつ、いつもは暑苦しいだけのコイツが、今は少し羨ましく感じる。
俺も、コイツみたいに真っ直ぐに生きられれば……。
「小難しく考えても仕方がない!自分の気持ちを、胸に秘めている熱い想いを思い切りぶつけるのが一番だ!」
「………」
自分の気持ちを…俺の想いを、沢田に……。
「極限ー!」と闘志を燃やす笹川のことはもう忘れて、俺はただその言葉だけがずっと頭に鳴り響いていた。
***
「持田主将、お疲れ様です!」
「おう」
放課後。部活で打ち込みの練習を終えた俺は、面を外すと一息吐いた。
剣道をしている時はそれに集中できるが、それ以外の時に浮かぶのは沢田のことばかりだ。本当に沢田のことが好きで好きで仕方がないらしい。
だが決めた。笹川の言葉に感化された訳じゃないけど、もう悩むのは止めだ。
俺はもう一度、沢田に告白しに行く。
以前酷いことをした俺だ。きっと嫌われているだろう。男が好きなんて、と気持ち悪がられるかもしれない。
だが、それでも構わない。思い切り俺の想いをぶつけて、砕ければ良いじゃないか。
「……ん?」
そこでふと違和感を感じて、俺は剣道場の入り口へと目を向けた。誰かに見られてるような気がしたんだが、入り口には誰の姿もない。
(またか……)
一年くらい前から、良くどこからか視線を感じるんだよな。部活してる時が一番多いけど、たまにそれ以外でも……。
さらには変な髪型と笑い方をした妙な男が、良く沢田をストーカーをしてるし……しかもその男と目が合うと、その晩はなぜか夢見が悪くなる……
「はぁぁぁぁ……」
きっとアイツらも沢田のことが好きで、アイツらにとって俺は邪魔者でしかないということだ。
どうやら俺は、とんでもない相手に恋をしてしまったらしい。
巨大な壁を前に打ち拉がれていると、
「どうしたのだ持田!辛気臭い顔をして、ため息なんぞ吐きおって!」
どがどかと大きな足音を立てて、怒鳴るように一人の男が近付いてきた。見るからに熱いオーラをまとったそいつは、同じクラスの笹川了平だ。
「頼むから俺に構ってくれるな……」
「何だ何だ!そんな気分が冴えない時こそ、極限ボクシングに限るぞ!」
「あのなぁ……」
俺は笹川と違って繊細なんだよ……と思いつつ、いつもは暑苦しいだけのコイツが、今は少し羨ましく感じる。
俺も、コイツみたいに真っ直ぐに生きられれば……。
「小難しく考えても仕方がない!自分の気持ちを、胸に秘めている熱い想いを思い切りぶつけるのが一番だ!」
「………」
自分の気持ちを…俺の想いを、沢田に……。
「極限ー!」と闘志を燃やす笹川のことはもう忘れて、俺はただその言葉だけがずっと頭に鳴り響いていた。
***
「持田主将、お疲れ様です!」
「おう」
放課後。部活で打ち込みの練習を終えた俺は、面を外すと一息吐いた。
剣道をしている時はそれに集中できるが、それ以外の時に浮かぶのは沢田のことばかりだ。本当に沢田のことが好きで好きで仕方がないらしい。
だが決めた。笹川の言葉に感化された訳じゃないけど、もう悩むのは止めだ。
俺はもう一度、沢田に告白しに行く。
以前酷いことをした俺だ。きっと嫌われているだろう。男が好きなんて、と気持ち悪がられるかもしれない。
だが、それでも構わない。思い切り俺の想いをぶつけて、砕ければ良いじゃないか。
「……ん?」
そこでふと違和感を感じて、俺は剣道場の入り口へと目を向けた。誰かに見られてるような気がしたんだが、入り口には誰の姿もない。
(またか……)
一年くらい前から、良くどこからか視線を感じるんだよな。部活してる時が一番多いけど、たまにそれ以外でも……。