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アルアサandべいえい

ああ、もうやってらんねぇ!

自室のドアを開けて目に飛び込んできた惨状に、頭を掻きながら心の中でそう叫ぶ。雑誌や衣類で埋め尽くされた床。乱されたシーツに投げ捨てられたエロ本(コレクション)。極めつけは、机の上のアイスを零した跡のベタベタに引っ付いて放置された提出課題のルーズリーフ。

あーあー。あのバカ、これ書くのにどんだけ時間かけたと思ってんだよ…。

衣類やらの上を歩いて、机の前まで何とか辿り着く。来る途中でパーカーの金属部分を踏んだらしく、右の足の裏がじんじんと痛む。
問題のルーズリーフは、見るも無残なアイスまみれになっていた。慎重にルーズリーフの端を引っ張りなんとか破れないように剥がそうとするが、ジッ と嫌な音がしたので諦めて力任せに引っ張る。ビリッという音とともに、心地よい力の抜け方をした腕がプランっと垂れて揺れる。
目当てのものは何時も見つからないのに、あいつは何度も俺の部屋を引っ掻き回しては無言で去る。これで何回目かもわからない。

弟のアルフレッドがこんなことをするようになったのは、何時からだったか。
隣の部屋に文句を言いに行けば、
「君が抜け駆けしてないかの捜査だよ」
と探るよう煽るように言う。

ほざけクソガキ。だったらせめて部屋を片付けてから出ていけ童貞野郎が。

そう部屋の中に吐き捨てて、アルフレッドの言葉を待たずにドアを閉める。俺の部屋から持って行ったモノで、何をしようとしていたかまで問い詰めなかっただけ良心的だと思えよ。
俺は、アルフレッドが実の兄の俺にどういう感情を抱いているかを知っている。時々俺の部屋を荒らしては、女の影が無いかを探り、ハンカチなんかを持ち出しているのも。

童貞のあいつが、わざと素っ気ない態度で接してくるのが面白いので、あともう少しだけあいつの兄として生きていようと思う。

あいつも、この言葉の意味がわからないほどのバカではないはずだ。
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    つスコーン