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Qが初めて仕事をする話

キングへのとてつもなく長い説教を終えると、ジャックは向かいの机が俺の机だと説明した。落ち着きのあるブラウンの大きな机に手を置き、少しクッションの硬い椅子に座って前を向くと、キングがまだぶーぶー言いながら資料をめくっている。
そしてジャックが運んできた紙が、俺の机の上で小さな山になる。キングの机の上と見比べると、5分の1にもならないような薄さだ。

「これがクイーンの今日の仕事ある。わからないことがあったら、いつでも我に聞くよろし」
そこまで言うと、ちらっとキングの方を見る。キングは、まだ納得のいかない顔はしていたが、仕事にはきちんと取り掛かっているようだった。それを確信してから声を落として

「くれぐれも、キングに聞いたりしたらダメあるよ」

と言った。何故、と理由を聞こうとするとそれを察したように

「仕事中にクイーンに話しかけられたりしたら、キングはそのあと確実に仕事放棄してでも教える方を優先するにきまってるある…」

とため息混じりに説明してくれた。少し目が死んでいるのが、今までの苦労の証拠だろう。
「わかりました。終わったら机の方に持っていきますね」
よろしく頼むある、と言うその声からは、あまり期待されていない様子が感じ取れた。

「あの、これの確認をお願いしてもよろしいでしょうか?」
一通り終わらせて、ジャックに書類を差し出す。仕事中、何度も向かいから視線を感じたが、俺は何かヘマをやらかしたのだろうか。
「へ?あ、確認あるな!ちょっと待つあるよ!」
ドキドキしながら、1枚1枚書類に目を通すジャックの動作を見る。
また、だ。またキングは仕事の手を止めてこっちを見ている。やはり俺が仕事出来るかどうか不安なのか?
ペラッと紙をめくる音がする度に、あの書類は何処をどうしたのかを頭の中で確認する。俺の記憶の限り、ミスはしていないはず…。

「クイーン…」
全ての確認が終わったジャックが、低い声で俺を呼んだ。これは、まさか…相当失敗してるのか…?
全身が凍りつき、心臓が潰されそうになる。初日でやらかしちまったら、確実に結婚は無かったことになるだろう。またあの町に戻ることになる。それは…いやだ。どうしたら……と、高速で頭を回転させていた俺の耳に届いたジャックの言葉は、

「完璧あるよ!!それに早くて正確で、字も綺麗あるな~!」

それはそれは驚くものだった。
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つスコーン