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Qが初めて仕事をする話

現実に戻ってきたと認識したのは、キングが椅子から立ち上がった時だった。大きくした伸びで出来た影のせいで、字が読みにくかったからだ。
「おわった~!!!」
「やっとある……昼食にするあるよー!!」
早足で部屋を出て行ったジャックに続いて、俺達も部屋を出る。

「もしかしてアーサーはガーデニング好きなの?」
青い絨毯の廊下を歩きながらキングがそう聞いてくる。
「はい!自宅でもよく花を育てていて…。王様は」
と言いかけてキングに止められる。

「ねぇ、執務とかの時はキングって呼ぶようにって言われたと思うけど、プライベートではなんて呼んでもいいって教わらなかったのかい?」

また、何故かむくれている。
確かにそうジャックに教わった。もしかして使い分けにルールでもあるのか?
「いえ、あの、何か失礼に」
「失礼とかじゃなくて、俺たちは結婚したんだぞ!?名前で呼んでくれてもいいじゃないか!」
今度は拗ねたような顔になった。いじいじと指が落ち着きなく動いている。
機嫌を損ねたりしたらそれこそ大変だ。今は何とか切り抜けるしかない…。

「えーと、ジョーンズ様…」
「それは君もじゃないか!」
「アルフレッド…様…?」
「様は無し!」
「あ、アルフレッド…」
「なんだい?アーサー♡」

ダメだこいつ。

周りに音符が舞ってるのが視覚化されそうなほどにルンルン気分なキングに、また思わず口の悪さが出そうになる。危ないところだった。

「だいたい、アーサーは硬すぎるんだぞ!もっと俺に頼ったり、甘えたりしてきていいのに!!
それに、結婚式では気を失っちゃうし、寝室では極力離れて寝ようとするし…。
ねぇ、アーサー…。俺じゃ、君の一生を預けるには不安なのかい?」
そっと優しく抱きしめようと腕を伸ばしてくる手を払い除ける。自分勝手を押し付けてくるこいつに対しての怒りと不信感にセーブが効かなくなり、次の瞬間にはいつものアレが出てしまった。

「ばっかじゃねぇの。
人よりちょっと魔力が強いってだけで、町から追い出されて家も燃やされて、城下に出てきた俺を拉致まがいのことしてきた奴が何言ってんだクソボンボン野郎!断ることが出来ないからって都合よく結婚させただけじゃねぇか!!
なんで好きでもねぇのに俺なんかと結婚して……弄ぶのも大概にしろよ…。
さっきは少しは親近感持ったりちょっとは好きになれそうだったのに、こんなの、ばーかばーか!不安に決まってんだろうが!少しでもお前に気に入られなかったら、おれ、おれ…………うぅ…アルフレッドのばかぁ……」

言ってるうちにだんだん涙が出てきて、どうしようもなくなってしまった
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つスコーン