短編集
名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
とある豪華なパーティ会場に佇む一人の男
壁を背もたれにし会場の花になる。
今まで微動だにしなかった男が不意に動き出した。
パーティ会場を出て人気のない廊下を進んでいく。
(なんでこんな派手な所で殺れって命令がくんだァ?暗殺部隊の名折れだろ!!)
男は苛立ちを隠しもせずそれでいて音を立てずに歩く
男の数十歩前には小太りの中年男性
それが今回のターゲットだった。男がすっと角を曲がる。
ここで見失う訳にはいかず慌てて歩くスピードを早める。
角を曲がろうとした瞬間女がすっと現れた。
一瞬で目を奪われる程綺麗な女だった。
この女になら殺せない男はいないんじゃないかと思われるほどの美しさだった。
女が立ち去ったあとハッと目的を思い出し慌てて角を曲がる。
そこにはうつ伏せで倒れ込んでいる標的の姿
「クソっ、先越された」
タイミングからして殺ったのは先程の女で間違いないだろう。
こうして男は目的を果たせず帰路に着く羽目になった
案の定、上司には罵倒され、幹部には嘲笑われる始末
(あー…くそ!腹が立つ獲物を横取りしやがって…!)
上司や幹部に嘲笑われた事よりも横取りされたことに腹を立てている
拠点に籠っていても気分はすぐれないと思い外を出歩く。
不意に目に止まった酒場に入りカウンターに座ると適当に食事を頼んだ
「こちら、ご注文の品です!」
少しして食事が運ばれてきた
どうやら、給仕は若い女のようだった
(あれ、この女何処かで…?)
この店に来たのは初めてで会ったことはないはずなのに
何処か見覚えがあった。
何処だろうと思い記憶を探る。
(つい最近、いや、数日前か?違うな、もっと最近、それこそ数時間前に…)
そこではたと気付く。
(あのパーティ会場に居た女か!!)
気付くのに時間がかかったのには仕方ないと言えよう。
会ったのはほんの一瞬で、すれ違った程度なのだ。
更にはあの時の目を引かれるほどの美しさを今は感じないのもあるのだろう
殺し屋とは思えない程の平凡さが伺え彼女の正体がバレることはそうそう無いだろうが、気付く奴は気付く
文句を言ってやろうかと思ったが興が削がれ声をかける気も無くなった
それから数日後
街中を歩いていると女がぶつかってきた
「あ、ごめんなさい!!って…あれ?この間のお兄さん?」
「あぁ?誰だテメー」
ぶつかられた事により不機嫌さを隠すことなく問いかける
「この間は私の酒場の利用ありがとうございます」
「ああ、あの店か」
それからという物の磁石で引かれるかのようにあの女に会う事が増えた
女に出会ってから半年がすぎた。気付けばお互い惹かれ合っていた
だけど、運命という物はなんと残酷なのだろう
「おい、カス!依頼だ。行ってこい」
上司であるボスに投げ渡された書類、新しい暗殺の標的が記されていた。
ゆく宛もなく山道を歩く、直感の赴くままに、何故かそこで会えると思った
「こんばんわ、スクアーロ」
「ああ」
「貴方が来るとは思わなかった」
大岩に腰掛けた女が残念そうに笑う
「そうか」
「こうして向かい合って戦うのは初めて」
どうして俺がここに来たのか分かっているようで短刀を構える
それに合わせ俺も刀を構えた
「行くよ」
軽々しく言ってはいるが女の殺意は本物だ。
お互い惹かれあっていた、だけど上司を裏切れる程の情を育むまでは行かなかった
そして、女はその上司に裏切られ消される事になった
ここで死ぬ訳には行かない女は戦うことを選んだ
実力は拮抗していた。ここまで苦戦を強いられるのは過去に数回しかない。
永遠に続くかと思われる戦いにもいずれ終わりは来る
所詮女と男だ、体力の持続率が違う。それはアイツもわかっているはずだ。
男の刀が女の胸を貫いたことにより決着は着いた
「お前を愛していた」
「…あり…がと…」
女が頽れる間際に手向けとして言葉を投げかける
一瞬驚いた表情をした後嬉しそうに微笑んで彼女は息を引き取った
─ああ、雨が降っている。血をそそぎ落とす雨が
雨が上がる時2人の痕跡は残されることはない─
壁を背もたれにし会場の花になる。
今まで微動だにしなかった男が不意に動き出した。
パーティ会場を出て人気のない廊下を進んでいく。
(なんでこんな派手な所で殺れって命令がくんだァ?暗殺部隊の名折れだろ!!)
男は苛立ちを隠しもせずそれでいて音を立てずに歩く
男の数十歩前には小太りの中年男性
それが今回のターゲットだった。男がすっと角を曲がる。
ここで見失う訳にはいかず慌てて歩くスピードを早める。
角を曲がろうとした瞬間女がすっと現れた。
一瞬で目を奪われる程綺麗な女だった。
この女になら殺せない男はいないんじゃないかと思われるほどの美しさだった。
女が立ち去ったあとハッと目的を思い出し慌てて角を曲がる。
そこにはうつ伏せで倒れ込んでいる標的の姿
「クソっ、先越された」
タイミングからして殺ったのは先程の女で間違いないだろう。
こうして男は目的を果たせず帰路に着く羽目になった
案の定、上司には罵倒され、幹部には嘲笑われる始末
(あー…くそ!腹が立つ獲物を横取りしやがって…!)
上司や幹部に嘲笑われた事よりも横取りされたことに腹を立てている
拠点に籠っていても気分はすぐれないと思い外を出歩く。
不意に目に止まった酒場に入りカウンターに座ると適当に食事を頼んだ
「こちら、ご注文の品です!」
少しして食事が運ばれてきた
どうやら、給仕は若い女のようだった
(あれ、この女何処かで…?)
この店に来たのは初めてで会ったことはないはずなのに
何処か見覚えがあった。
何処だろうと思い記憶を探る。
(つい最近、いや、数日前か?違うな、もっと最近、それこそ数時間前に…)
そこではたと気付く。
(あのパーティ会場に居た女か!!)
気付くのに時間がかかったのには仕方ないと言えよう。
会ったのはほんの一瞬で、すれ違った程度なのだ。
更にはあの時の目を引かれるほどの美しさを今は感じないのもあるのだろう
殺し屋とは思えない程の平凡さが伺え彼女の正体がバレることはそうそう無いだろうが、気付く奴は気付く
文句を言ってやろうかと思ったが興が削がれ声をかける気も無くなった
それから数日後
街中を歩いていると女がぶつかってきた
「あ、ごめんなさい!!って…あれ?この間のお兄さん?」
「あぁ?誰だテメー」
ぶつかられた事により不機嫌さを隠すことなく問いかける
「この間は私の酒場の利用ありがとうございます」
「ああ、あの店か」
それからという物の磁石で引かれるかのようにあの女に会う事が増えた
女に出会ってから半年がすぎた。気付けばお互い惹かれ合っていた
だけど、運命という物はなんと残酷なのだろう
「おい、カス!依頼だ。行ってこい」
上司であるボスに投げ渡された書類、新しい暗殺の標的が記されていた。
ゆく宛もなく山道を歩く、直感の赴くままに、何故かそこで会えると思った
「こんばんわ、スクアーロ」
「ああ」
「貴方が来るとは思わなかった」
大岩に腰掛けた女が残念そうに笑う
「そうか」
「こうして向かい合って戦うのは初めて」
どうして俺がここに来たのか分かっているようで短刀を構える
それに合わせ俺も刀を構えた
「行くよ」
軽々しく言ってはいるが女の殺意は本物だ。
お互い惹かれあっていた、だけど上司を裏切れる程の情を育むまでは行かなかった
そして、女はその上司に裏切られ消される事になった
ここで死ぬ訳には行かない女は戦うことを選んだ
実力は拮抗していた。ここまで苦戦を強いられるのは過去に数回しかない。
永遠に続くかと思われる戦いにもいずれ終わりは来る
所詮女と男だ、体力の持続率が違う。それはアイツもわかっているはずだ。
男の刀が女の胸を貫いたことにより決着は着いた
「お前を愛していた」
「…あり…がと…」
女が頽れる間際に手向けとして言葉を投げかける
一瞬驚いた表情をした後嬉しそうに微笑んで彼女は息を引き取った
─ああ、雨が降っている。血をそそぎ落とす雨が
雨が上がる時2人の痕跡は残されることはない─