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第7章

 蔵馬と瞳が一緒に暮らすようになってから、4ヶ月が経とうとしていた。瞳はまだ蔵馬のことを思い出さない。

(何か、他にキッカケが……?)

「きゃあああああっ!!」

 蔵馬が物思いにふけっていると、手洗い場から瞳の悲鳴が響いた。慌てて瞳の元へ向かうと、そこには股から足にかけて、血をベッタリと付けている瞳がいた。

「く、くく蔵馬さんっ……ち、血が、血がいっぱい……なんで、こんなっ……」

 パニックになっている瞳をひとまず落ち着かせ、蔵馬は瞳に怪我がないか尋ねた。少し下腹部が痛むと瞳が告げると、蔵馬は何が起きているのか容易に察することが出来た。
 体の成長は早かったが、機能は速度について行けなかったのだろう。瞳は見た目に合わない、遅い初潮を迎えたのだ。

(瞳ちゃんの場合、産まれてから5、6年しか経ってないから遅いと言って良いのか……むしろ早すぎる……?)

 しかし今はそれどころではない。

「大丈夫だよ、瞳ちゃん。とりあえず、体を洗おっか」

 蔵馬は、トイレットペーパーで出来るだけ血を拭き、それ以上血で手洗い場が汚れない様に、瞳を浴室へ運んだ。瞳を風呂椅子に座らせると、蔵馬はすぐ近くの薬局へと急いで向かった。
 瞳の家庭事情を考えると、タイミングとしては良かったのかも知れない。あのままあの家で初潮を迎えていたら、家を汚したと、瞳の母親はいつも以上に暴力を振るったことだろう。

(けど、オレが教えないといけないのか……)

 瞳の前世が飛影といえど、今は普通の女の子だ。男が女に性教育をするとなると、気が引ける。
 だが今は深く考え込む時間はない。蔵馬は足を速めた。

 蔵馬は瞳の元へ戻ると、瞳にバスタオルを渡して着替えさせた。そのまま体を洗わせ、その間に洋服と下着の血をある程度落とし、洗濯機に放り込む。

「蔵馬さん、終わりました」

 ある程度の時間シャワーの音が聞こえた後、瞳は蔵馬に声をかけた。その声を合図に、蔵馬は浴室の扉を開け、替えの下着と洋服、それと先程購入した生理用品を渡した。
 生理用品の使用方法を伝えると、瞳は、

「こんなのがあるんだ……」

 と、ひとりごちた。
 瞳が着替え終わったタイミングを見計らって、蔵馬は浴室へ入ると、瞳を再び抱き上げて、自室へ連れて行った。
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