願うものは幸せ
「ひゃっほ~いっ!!」
水飛沫を上げ、波を立てるプール。ギラギラと照りつける太陽。夏の日射しがまぶしい頃。
「幽助、そんなに思い切り飛び込んだら、他の人に迷惑ですよ」
蔵馬に指摘されて周りを見ると、他の客の視線は一人の青年、幽助に向けられている。
「んだよ蔵馬ぁ。オメェだって、俺達からしたら迷惑だっての!」
幽助が指差す先にいる蔵馬の周りには、女性客が群がっている。大方、蔵馬に一目惚れしてついて来たのだろう。
「チッ……本当に迷惑な野郎だ……」
蔵馬の隣から、かすかに聞こえる小さく低い声。
「ダハハー!! なぁんだ飛影! 女の中に埋もれてやんのかぁ!」
近くにいた桑原は、そんな飛影を大きく笑い飛ばす。
「うるさいぞ、潰れ顔」
そうやっていつものように喧嘩を始める飛影と桑原。そんな二人を見て、相変わらず仲がいいなと思う幽助と蔵馬。
蔵馬は、隣で桑原に向かって怒鳴っている、自分より背の低い妖怪の手を引っ張り、女性陣を押し退けて一緒にプールに飛び込む。
「ぅわっぷっ……! 何しやがる蔵馬!!」
今度は蔵馬に向かって怒鳴り込む飛影。それを見てケラケラと笑う桑原に幽助。蔵馬は飛影に怒鳴られながらも、クスッと笑い、相手をなだめる。
「ね~え~! 後でお相手してね~!!」
「え、あっ、はいっ」
蔵馬がニコリと笑顔を向けて返事をすると、先程の女性陣は黄色い悲鳴をあげて立ち去っていった。
「ったくオメェはモテモテだなぁオイッ!」
蔵馬のモテぶりを見て、幽助はバシバシと蔵馬の背中を叩く。
「ちょっ……痛いですって幽助」
ハハッ、と笑いながら、蔵馬は幽助の軽い平手打ちをくらっている。幽助につられ、一緒に桑原も叩いてくる。
「もう、幽助! お返しですよっ!」
蔵馬はそう言って、幽助の顔に水をかける。幽助は少々驚いたが、すぐに反撃を始める。それを見た桑原が飛影に水をかけ、いつしか4人で水のかけ合いになっていた。
「いい加減にしやがれ桑原……その潰れ顔、もっと潰してやろうかぁ!」
飛影は左手に、人間界の炎を召喚し、桑原に向けて放とうとする。が、桑原がその左手に水をかけると、シュウゥ……と音を立てて炎は消えてしまった。
「なっ……!?」
「バッカだなぁテメェは! 水のある所で火ィ使ったって意味ねぇんだよっ!」
小馬鹿にされた飛影は、舌打ちをして桑原に勢いよく水をかける。そして素早く蔵馬の後ろに隠れ、また水をかける。
桑原は「ずりぃぞテメェ!!」と声を荒げながら、飛影に水をかけようとするも、蔵馬という壁に阻まれる。
そこへ幽助が「じゃ~ん!」と3人の視線を集め取り出したのは……。
「水鉄砲~!」
「水、でっぽう……?」
初めて見る人間界のおもちゃに、飛影は少しだけ目を光らせた。
「お、飛影はこれ見んの初めてか?」
「人間界のおもちゃですからね。興味があるんでしょう?」
そんな幽助達の言葉が癇に障ったのか、飛影は馬鹿にされているような気分になり、「くだらん……」の一言で済ませてしまった。
「なんだよ~、興味あんだろ~?」
幽助はニヤッと笑うと、飛影に向かって水鉄砲の引き金を引いた。
「ぶっ! ……このぉ……」
水が見事に顔に命中した飛影は、額に筋を立てると、風のような素早さで幽助から水鉄砲を取り上げた。幽助を見て使い方を理解したのか、器用に使う飛影に水をかけられながらも、幽助は笑い、手ですくった水で応戦していた。
「桑原君、いくよー!」
「おぅよ! 来い、蔵馬ぁ!」
桑原と蔵馬も、そんな二人のやり取りを見て、かけ声と共に水をかけ合ったり、押し合いを始める。
どれくらい4人はそうしていたか、幽助が疲れたと言ったのをきっかけに、4人は休憩を取ることにした。
口々に疲れたと笑いながら、4人は思った。
『この幸せが永遠に続けばいいな』
――――――――――――――――――――fin.
水飛沫を上げ、波を立てるプール。ギラギラと照りつける太陽。夏の日射しがまぶしい頃。
「幽助、そんなに思い切り飛び込んだら、他の人に迷惑ですよ」
蔵馬に指摘されて周りを見ると、他の客の視線は一人の青年、幽助に向けられている。
「んだよ蔵馬ぁ。オメェだって、俺達からしたら迷惑だっての!」
幽助が指差す先にいる蔵馬の周りには、女性客が群がっている。大方、蔵馬に一目惚れしてついて来たのだろう。
「チッ……本当に迷惑な野郎だ……」
蔵馬の隣から、かすかに聞こえる小さく低い声。
「ダハハー!! なぁんだ飛影! 女の中に埋もれてやんのかぁ!」
近くにいた桑原は、そんな飛影を大きく笑い飛ばす。
「うるさいぞ、潰れ顔」
そうやっていつものように喧嘩を始める飛影と桑原。そんな二人を見て、相変わらず仲がいいなと思う幽助と蔵馬。
蔵馬は、隣で桑原に向かって怒鳴っている、自分より背の低い妖怪の手を引っ張り、女性陣を押し退けて一緒にプールに飛び込む。
「ぅわっぷっ……! 何しやがる蔵馬!!」
今度は蔵馬に向かって怒鳴り込む飛影。それを見てケラケラと笑う桑原に幽助。蔵馬は飛影に怒鳴られながらも、クスッと笑い、相手をなだめる。
「ね~え~! 後でお相手してね~!!」
「え、あっ、はいっ」
蔵馬がニコリと笑顔を向けて返事をすると、先程の女性陣は黄色い悲鳴をあげて立ち去っていった。
「ったくオメェはモテモテだなぁオイッ!」
蔵馬のモテぶりを見て、幽助はバシバシと蔵馬の背中を叩く。
「ちょっ……痛いですって幽助」
ハハッ、と笑いながら、蔵馬は幽助の軽い平手打ちをくらっている。幽助につられ、一緒に桑原も叩いてくる。
「もう、幽助! お返しですよっ!」
蔵馬はそう言って、幽助の顔に水をかける。幽助は少々驚いたが、すぐに反撃を始める。それを見た桑原が飛影に水をかけ、いつしか4人で水のかけ合いになっていた。
「いい加減にしやがれ桑原……その潰れ顔、もっと潰してやろうかぁ!」
飛影は左手に、人間界の炎を召喚し、桑原に向けて放とうとする。が、桑原がその左手に水をかけると、シュウゥ……と音を立てて炎は消えてしまった。
「なっ……!?」
「バッカだなぁテメェは! 水のある所で火ィ使ったって意味ねぇんだよっ!」
小馬鹿にされた飛影は、舌打ちをして桑原に勢いよく水をかける。そして素早く蔵馬の後ろに隠れ、また水をかける。
桑原は「ずりぃぞテメェ!!」と声を荒げながら、飛影に水をかけようとするも、蔵馬という壁に阻まれる。
そこへ幽助が「じゃ~ん!」と3人の視線を集め取り出したのは……。
「水鉄砲~!」
「水、でっぽう……?」
初めて見る人間界のおもちゃに、飛影は少しだけ目を光らせた。
「お、飛影はこれ見んの初めてか?」
「人間界のおもちゃですからね。興味があるんでしょう?」
そんな幽助達の言葉が癇に障ったのか、飛影は馬鹿にされているような気分になり、「くだらん……」の一言で済ませてしまった。
「なんだよ~、興味あんだろ~?」
幽助はニヤッと笑うと、飛影に向かって水鉄砲の引き金を引いた。
「ぶっ! ……このぉ……」
水が見事に顔に命中した飛影は、額に筋を立てると、風のような素早さで幽助から水鉄砲を取り上げた。幽助を見て使い方を理解したのか、器用に使う飛影に水をかけられながらも、幽助は笑い、手ですくった水で応戦していた。
「桑原君、いくよー!」
「おぅよ! 来い、蔵馬ぁ!」
桑原と蔵馬も、そんな二人のやり取りを見て、かけ声と共に水をかけ合ったり、押し合いを始める。
どれくらい4人はそうしていたか、幽助が疲れたと言ったのをきっかけに、4人は休憩を取ることにした。
口々に疲れたと笑いながら、4人は思った。
『この幸せが永遠に続けばいいな』
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