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第2章 ~蔵馬side~

 そうだ、魔界へ行って、飛影に会おう。面会を拒否されても、飛影がいるという事が分かれば、“飛影が死んだ”なんて冗談を言う奴等がいなくなる。


 オレは魔界へ向かう為に、ドアへと手を伸ばした。


 その手を幽助が止める。どこへ行くのかと。
 どこへ行くって?そんな事、決まってるじゃないか。

「魔界へ、飛影に会いに行くんだ。飛影が会ってくれなくても、飛影がいる事が分かれば、君もそんな冗談は言わなくなるでしょう……?」

 求めるような眼差しで言った瞬間、頬に鈍い痛みが走り、オレは尻餅をついた。


 ……殴られた?


 オレは幽助を見上げると、幽助は泣きそうな顔をして叫んだ。

「蔵馬……オメェは、信じたくねぇからって“飛影の死”から逃げてるだけなんだよ!!」

 幽助はオレの胸ぐらを掴み、その拳に力を込めながら震えた声で続けた。

「逃げたりすんなよ……。お前のこんな姿見たら、アイツが悲しむって……。なぁ蔵馬……受け止めようぜ……?」

 受け止めるだって……?“飛影の死”を……?
 ……そんな事出来ない。出来る訳無いじゃないか……。

 でも、飛影が悲しむ。

 こんなオレじゃ、飛影は悲しむ……。飛影が悲しむところなんて見たくない。だから……オレは……。

「っ……うあぁっ!飛影っ、ひぇ……会いたい、会いたいよ飛影っ!!」

 プツンと糸が切れたように、涙が次々と溢れ出した。止めたくても止まらない。止まって欲しいのに止まらない。

 オレは、このやるせない悲しみを、幽助にぶつけるように、涙が枯れるまで幽助の胸で泣いた。
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