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第1章

 飛影は途中で気を失ってしまい、蔵馬は大いに後悔した。

 なぜ自分はこんな事をしてしまったのだ。たった数週間会わなかっただけで、触れなかたっただけで。自分はこんなにも理性を押さえられなくなる。

 蔵馬は、隣で眠る飛影に触れるだけのキスをして、飛影が起きたらまず謝ろうと思い、眠りについた。

 しかし、そんな考えも虚しく、飛影は目覚めると、怒鳴って出ていってしまった。










 魔界の砂漠をひた走りながら、飛影は昨夜の事を考えていた。行為を思い返すと、全身が熱くなるのを感じる。何度回数を重ねても慣れない。しかし同時に幸福を感じていた。
 だが、昨夜の蔵馬はどこかおかしかった。自分の拒否の言葉は耳に入っておらず、夢中で自分の名前を呼んでいた。

 どうして蔵馬があんな風になったのか、大体予想がついていた。




 ―――自分が約束を破ったからである―――




 2週間で戻ってくると蔵馬に告げたが、パトロールが長引いてしまい、戻ることができずに2週間以上が経過してしまった。

 正直申し訳ないと思っている。自分から2週間と言っておきながら、それ以上になってしまったのだから。
 飛影は、明日もう一度蔵馬の部屋を訪れ、ちゃんと話そうと考えていたが、その考えはすぐに消された。

「暫くここには来ない」

 飛影は蔵馬の所を出る時、感情が昂ぶり、そうはっきり言ってしまったのだ。
 だから、今は戻れない。例え戻ったとしても、一体何から話していいのかも分からない。もっとよく考えてから、蔵馬の所へ行くとしよう。

 飛影はそこで思考を止め、ただひたすら砂漠を走り続けた。
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