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第6章

「よぉ蔵馬。お見舞いご苦労さん」

 カラカラと音を立てながら、病室へ幽助が訪れた。あの火事から3日経ったというのに、少女はまだ目覚めない。蔵馬はこの3日間、毎日病室へ見舞いに来たが、少女の名前以外の情報は得られないままだった。

「来るのが遅れちまってわりぃな。コエンマが忙しいって中々情報送ってくれなくてよぉ」

「魔界の管理区域を広げているんでしょう? 仕方がないですよ」

 蔵馬は憂いを帯びた表情で少女を見つめ、そっと頭を撫でる。

「ま、オレが今日ここに来た理由なんて、察しのいいお前にゃ分かると思うけどよ。えーと、瞳ちゃんだっけ? その子の事、やっと分かったぜ」

  幽助は近くにあった椅子に腰かけると、すやすやと眠る瞳について話し始めた。

「やっぱオレの思った通り、その子は飛影の生まれ変わりだ。そこは喜ばしい事なんだがな……」

 幽助の言わんとしている事に、蔵馬は薄々感づいていた。あの火事はニュースに取り上げられ、病院の外にはマスコミも来ていた。そして、あの火事で女性が一人亡くなっている。
 人間界では事故か放火魔による犯行だと判断されるだろう。しかし、あの妖気を感じてしまっては、瞳が起こしてしまった事件だと断定できてしまう。

(亡くなったのは、きっとこの子の母親……)

 つまり、瞳は母親を殺害してしまったのだ。人間が人間を殺害した場合、心神耗弱や正当防衛と判断されると、罪が軽減されることがある。だが、妖怪が人間を殺害した場合は、どんな理由があろうとも、犯罪者として扱われる。
 半人半妖であれば執行猶予付きとなる可能性はある。それに前世は飛影だ。飛影が残した功績は大きい。罪が相殺されることも期待できるだろうか。

「この子は母親を殺しちまったことで、現段階じゃあ、犯罪者として扱われちまうみてぇだ……。でもコエンマは、飛影の魂だから簡単に裁かれることはねぇってよ。だから安心していいぜ」

 コエンマはこれから飛影のこれまでの行動をまとめ上げ、瞳が罪に問われるかどうかを決めていくらしい。それには多大な時間を要するそうだ。その情報に加え、今まで瞳がどういった生活をしていたのかも掴むことが出来たという。

 まず第一に、瞳の出生は特殊なものであるという事。半人半妖の中でも更に特殊で、一般より体の成長が早く、その体は人間の20歳前後で成長が止まる。
 瞳は人間との間に産まれた子供だが、額に邪眼が顕れてしまったが故に、虐待を受けるようになってしまった。瞳の体に残る複数の痣や傷は、虐待の度合いを物語っている。
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