アカデミーにはもう生徒達がそこそこ登校していた。
廊下を歩いていると、後ろから「おーい、ヒノカー！」と呼ばれた。
振り返れば犬塚キバがこちらに走って来ていた。

「よ！はよヒノカ」
「わん！」
「おはよう、キバ、赤丸」
「お前今日は少し遅いんだな」
「うん、ちょっとね、朝いろいろあってさ」
「ふーん、まあいいや、教室行こうぜ」

ヒノカがカカシと暮らしている事はアカデミーの生徒達にあまり知られていない。
特に聞かれたら不味いという事は無い。
ただ、聞かれないから言わないだけで、聞かれれば答える様にしてた。

教室に入ればいつものメンツが揃っていた。
うずまきナルト、奈良シカマル、秋道チョウジ、ここに犬塚キバを加えれば、アカデミーのいけてねーズが揃う。

2人は皆が集まる机へと向かい挨拶をする。

「よお、皆早ぇな」
「おはよー」
「はよっす」
「キバにヒノカちゃんおはよーだってばよ！」
「おはよう、キバはともかく、ヒノカが遅いなんて、珍しいね、寝坊？」
「やだなぁ、違うよチョウジ」
「こいつに限ってそれはねぇな」
「つかチョウジ、俺はともかくとはどういう事だ！」
「キバってばいっつも寝坊してるってばよ！」
「んだとー！！！バカナルトのくせに！！！」
「カッチーン！バカって言った方がバカなんだってばよ！！」

と、毎朝元気ないけてねーズ。

彼女とはあまり縁の無さそうなグループだが、仲良くなったきっかけは単純で、彼女の席がシカマルの隣だからだ。
いつも集まるのは決まってシカマルの席。
元からヒノカはシカマルとそこそこ仲が良かった為、他のメンバーとも話すようになり、打ち解けていった。

キバとナルトのケンカをBGMに授業の用意をしていると、隣のシカマルが腕をつついて来た。

「ん？」
「今朝帰って来たんだろ」

そう言うと、いつも笑顔の彼女が、より一層、ニコォと、笑顔になる。

「シカマルわかっちゃう??」
「そんなニヤけた面してたらわかるわ」
「シカクさんも帰って来たんでしょ、先生が、今回はシカクさんと一緒だぁ、って言ってたから、先生ね、シカクさんちょっと苦手なんだって、あ、シカクさんに言っちゃダメだよ」
「へいへい、お前はホント、二言目には先生だよな」

一見、呆れた様なシカマルだが、その実、ヒノカのこの顔が好きなので、そんなに呆れてはいなかった。

「ヒノカが笑うとこっちも笑顔になるよね、ね、シカマル」
「んー…まあそうだな」
「なんだよ2人共照れるなぁ」