ヒノカが教室に入ってからしばらくして、扉が開いた。
廊下で待っていたサスケは、その音でバッと顔を上げた。
目に映る彼女は想像したはしゃぐ姿でなく、うつむきながら出てきた。
なんと声をかけるべきかと思案していると、ヒノカのう方が先に口を開いた。

「サスケくん、」

名を呼ぶ彼女の声は少し震えていた。
そして、しばらくの間を置いて、次の言葉を発した。

「……………合格、したよ!!!」
「…ﾊｧ………たっく、このウスラトンカチが………紛らわしいんだよ」
「イテ」

彼女のタダならぬ雰囲気のまさか不合格だったのではと心配してたサスケは(名前)の額を叩いた。

「ごめん、嬉しすぎて、逆にはしゃげなかったの、へ、へへ」

イルカから、合格、と言われた時も安心して腰を抜かしていたらしく、コイツは大丈夫か、と心配になるサスケ。

「これくらいなら出来て当然だろ」
「うん、それでも、自分がここまで頑張って、掴んだって、思うとすごく嬉しいんだ」
「……………」

少し目に涙を浮かべながら話すヒノカを見て、大袈裟なやつだ、と思いながらも、愛おしさを感じるサスケだった。

「帰るぞ」
「うん」

合格者は基本試験後に帰宅となっているので、サスケとヒノカはちゃっかり一緒に帰ることになった。

玄関に向かうのに自分の教室の前に来ると、イケテネーズが教室の扉の窓からこちらを覗いていた。
その姿を見たヒノカは彼らに額当てを見せながら満面の笑みでピースをした。
すると、彼らもとびきりの笑顔とピースで答えてくれた。

（皆、頑張れ、私も待ってるよ）

これからの1人は忍者としての未来に胸を弾ませながら、帰路につくのであった。



アカデミー編[完]