あれから数日、ほぼ毎日の電話と熱烈な内容の手紙と、この間のゲリラライブの帰り写真が送られてきた。

気配や視線に敏感になり、いつも誰かに見られている気がしてならない。

(気のせいだ気のせいだ気のせいだ気のせいだ気のせいだ………)

「ななちゃん、ななちゃん」
「は、はい？！どうしましたマスター？」

顔を上げれば心配そうなマスターの顔があった。ここ最近のななの様子が少しおかしい事に気づいて、いつも以上に気にかけてくれていた。

「大丈夫？」
「あ、はい、大丈夫、です、はい…」
「そう？何かあったんじゃない？」
「…何もないですよ、大丈夫ですよ、ほんとに、メチャ元気です！店の前掃除してきます！」

と、笑えばマスターは、無理しないでね、と心配してくれた。

実はこの件、まだ誰にも相談出来ていなかった。
こんな事を思うのはおかしな気がするが、この事を相談するのはなんだか恥ずかしいと思っている。
もし自分の思い過ごしだったら、単なる嫌がらせだったら、自意識過剰女だと思われる。
マスターや仕事の仲間に限ってそんな事は無いと思うのだが……。

「……………はぁ」
「珍しいね、ため息なんて、どうしたの？」
「わっわぁっああぁ！？！？！」
「色気がないねぇ」
「ガ、ｶﾞｶﾞｶﾞｶﾞｶﾞｶﾞク、ｶﾞｸ！？！！？」

驚いて振り向くと、
何?ガクガク?wと笑うのは同じみのGACKTだ。

「あ、あ、あ、ラ、ライ、ライブ、ライブ、すごく楽しかったです！！すごく、すごくすごくかっこよかったです！！！」

先程までの憂鬱な気分やら恐怖は何処へやら、ライブを思い出し、大興奮しながら語彙力の無い感想を述べた。

「うん、良かったよ」

そんなななの感想にも満更でもないGACKTだった。