オカンとストーカー王子
キッチンに戻ると偉月がコーヒーを入れているところだった。
リビングダイニングのテーブルを見ると美味しそうなオムレツとウインナー、それとそこに添えられた彩りの良い野菜(偉月が持参したと思われる)。こんがりとトーストされた食パンが並んでいる。
「いづくん……嫁に来ない?」
夢音が真剣な顔で言うと、せめて婿にしてくれ…と偉月が呆れた顔で言う。
これもいつものやり取りだ。
そして2人で席につくと、いただきますと言って朝食を食べ始める。
「んー!!いづくんの作るご飯最高!!」
オムレツを頬張りながら夢音が幸せそうに頬をおさえる。
トロトロふわふわの偉月のオムレツはプロ並みに美味しい。
いや!プロより美味い!!
「そういえば今日何で早く会社に行くわけ?」
普段であればギリギリまで寝て、ギリギリに出社している夢音の珍しく早い出社を偉月は不思議に思ったらしい。
「あー…、ちょっと昨日邪魔が入って仕事終わんなかったんだよねー…」
歯切れの悪い夢音に偉月は昨日を思い返して納得した。
「あー、あの人のせいか。」
夢音は仕事に関してはしっかりとやる方で、その日の仕事がその日に終わらないなんてことは今まで無かった。
しかし、ここ最近は邪魔をしてくるある人物のせいで仕事が滞ってしまうことがあるのだ…。
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