隴を得て蜀を望む
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運転席に乗り込んだ篤也さんの隣。
最早指定席とも言える彼の愛車の助手席に乗り込む。
先程貰ったキャンディを咥え、ラジオから流れる古い曲に耳を傾け、少し開けた窓からは間近に迫る春の匂いがした。
桜の並木道に思わず目が奪われる。
あと数日もすれば見頃を迎える蕾は花開く時を待ち侘びたくなるほどに膨らみ、桜吹雪が見られる日も遠くない。
「篤也さん。今日も私、恵君と任務?」
「ああ。簡単なヤツだがな。引率には五条が付いていく事になってっから、ちゃんと言う事きけよ」
「はぁい。大丈夫だよ、私ちゃんと良い子にしてるから。恵君よりはお姉さんだし、良いとこ見せたいもん」
その言葉を聞いて、私の心は一層弾んだものへと変わっていく。
自称自堕落な私をここまで突き動かせた人物。
伏黒恵君との出会いは今から三年程前の事になる。
やっと私が世間での常識を覚え、日下部家での生活にも馴染んだ頃の話だ。
五条さんが何処からか唐突に連れて来たと言う少し棘のある少年は、一目見た瞬間に何故か無性に私の心を鷲掴みにした。
幼いながらも鋭い目つき。
ツンツンと逆だった濡れ羽の様な黒髪と、人を寄せ付けない雰囲気は、誰だったか。
昔見た人の面影を感じさせた。
それがいつ、何処で出会った人だったかまでは定かではない。
それ以来、年が近いのだから丁度良いと、何かと理由を付けては私は五条さんの指導の下。
恵君と共に彼の弟子の様な扱いを受けるようになった。
私としては仲良くなりたい反面、彼の態度はいつも素っ気ない。
けれどそんな所すら、私の心を擽って止まず。
めげる事なく恵君に絡み続ける様を五条さんは常に楽しげに眺めて居る。
「恵君との任務、楽しみだなぁ」
「おいおい。遊びに行くんじゃねぇぞ」
「分かってるってば。あのね、今日の任務がちゃんと出来たら、五条さんがお小遣いくれるんだって。それでね、篤也さんにちょっと相談したいんだけど」
「どうした?」
信号に引っ掛かり、クルマが停車したと同時に私の口内でアメが噛み砕かれる音がした。
ハンドルを握っていた片手が私の頭に置かれて、少し寝癖の残る髪を乱す。
これは、私を引き取って以来の篤也さんの癖の様なものだ。
此方を一瞥し、青に変わった信号を確認してその顔が進行方向を見据えた。
けれど、耳だけは絶えず此方に傾け私の言葉を待ってくれて居る。
少し、気恥ずかしい想いが胸を擽った。
今となっては日下部家の人達は私にとってかけがえのない家族であり、何にも変え難い大切な存在と言っても過言ではない。
「あのね。 タケル、もうすぐ小学生でしょ?入学のお祝い。私もしたいなって……。ランドセルとか、そう言うのはもう揃ってるけど、タケルの好きなキャラクターの文房具とか。そう言うの買っても良い?」
「そりゃ、構わねぇが。タケルも喜ぶだろうしな。けど、良いのか?オマエが好きなもんとか、自由に使って良いんだぞ」
「何でも買ってくれるのに?」
「ガキは大人しく大人の好意に甘えとけ。それに、出所はちゃんとオマエの金だ」
「私、別に欲しいものないから。それより、タケルやお姉ちゃんが喜んでくれる事がしたい」
まだ正式では無いとは言え、私は恵君同様にその道を既に確定されて居る。
五条さんを通して任務をこなし、高専の呪術師として仮登録されて居る身だ。
当然、等級は低くともある程度のまとまったお金が定期的に入ってくる。
それらの管理は今は篤也さん達に一任しており、何れ渡すとは言われて居るけれど、必要なものがあれば其処から捻出して貰うよう頼んである。
加えて私自身、物欲は多い方でもない。
それは、今では朧げになってしまったけれど我楽多に囲まれた幼少期を過ごして来た事も要因だと思う。
何より、物より余程目に見えない愛情や信頼の方が私にとって価値のあるもので。
今ではそれらを十二分に彼等から受け取って居る。
それでも、篤也さんに引き取られたばかりの頃は、不安が絶えなかった。
何をされても、言われても文句の言える立場ではなかったし、蠱毒と言う未知数の術式は周囲から決して歓迎されるものではなかった。
けれど、それらを押し切ってでも保護した自信が一切の責任を負うからと言ってくれた篤也さんには感謝しても仕切れない。
「そうか」
「二人とも、大好き。あ、勿論篤也さんも大好きだよ」
少しはにかみながら、私は篤也さんを一瞥する。
好意を真っ直ぐに伝える事は、照れ臭くありながら受け入れてもらえた時の喜びは筆舌し難い。
まるで分かってるとでも言いたげに、伸びた片手が私の頭を一層乱し、宿る擽ったさに肩を竦める。
いつのまにか車は賑わう街並みから閑静な住宅街に差し掛かり、その数も徐々に疎らになっていく。
表向きは宗教界の学校とされて居る高専は、その機密保持の為か。
立地すらも世間から隔絶された場所に有り、世間から殆ど認知される事もなく、ひっそりと佇むその様は己の過去と重なる気がした。
「着いたぞ。帰りは送ってく。家入の所でも行って待ってろ」
「はぁい。行って来ます!篤也さんも気をつけねてね」
停車した車を同時に降り、向かう先が別々となった篤也さんに手を振った。
見上げた空は澄み渡り、街中よりも少し早く咲いた桜がひらひらと花弁を散らす。
待ち合わせの時間はすぐそこまで迫っては居るものの、相手はあの五条さんだ。
恵君を迎えに行くついでと言いながら、きっとフラフラと寄り道を重ね、いつもの如く取るに足らない遅刻をしてくるであろう事は容易に想像がつく。
「お買い物、いつ行こうかなぁ。タケルとお姉ちゃん。喜んでくれると良いな」
その待ち時間と言うのは、私にとって存外退屈なものでは無い。
今は特に、今後の事を考えるだけで胸が弾み、脳裏には満面の笑みを称える親子の姿が映し出される。
日下部一家は世間から見たら極ありきたりな家族の姿と言える。
しかし、親を、家族を知らない私にとって彼等の姿は理想であり、憧れでにも近い。
何より、私を姉の様に慕ってくれるタケルは本当に可愛くて堪らず。
お姉ちゃんや篤也さんと共にその成長を見守る事が何よりの喜びにも近い。
ランドセルを背負ったタケルと一緒に手を繋いで学校に向かう日が今から待ち遠しくてならなくて。
そんな私の胸中を表すかの様に、石段をベンチ代わりに見る景色は、はらり、ひらりと花びらが舞い落ち、可愛らしく宙を踊って居た。
「やぁ。随分ご機嫌だね」
不意に頭上に影が落ちる。
掛けられた言葉に視線を上に向けると、いつのまにかやって来て居た五条さんが階段の一段上から私を見て口元を綻ばせた。
その背後には大きな影に埋もれてしまいそうな恵君の姿が垣間見えて。
満面の笑みを浮かべた私は、その姿を見ようと五条さんの背後に視線を向けた。
「五条さんっ。早かったですね。恵君も久しぶり」
「先週会ったばっかりだろ。それに、約束の時間はとっくに過ぎてる」
「恵は一々細かいねぇ。少しは真那を見習ったら?ま、良いや。とりあえず行こっか」
相変わらずのマイペース。
自身が遅れて来たと言うのに、其方に関しては悪びれる様子もなく早くしろと言わんばかりに五条さんは長いコンパスでどんどん前に進んでいってしまった。
ぽつんと取り残された子供二人。
隣で僅かに舌打ちの様な音が聞こえたのは、気のせいでは無さそうだ。
しかし、怒る程のことでも無いと言うのがまた、厄介な所でもあり、苦言を呈しても言いくるめられるだけと言うのも然程長く無い付き合いの中で学んだ事の一つだった。
「恵君、行こっか」
肩を揺らしながら、私は恵君に向かって手を差し出す。
けれど、此方もまた。
この手を取って貰えた試しはなくて。
無言のまま、どんどん先へ進もうとする恵君に、私は慌てて後を追いかける。
今はまだ、私より少し背が低い。
けれど、その年齢差はたった一つだ。
出会った頃は私より明らかに低かった背は、今は同じくらいとなり、それが少し残念な様で嬉しくも思うのは彼の成長もまた、私が楽しみにして居る事の一つだからなのか。
梨の礫だと分かって居ても、話しかけずにはいられず、横並びになった私は直近に自身にあった出来事をつらつらと一方的に語り続ける。
返事こそしてくれるものの、それは良くて二言程の短いものでキャッチボールにもならない。
それでもめげる事が無いのは、どんなにぶっきらぼうでありながらも、彼が私の言葉にちゃんと耳を傾けてくれて居るからなのだろう。
「……遅れたのは、俺のせいじゃ無いからな」
「ん?大丈夫だよ。分かってるから」
唐突に、私の言葉を遮って恵君が言葉を紡ぐ。
それは、風に消えてしまいそうな位小さな音色。
けれど、その中に毎度待ちぼうけを喰らわされてしまう私に対する申し訳なさが滲んで居る様な気がして。
私が顔を覗き込むと、気恥ずかしそうにそっぽを向いた恵君に、私はまた一つ軽やかな笑い声を上げていた。
最早指定席とも言える彼の愛車の助手席に乗り込む。
先程貰ったキャンディを咥え、ラジオから流れる古い曲に耳を傾け、少し開けた窓からは間近に迫る春の匂いがした。
桜の並木道に思わず目が奪われる。
あと数日もすれば見頃を迎える蕾は花開く時を待ち侘びたくなるほどに膨らみ、桜吹雪が見られる日も遠くない。
「篤也さん。今日も私、恵君と任務?」
「ああ。簡単なヤツだがな。引率には五条が付いていく事になってっから、ちゃんと言う事きけよ」
「はぁい。大丈夫だよ、私ちゃんと良い子にしてるから。恵君よりはお姉さんだし、良いとこ見せたいもん」
その言葉を聞いて、私の心は一層弾んだものへと変わっていく。
自称自堕落な私をここまで突き動かせた人物。
伏黒恵君との出会いは今から三年程前の事になる。
やっと私が世間での常識を覚え、日下部家での生活にも馴染んだ頃の話だ。
五条さんが何処からか唐突に連れて来たと言う少し棘のある少年は、一目見た瞬間に何故か無性に私の心を鷲掴みにした。
幼いながらも鋭い目つき。
ツンツンと逆だった濡れ羽の様な黒髪と、人を寄せ付けない雰囲気は、誰だったか。
昔見た人の面影を感じさせた。
それがいつ、何処で出会った人だったかまでは定かではない。
それ以来、年が近いのだから丁度良いと、何かと理由を付けては私は五条さんの指導の下。
恵君と共に彼の弟子の様な扱いを受けるようになった。
私としては仲良くなりたい反面、彼の態度はいつも素っ気ない。
けれどそんな所すら、私の心を擽って止まず。
めげる事なく恵君に絡み続ける様を五条さんは常に楽しげに眺めて居る。
「恵君との任務、楽しみだなぁ」
「おいおい。遊びに行くんじゃねぇぞ」
「分かってるってば。あのね、今日の任務がちゃんと出来たら、五条さんがお小遣いくれるんだって。それでね、篤也さんにちょっと相談したいんだけど」
「どうした?」
信号に引っ掛かり、クルマが停車したと同時に私の口内でアメが噛み砕かれる音がした。
ハンドルを握っていた片手が私の頭に置かれて、少し寝癖の残る髪を乱す。
これは、私を引き取って以来の篤也さんの癖の様なものだ。
此方を一瞥し、青に変わった信号を確認してその顔が進行方向を見据えた。
けれど、耳だけは絶えず此方に傾け私の言葉を待ってくれて居る。
少し、気恥ずかしい想いが胸を擽った。
今となっては日下部家の人達は私にとってかけがえのない家族であり、何にも変え難い大切な存在と言っても過言ではない。
「あのね。 タケル、もうすぐ小学生でしょ?入学のお祝い。私もしたいなって……。ランドセルとか、そう言うのはもう揃ってるけど、タケルの好きなキャラクターの文房具とか。そう言うの買っても良い?」
「そりゃ、構わねぇが。タケルも喜ぶだろうしな。けど、良いのか?オマエが好きなもんとか、自由に使って良いんだぞ」
「何でも買ってくれるのに?」
「ガキは大人しく大人の好意に甘えとけ。それに、出所はちゃんとオマエの金だ」
「私、別に欲しいものないから。それより、タケルやお姉ちゃんが喜んでくれる事がしたい」
まだ正式では無いとは言え、私は恵君同様にその道を既に確定されて居る。
五条さんを通して任務をこなし、高専の呪術師として仮登録されて居る身だ。
当然、等級は低くともある程度のまとまったお金が定期的に入ってくる。
それらの管理は今は篤也さん達に一任しており、何れ渡すとは言われて居るけれど、必要なものがあれば其処から捻出して貰うよう頼んである。
加えて私自身、物欲は多い方でもない。
それは、今では朧げになってしまったけれど我楽多に囲まれた幼少期を過ごして来た事も要因だと思う。
何より、物より余程目に見えない愛情や信頼の方が私にとって価値のあるもので。
今ではそれらを十二分に彼等から受け取って居る。
それでも、篤也さんに引き取られたばかりの頃は、不安が絶えなかった。
何をされても、言われても文句の言える立場ではなかったし、蠱毒と言う未知数の術式は周囲から決して歓迎されるものではなかった。
けれど、それらを押し切ってでも保護した自信が一切の責任を負うからと言ってくれた篤也さんには感謝しても仕切れない。
「そうか」
「二人とも、大好き。あ、勿論篤也さんも大好きだよ」
少しはにかみながら、私は篤也さんを一瞥する。
好意を真っ直ぐに伝える事は、照れ臭くありながら受け入れてもらえた時の喜びは筆舌し難い。
まるで分かってるとでも言いたげに、伸びた片手が私の頭を一層乱し、宿る擽ったさに肩を竦める。
いつのまにか車は賑わう街並みから閑静な住宅街に差し掛かり、その数も徐々に疎らになっていく。
表向きは宗教界の学校とされて居る高専は、その機密保持の為か。
立地すらも世間から隔絶された場所に有り、世間から殆ど認知される事もなく、ひっそりと佇むその様は己の過去と重なる気がした。
「着いたぞ。帰りは送ってく。家入の所でも行って待ってろ」
「はぁい。行って来ます!篤也さんも気をつけねてね」
停車した車を同時に降り、向かう先が別々となった篤也さんに手を振った。
見上げた空は澄み渡り、街中よりも少し早く咲いた桜がひらひらと花弁を散らす。
待ち合わせの時間はすぐそこまで迫っては居るものの、相手はあの五条さんだ。
恵君を迎えに行くついでと言いながら、きっとフラフラと寄り道を重ね、いつもの如く取るに足らない遅刻をしてくるであろう事は容易に想像がつく。
「お買い物、いつ行こうかなぁ。タケルとお姉ちゃん。喜んでくれると良いな」
その待ち時間と言うのは、私にとって存外退屈なものでは無い。
今は特に、今後の事を考えるだけで胸が弾み、脳裏には満面の笑みを称える親子の姿が映し出される。
日下部一家は世間から見たら極ありきたりな家族の姿と言える。
しかし、親を、家族を知らない私にとって彼等の姿は理想であり、憧れでにも近い。
何より、私を姉の様に慕ってくれるタケルは本当に可愛くて堪らず。
お姉ちゃんや篤也さんと共にその成長を見守る事が何よりの喜びにも近い。
ランドセルを背負ったタケルと一緒に手を繋いで学校に向かう日が今から待ち遠しくてならなくて。
そんな私の胸中を表すかの様に、石段をベンチ代わりに見る景色は、はらり、ひらりと花びらが舞い落ち、可愛らしく宙を踊って居た。
「やぁ。随分ご機嫌だね」
不意に頭上に影が落ちる。
掛けられた言葉に視線を上に向けると、いつのまにかやって来て居た五条さんが階段の一段上から私を見て口元を綻ばせた。
その背後には大きな影に埋もれてしまいそうな恵君の姿が垣間見えて。
満面の笑みを浮かべた私は、その姿を見ようと五条さんの背後に視線を向けた。
「五条さんっ。早かったですね。恵君も久しぶり」
「先週会ったばっかりだろ。それに、約束の時間はとっくに過ぎてる」
「恵は一々細かいねぇ。少しは真那を見習ったら?ま、良いや。とりあえず行こっか」
相変わらずのマイペース。
自身が遅れて来たと言うのに、其方に関しては悪びれる様子もなく早くしろと言わんばかりに五条さんは長いコンパスでどんどん前に進んでいってしまった。
ぽつんと取り残された子供二人。
隣で僅かに舌打ちの様な音が聞こえたのは、気のせいでは無さそうだ。
しかし、怒る程のことでも無いと言うのがまた、厄介な所でもあり、苦言を呈しても言いくるめられるだけと言うのも然程長く無い付き合いの中で学んだ事の一つだった。
「恵君、行こっか」
肩を揺らしながら、私は恵君に向かって手を差し出す。
けれど、此方もまた。
この手を取って貰えた試しはなくて。
無言のまま、どんどん先へ進もうとする恵君に、私は慌てて後を追いかける。
今はまだ、私より少し背が低い。
けれど、その年齢差はたった一つだ。
出会った頃は私より明らかに低かった背は、今は同じくらいとなり、それが少し残念な様で嬉しくも思うのは彼の成長もまた、私が楽しみにして居る事の一つだからなのか。
梨の礫だと分かって居ても、話しかけずにはいられず、横並びになった私は直近に自身にあった出来事をつらつらと一方的に語り続ける。
返事こそしてくれるものの、それは良くて二言程の短いものでキャッチボールにもならない。
それでもめげる事が無いのは、どんなにぶっきらぼうでありながらも、彼が私の言葉にちゃんと耳を傾けてくれて居るからなのだろう。
「……遅れたのは、俺のせいじゃ無いからな」
「ん?大丈夫だよ。分かってるから」
唐突に、私の言葉を遮って恵君が言葉を紡ぐ。
それは、風に消えてしまいそうな位小さな音色。
けれど、その中に毎度待ちぼうけを喰らわされてしまう私に対する申し訳なさが滲んで居る様な気がして。
私が顔を覗き込むと、気恥ずかしそうにそっぽを向いた恵君に、私はまた一つ軽やかな笑い声を上げていた。