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花簪―HANAKANZASHI―

その時だった。
「待ちなさい!」
凛とした声がその場に響く。
そして、えりなとディグリーの間に人影が割り込んだ。
その人物は頭頂部が赤い楕円だえん形の模様の白い頭巾を被り、白い巫女のような姿をしている。
もっとも、黒い袴らしきものはかなり短くオーバーニーで隠しているとはいえ美脚丸出しだった。
長い艶やかな黒髪は2つに分けられ、瞳は銀色に光っている。
ちょっとこの人も人外っぽい。
えりなは場違いな感想を持った。

「お、お前は……!」
ディグリーが驚いた声を出す。
知っている人物なのだろうか。
とにかく、この助けてくれそうな人は誰なのだろうか。
声をかけようとしたその時、
「ブランシュ様ぁー!」
体長20cmくらいの女の子が飛んできた。
トンボのような羽が生えている。
イメージとしては妖精だろうか。
「ポット……ちょっと遅い」
「も、申し訳ないッス」
「とりあえず結界を。寮に響いたらまずいから」
「は、はいッス!結界けっか~い、どーんッス!」
ポットと呼ばれた妖精らしきものは、奇妙な踊りのような仕草をすると、バッと両手を広げる。
その瞬間、周囲の空間が変質した。
「……えっ!?」
全身をはしった違和感に、えりなもハッと気を取り直す。
キョロキョロと周囲に目をやるが、どこにも変化は見られない。

そこで、黙っていたディグリーが口を挟んだ。
「キューティー・ブランシュ……やはり、光の巫女か!」
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