1.緋き桜の咲く頃に
桜田家には今2人の人間と7体の少女人形がいる。
高校生の姉ののりと中学生の(そして引きこもり気味の)弟のジュン、そして人形師ローゼンが手掛けた生きている人形薔薇乙女 である。
彼女達は現在アフタヌーンティーの真っ最中である。
「ジュン、お茶菓子が足りないわ。出してちょうだい」
「はいはい……」
「返事は1回よ」
まるで女王のように振る舞う薔薇乙女第5ドール真紅 。
「のり~!翠星石 がヒナのうにゅー取ったのー!」
そう言ってのりに泣きつく薔薇乙女第6ドール雛苺 。
そして雛苺から奪ったらしい苺大福にかぶりつきそうなところで、
「翠星石、返してあげなよ」
と双子の妹にたしなめられる薔薇乙女第3ドール翠星石。
翠星石をやんわりとたしなめる薔薇乙女第4ドール蒼星石 。
その場の雰囲気を和やかにしようとバイオリンで美しい音色を紡いでいるのが薔薇乙女第2ドール金糸雀 。
その場の喧騒から少し離れて1人優雅にお茶を嗜んでいるのが薔薇乙女第1ドール水銀燈 。
「リトルマスター、お代わりはいかがですか?」
ちゃっかりジュンの隣をキープしている薔薇乙女第7ドール雪華綺晶 。
これが桜田家の日常だった。
姉妹で争ったアリスゲームはもう終わり。
これからは穏やかな日々を過ごしていける。
誰もがそう信じていた。
そう、この日までは。
それはアフタヌーンティーの終わり頃、ちょうどテレビのくんくん探偵を見終わった時だった。
ふとした違和感に気付いたのは真紅だ。
「あら……?」
「どうしたですか、真紅」
「nのフィールドが開きそうだわ」
「うえ、またあの白兎が来るんじゃないよな」
ジュンは露骨に嫌な顔をした。
件の白兎――ラプラスの魔にはいい思い出があまり無い。
「見に行きましょうか」
「真紅、1人じゃ危ないよ。僕も行く」
「蒼星石が行くなら翠星石も行くですぅ」
そうして真紅、翠星石、蒼星石の3人は鏡の間にやってきた。
「鏡が波打ってる……」
真紅がそう言って鏡に触れようとした時だった。
鏡の向こうに全く知らないドールらしきものが見え、それがこちら側 に姿を現した。
高校生の姉ののりと中学生の(そして引きこもり気味の)弟のジュン、そして人形師ローゼンが手掛けた生きている人形
彼女達は現在アフタヌーンティーの真っ最中である。
「ジュン、お茶菓子が足りないわ。出してちょうだい」
「はいはい……」
「返事は1回よ」
まるで女王のように振る舞う薔薇乙女第5ドール
「のり~!
そう言ってのりに泣きつく薔薇乙女第6ドール
そして雛苺から奪ったらしい苺大福にかぶりつきそうなところで、
「翠星石、返してあげなよ」
と双子の妹にたしなめられる薔薇乙女第3ドール翠星石。
翠星石をやんわりとたしなめる薔薇乙女第4ドール
その場の雰囲気を和やかにしようとバイオリンで美しい音色を紡いでいるのが薔薇乙女第2ドール
その場の喧騒から少し離れて1人優雅にお茶を嗜んでいるのが薔薇乙女第1ドール
「リトルマスター、お代わりはいかがですか?」
ちゃっかりジュンの隣をキープしている薔薇乙女第7ドール
これが桜田家の日常だった。
姉妹で争ったアリスゲームはもう終わり。
これからは穏やかな日々を過ごしていける。
誰もがそう信じていた。
そう、この日までは。
それはアフタヌーンティーの終わり頃、ちょうどテレビのくんくん探偵を見終わった時だった。
ふとした違和感に気付いたのは真紅だ。
「あら……?」
「どうしたですか、真紅」
「nのフィールドが開きそうだわ」
「うえ、またあの白兎が来るんじゃないよな」
ジュンは露骨に嫌な顔をした。
件の白兎――ラプラスの魔にはいい思い出があまり無い。
「見に行きましょうか」
「真紅、1人じゃ危ないよ。僕も行く」
「蒼星石が行くなら翠星石も行くですぅ」
そうして真紅、翠星石、蒼星石の3人は鏡の間にやってきた。
「鏡が波打ってる……」
真紅がそう言って鏡に触れようとした時だった。
鏡の向こうに全く知らないドールらしきものが見え、それが