このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

1.緋き桜の咲く頃に

nのフィールドに入ると、真紅が忠告してきた。
「緋桜は本当に強いわ。私は全く適わなかった。だから、気を付けて」
「真紅の言う通りよぉ。私も認めたくはないけど危うくジャンクになるところだったわぁ」
「カナも負けたかしら」
「ヒ、ヒナも」
不安そうな姉妹達に双子は大丈夫といった視線を返す。
「翠星石と蒼星石の2人が負けるはずないのです」
「翠星石、油断は禁物ね」
いいかな、と声が響く。
そこは音楽ホールのように音が響くフィールドだった。
何も無い。ただがらんどうとした場所だ。
「僕達はいいよ。それより、後悔しないでね」
アハハ!とそれを笑い飛ばして、
「威勢はいいね。気に入ったよ。」
ギャラリーが少し離れる。
それを見やって、
「では。百合軍第1ドールにして最強ドール、緋桜……参ります」
「なんですかアイツ……自信過剰?」
「行くよ、翠星石!」
翠星石は如雨露を、蒼星石は鋏を構えた。
「先制攻撃なのです」
翠星石が地面に水をかけると、そこから大樹が生えてきた。
その枝葉が緋桜に迫る。
しかし、緋桜はそれをあっさりかわした。
「その程度かい?」
言われて翠星石は顔を赤くしたが、蒼星石は冷静に鋏を持って緋桜に突進していく。
翠星石がそれを援護するように如雨露から霧を出して視界をくらます。
ガッ、と鈍い音がして鋏が何かに当たった。
しかし蒼星石は慌てて周りを見渡し自身の人工精霊を呼び出した。
――体に当たった手応えじゃない!
「レンピカ!」
青い光が辺りを照らす。
見えたのは鋏が何か固い布のようなものに突き刺さっているだけ。
緋桜の姿はない。
「この柄は……さっきの。そうか、帯だ!」
「当たり」
霧が晴れると少しだけ離れた位置で緋桜が立っていた。
帯を解いて防御に使ったのだろう。
そのまま帯が動き、それが蒼星石に巻き付き、締め上げる。
「あ……ぐっ」
「蒼星石ぃ!」
翠星石があちこちに大樹を生やして攻撃するも帯の一端で両断されてしまう。
「へぇ……すごいね。そんな連続して放てるんだ」
翠星石は尚も如雨露を撒き散らす。
それと同時に一気に距離を縮め、自らの人工精霊をぶつける。
「スイドリーム!」
緑の光が腹に当たり、ちょっとよろめいたところに翠星石の顔面パンチが入った。
「蒼星石を離すですよ!」
6/7ページ
スキ