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1.緋き桜の咲く頃に

「だ、誰なのですかぁ……?」
「こんにちは。キミは……第3ドールの翠星石かな。それに隣にいるのが第4ドールの蒼星石。そっちの白い子は……」
「第7ドールの雪華綺晶と申します。あの……あなたは?」
「これは失礼した。ボクの名は緋桜。百合軍リリーコア第1ドールの緋桜。以後お見知り置きを」
そう言ってちょこんと礼をする。
首輪についた鈴がチリリと涼やかな音を立てた。
「緋桜……貴女は……」
真紅がやや緊張した声で問うと、緋桜は首を横に振った。
「もうボクは以前のボクじゃない。キミ達を壊したりなんかしない。むしろ妹達から守る為に来たんだ」
「緋桜……もう怖いことしない?」
雛苺がおずおずと訊くとにこりと笑ってそれに応えた。
それで安心したのだろう。
雛苺と金糸雀は緋桜の尻尾をもふもふし始める。
「ふん、今度こそジャンクにしてあげようと思ったのに、戦いに来たんじゃないのね」
「残念ながらね。でも、ジャンクになりかけたのはキミの方じゃなかったかな?」
「ちょ、ちょーっと待つですぅ!全然話が見えないのです」
「翠星石……」
真紅がどう説明しようか迷っていると、緋桜が代わりに説明し始めた。
「落ち着いて聞いてほしい。ボクは遠い昔、お母様の命令で薔薇乙女を壊そうとしていたんだ」
「んなっ!」
「真紅や水銀燈、雛苺や金糸雀はその時戦ったんだ。それと同時にアリスを目指す理由も聞いた」
「それで……貴女はどうなさったの?敵では、ないのですか……?」
「そう、今は違う。お母様の命令に疑問を持ってね。今はお母様との契約も解いて、別のマスターがいる」
「まぁ、緋桜。貴女人間と契約を交わしたの?」
「うん、今度会わせるよ」
「なぁ、気になってたんだけど」
ジュンが話に割り込んだ。
「なんだい?ええと……」
「桜田ジュンだ」
「ジュン。何か疑問かい?」
小首を傾げる緋桜にジュンは問いかけた。
「“ お母様”って誰のことだ?それに、百合軍っていうのも聞いたことないぞ」
ああ、と緋桜は今になって思い当たったようで手を打った。
「お母様というのはボク達百合軍の創り手。人形師リーリエという。そして百合軍は薔薇乙女を壊す為に創られた少女人形の姉妹さ」
「姉妹……?お前の他にもいるのか?」
「もちろん。ボクが長女だから妹達がね。6人いる」
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