ウェディング
「サリサ様、お支度が終わりました」
そう言われて、俺は目を開け、目の前の鏡を見た。
そこに映っていたのは、綺麗に化粧をされ、髪の毛を纏めあげられた、まさにお姫様という言葉が似合う女の顔だった。
「これ……俺??」
唖然と呟く俺に、侍女達は「左様でございます」と微笑んだ。
「本当にお美しいですわ」
「いつもお美しいですが、今日は一段と特別にお美しい」
侍女達は口々にそう言った。
タイクーンに戻って早1年半、お姫様姿の自分に少しは慣れたが今日は違っていた。
いつもより美しさが際立つメイク、いつもと違うヘアースタイル。
そして、ドレスはレースをベースに作られたマーメイドラインの純白のドレス。
そう、俺は今日、結婚式を挙げるのだ。
(なんで、こんな事に…)
俺は溜め息を吐いた。
事の発端は3ヶ月前、死んだはずの奴が…、ギルガメッシュがタイクーンにやってきたことだった。
俺は旅の最中、アイツから告白され、仲間の知らないところで何度も酒を酌み交わし、気が付いたらアイツと恋仲になっていた。
そして、アイツは俺達を助ける為に命を投げ出した。
世界が平和になり、タイクーンに戻った俺は大臣からお見合いを何度も提案され、その度に断っていたのだが…
そんな俺に恋人がいて、その恋人がタイクーンにやってきたと言う事を知った大臣は大喜び。
あれよあれよと言う間に結婚式の準備が進んでしまった。
行く行くは城を出るつもりだった俺は、結婚式なんてするつもりはさらさらなかった。
そんな事しなくても、アイツと一緒にいられればそれで良かったから…
「はぁ…」
2度目の溜め息を吐く。
(こんな姿、俺じゃない…)
この姿を人前に晒すぐらいなら死んだ方がマシだとさえ思う。
いっそ、このまま逃げ出してしまおうか??
そんな事を考えていると、頭にヴェールとティアラを着けられた。
コンコン
部屋がノックされ、1人の侍女が現れた。
「間もなく、支度の終えたギルガメッシュ様がいらっしゃいます」
その言葉に俺はドキリとした。
ギルガメッシュが来る?!
おい、冗談だろ?!
こんな俺らしくない姿見られたくないっ!!
だが、逃げたくても部屋にはまだ侍女達が居て身動きが取れない。
(絶対に笑われるっ!!)
(頼む!!来るな!!来ないでくれ!!)
そんな俺の願いも虚しく、再びノックの音が響き、侍女達が部屋から出て行き、入れ替わるようにギルガメッシュが入ってきた。
俺は奴の顔を見ず、恥ずかしさに思わず俯いたまま、顔を逸らした。
静まり返る部屋。
先に沈黙に耐えられなくなったのは俺だった。
「変…、だよな??こんな姿…」
恐る恐る聞いた。
すると、ギルガメッシュは
「なっ、何言ってんだ!?お前さん、もっと女としての自分を自覚しろっ!!」
とデカい声で言い放った。
あまりにデカい声だったので思わず奴の顔を見ると、真っ赤な顔をして慌てふためいていた。
そこで、俺は初めて相手の姿をしっかり見た。
真っ白な軍服に似たデザインの服装を身に纏い、いつも頭の高い位置に結われていた紅い髪は低い位置で白いリボンで結われていた。
(に、似合わねぇっ)
俺は自分の事を棚に上げて、思わず噴き出してしまった。
「笑うなよ、似合わねぇのは自覚してんだから…」
少し拗ねたような表情でギルガメッシュは言った。
「わりぃ、あまりにも衝撃的だったもんだからっ、あははっ!!」
笑いが止まらない俺をギルガメッシュは抱きしめた。
「ったく、衝撃的だったのはこっちだぜ…」
その言葉に俺は現実に引き戻された。
(やっぱ、似合わねぇよな…)
俺のそんな考えとは、全く別の言葉が返ってきた。
「一瞬お前さんが女神様に見えて、俺はまた死んじまったのかと思っちまった」
「は?」
今、コイツなんて言った??
女神??
俺が??
驚いて奴の顔を見ていると、ギルガメッシュはヴェールの中に手を入れ、俺の頬に触れた。
「綺麗すぎて、誰にも見せたくねぇ…」
ヴェール越しに愛おしそうに見つめられ、俺の鼓動は早くなる。
コイツは、こんな姿の俺も受け入れてくれるのか。
惚れたのがコイツで、本当に良かった。
「このまま拐って行っちまいてぇところだが、お前さんのその姿を一番楽しみにしてるレナに悪いからな」
「我慢我慢」と言って、ギルガメッシュは俺から体を離した。
すると、扉が再びノックされた。
「もうすぐ入場のお時間になりますので、ギルガメッシュ様とサリサ様はこちらへ」
侍女に案内され、式場の大きな扉の前に来るとブーケを渡された。
そして、俺は奴と腕を組んで言った。
「緊張して足縺れさせて転ぶなよ??」
「お前さんこそ、ドレスの裾踏んで転ぶなよ??」
そのやり取りに、2人して笑った。
「では、入場になります」
侍女が扉を開ける。
俺とギルガメッシュは真っ直ぐ前を向き、1歩、また1歩と歩き出したのだった。
そう言われて、俺は目を開け、目の前の鏡を見た。
そこに映っていたのは、綺麗に化粧をされ、髪の毛を纏めあげられた、まさにお姫様という言葉が似合う女の顔だった。
「これ……俺??」
唖然と呟く俺に、侍女達は「左様でございます」と微笑んだ。
「本当にお美しいですわ」
「いつもお美しいですが、今日は一段と特別にお美しい」
侍女達は口々にそう言った。
タイクーンに戻って早1年半、お姫様姿の自分に少しは慣れたが今日は違っていた。
いつもより美しさが際立つメイク、いつもと違うヘアースタイル。
そして、ドレスはレースをベースに作られたマーメイドラインの純白のドレス。
そう、俺は今日、結婚式を挙げるのだ。
(なんで、こんな事に…)
俺は溜め息を吐いた。
事の発端は3ヶ月前、死んだはずの奴が…、ギルガメッシュがタイクーンにやってきたことだった。
俺は旅の最中、アイツから告白され、仲間の知らないところで何度も酒を酌み交わし、気が付いたらアイツと恋仲になっていた。
そして、アイツは俺達を助ける為に命を投げ出した。
世界が平和になり、タイクーンに戻った俺は大臣からお見合いを何度も提案され、その度に断っていたのだが…
そんな俺に恋人がいて、その恋人がタイクーンにやってきたと言う事を知った大臣は大喜び。
あれよあれよと言う間に結婚式の準備が進んでしまった。
行く行くは城を出るつもりだった俺は、結婚式なんてするつもりはさらさらなかった。
そんな事しなくても、アイツと一緒にいられればそれで良かったから…
「はぁ…」
2度目の溜め息を吐く。
(こんな姿、俺じゃない…)
この姿を人前に晒すぐらいなら死んだ方がマシだとさえ思う。
いっそ、このまま逃げ出してしまおうか??
そんな事を考えていると、頭にヴェールとティアラを着けられた。
コンコン
部屋がノックされ、1人の侍女が現れた。
「間もなく、支度の終えたギルガメッシュ様がいらっしゃいます」
その言葉に俺はドキリとした。
ギルガメッシュが来る?!
おい、冗談だろ?!
こんな俺らしくない姿見られたくないっ!!
だが、逃げたくても部屋にはまだ侍女達が居て身動きが取れない。
(絶対に笑われるっ!!)
(頼む!!来るな!!来ないでくれ!!)
そんな俺の願いも虚しく、再びノックの音が響き、侍女達が部屋から出て行き、入れ替わるようにギルガメッシュが入ってきた。
俺は奴の顔を見ず、恥ずかしさに思わず俯いたまま、顔を逸らした。
静まり返る部屋。
先に沈黙に耐えられなくなったのは俺だった。
「変…、だよな??こんな姿…」
恐る恐る聞いた。
すると、ギルガメッシュは
「なっ、何言ってんだ!?お前さん、もっと女としての自分を自覚しろっ!!」
とデカい声で言い放った。
あまりにデカい声だったので思わず奴の顔を見ると、真っ赤な顔をして慌てふためいていた。
そこで、俺は初めて相手の姿をしっかり見た。
真っ白な軍服に似たデザインの服装を身に纏い、いつも頭の高い位置に結われていた紅い髪は低い位置で白いリボンで結われていた。
(に、似合わねぇっ)
俺は自分の事を棚に上げて、思わず噴き出してしまった。
「笑うなよ、似合わねぇのは自覚してんだから…」
少し拗ねたような表情でギルガメッシュは言った。
「わりぃ、あまりにも衝撃的だったもんだからっ、あははっ!!」
笑いが止まらない俺をギルガメッシュは抱きしめた。
「ったく、衝撃的だったのはこっちだぜ…」
その言葉に俺は現実に引き戻された。
(やっぱ、似合わねぇよな…)
俺のそんな考えとは、全く別の言葉が返ってきた。
「一瞬お前さんが女神様に見えて、俺はまた死んじまったのかと思っちまった」
「は?」
今、コイツなんて言った??
女神??
俺が??
驚いて奴の顔を見ていると、ギルガメッシュはヴェールの中に手を入れ、俺の頬に触れた。
「綺麗すぎて、誰にも見せたくねぇ…」
ヴェール越しに愛おしそうに見つめられ、俺の鼓動は早くなる。
コイツは、こんな姿の俺も受け入れてくれるのか。
惚れたのがコイツで、本当に良かった。
「このまま拐って行っちまいてぇところだが、お前さんのその姿を一番楽しみにしてるレナに悪いからな」
「我慢我慢」と言って、ギルガメッシュは俺から体を離した。
すると、扉が再びノックされた。
「もうすぐ入場のお時間になりますので、ギルガメッシュ様とサリサ様はこちらへ」
侍女に案内され、式場の大きな扉の前に来るとブーケを渡された。
そして、俺は奴と腕を組んで言った。
「緊張して足縺れさせて転ぶなよ??」
「お前さんこそ、ドレスの裾踏んで転ぶなよ??」
そのやり取りに、2人して笑った。
「では、入場になります」
侍女が扉を開ける。
俺とギルガメッシュは真っ直ぐ前を向き、1歩、また1歩と歩き出したのだった。
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