一章
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「ここがトレーニングルームだ。最新の器具を揃えているからいつでも使うと良い。」
「その様ですね。」
ユニホームに着替えた猫宮は柘植の施設案内に着いて周り、各施設の確認を行う。
どの施設も一流の物が揃っているにも関わらず、猫宮は感嘆の1つもあげない。
「最後に食堂に案内する。お昼時だからそのまま食事にすると良い。」
「そうですね。実は先程からお腹が空いてしまって、いつ鳴るんじゃないかと心配していたんですよ。柘植コーチもご一緒にいかがでしょうか?」
「いや、」
「あら、私、こちらには今日来たばかりでお友達も居ないのですよ?1人で寂しくランチをさせる。なんてことはありませんよね?」
「……そうだな。」
「まぁ!ありがとうございます!とっても嬉しいですわ。」
「いや、構わない。」
猫宮は、柘植の言葉を遮り、人を喰ったような笑みを浮かべながら、柘植の瞳を覗き込む。
急に距離を詰められた柘植は、上半身を僅かに後ろにずらすと、一言返す。
同意の言葉を得た猫宮は、顔を遠ざけ、案内しろとでも言わんばかりに左腕を軽く振る。
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「ここが食堂だ。食事の仕方はスタッフが説明をする。」
柘植がそう言うと、シェフと思われるスタッフが、説明を始める。
「食事面も自分でコントロール出来るように、ということですね。私としてもその方が有難いですわ。後、1つご質問が。ジェリー、この猫ちゃんにご飯をあげたいのだけれど、それはこちらで用意してもらえるのかしら?それと一緒にここで食べても?」
「動物の連れ込みは禁止となっております。中にはアレルギーをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。ご飯につきましては、何を用意すれば良いか教えて頂ければ準備いたします。」
「あら、それは残念だわ。ジェリー残念だけれど、しばらく一緒に食べれないみたいよ。ごめんなさいね。後、ご飯はこれを用意してちょうだい。代金は私宛に請求してくれればいいわ。」
「ご理解、ありがとうございます。用紙も承りました。」
猫宮は、足元を着いて歩いていジェリーに向かってそう告げる。すると、ジェリーは猫宮の足元に擦り寄り尻尾を猫宮の足首に絡めて悲しそうに一鳴きすると、意味が分かったかのようにレストランの外に出て、入口付近で伏せる。
猫宮はそんなジェリーの姿を見送ってから、3つ折りにしたメモ用紙をシェフに渡す。
「随分賢い猫のようだな」
「ペットはご主人に似るとよく言いますでしょう?」
一連のやり取りを見ていた柘植が口を開くと猫宮は嬉しそうだが控え目に笑みを浮かべた。
柘植と一緒の食事だからか、女がいるからなのか、それとも猫宮が盛った食事量に対してなのか、とにかく注目を集めた食事を終えた2人は、猫宮の部屋へと来ていた。
「最後に、ここが寝泊まりをする部屋だ。物は自由に持ち込んで構わない。起床・消灯の時間は聞いているだろう。それまでの時間は基本的に自由だ」
「えぇ。分かりましたわ。」
「今日は特にトレーニングを用意していないから自由に過ごして構わない。」
「そうですか。では、案内ありがとうございました。」
柘植が部屋を後にした後、猫宮は与えられた部屋を見渡す。
「この部屋....。狭すぎじゃないかしら」
「なぉん」
「そうね。ジェリーもいるからきっと大丈夫ね。荷解きを先にしておきましょうか。早く終えて情報収集に出かけたいものね」
「なぁ」
すでに運び込まれていた段ボールを見てやはり情報収集は無理かもしれないと猫宮は思った。
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