一章
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「はじめまして。僕は入江 奏多。こっちは徳川 カズヤ。」
「そう」
「猫宮さんはどうしてここに?出口まで案内しましょうか?」
「……さぁ、どうしてかしらね?出口は結構よ。でも、コーチの元までは案内して頂戴。この子が逃げ出すから追ってここまで来たけれど、流石に初めての場所は分からないわ」
入江の提案を断り、コーチの元への案内を提案した猫宮に入江はニコリと、徳川は少しだけ視線を鋭くした。
猫宮は、人を喰ったようににこりと笑みを浮かべ、首を傾げた。
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「この前のW杯の試合見ましたよ。優勝おめでとうございます。」
「大したことないわ」
「まさか、ここで猫宮さんに会えるとは思わなかったです。この合宿に参加されるんですか?」
入江が先頭を、半歩後ろを猫宮が、そして、さらに2歩ほど離れて徳川が着いてくる。
入江は絶えず笑みを浮かべて猫宮に話しかけるが、猫宮は会話をする気がないようで、一言返すだけの一問一答のようになっている。
「…………」
「そんなに怖い顔で見ないでくれるかしら?程度が知れるわ。彼のように取り繕えないと苦労するわよ?」
猫宮が徳川の方へ視線を向け、呆れたようにため息を吐いた。
「徳川君がごめんね。彼は少しシャイだから、猫宮さんが綺麗でつい見ちゃうんだよ。だから気にしないであげて。」
「あら、ふぅん」
唐突な猫宮の指摘にすかさず入江がフォローを入れると、猫宮は瞬きを2回して入江を見る。
少し考えてからにこりと笑みを浮かべる。
「そう、シャイなら仕方ないわね。それはそうと、入江奏多君だったかしら?奏多って呼ぶわね。気に入ったの」
「光栄だよ!もちろん、構わないよ。僕も乱華ちゃんって呼んでも?」
「構わないわ。………いいわね。それ」
猫宮は満足そうに笑みを浮かべると、入江の隣に並んで歩く。今までの一問一答ではなく、しっかりと会話を成り立たせている。
「あ、そろそろはっきり見えてきたね。」
しばらく話しながら歩いていると連なったテニスコートとテラスの付いた建物が見えてくる。
遠目からでも建物があることは見えていたが、入江の言う通り建物の詳細までハッキリと分かるようになった。